◯徒然日誌(令和6年7月3日) ポスト岸田の不毛を嘆くー岸信介、中曽根康弘、安倍晋三に見られる真のリーダーシップ
ソロモン朝の亡命客であったヤラベアムを中心とした北朝イスラエルは、二六〇年の間に十九王が代わった。彼らは互いに殺害しあい、王室が九度も変革され、列王の中には、善良な王が一人もいなかったのである。しかし、北朝イスラエルは依然として邪神を崇拝しつづけて、悔い改めることがなかったので、神は、彼らをアッシリヤに引き渡して滅亡させることにより、永遠に選民としての資格を失うように摂理されたのである(列王下一七・17~23)。(原理講論P477)
さて、7月8日は安倍晋三元首相(以下、親しみを込めて、「安倍さん」と呼びます)の三回忌である。通常国会が6月21日に終わり、政局は9月に予定されている自民党総裁選挙に焦点が移ったが、この三回忌に「ポスト岸田」の行方を考えて見た。
自民党総裁は、即ち日本の首相を意味するので(政権交代がなければ)、極めて重要であることは言を待たない。今回、政治資金問題を受け麻生派を除く5派閥が解散を決めて初めての総裁選になり、今まで派閥単位で支持候補や投票先を決めていたが、派閥解消で票読みが難しくなった。
今、総裁選に出ることが取り沙汰されている人物は、石破茂議員、上川陽子外相、河野太郎デジタル相、高市早苗経済安保相、加藤勝信元官房長官、林芳正官房長官、茂木敏充幹事長らであるが、いずれも帯に短し襷(たすき)に長しで、心から推薦できる政治家ではない。かっての岸信介、中曽根康弘、安倍晋三といった理念と哲学を持った政治家がいないからである。まさに荒野の政局である。あえて言えば高市早苗くらいだろうか。
報道各社の世論調査では、次の総裁にふさわしい人物として石破茂、小泉進次郎、河野太郎のいわゆる小石河連合が上位にあがり、まさに国民民度の低さを如実に示している。一国の政治は「その国の民度を越えられない」と言われているが、文字通りポピュリズムが日本を覆っている。
【最悪の選択を避けるために】
戦後最悪の首相と言える岸田文夫氏は、内閣支持率が20%を切り、自民党内の岸田降ろしの声が日増しに高まっている。しかし、未だに次期総裁選への意欲を隠さない。なんという往生際の悪さ、なんという厚顔無恥 (こうがんむち)なのだろうか。
政治家にとって最も重要な資質とは、政策でも人の良さでも、ましてや地盤・看板・カバンでもなく、理念と哲学である。言い換えれば、歴史観であり国家観である。これが岸田首相には全く見られない。その結果、岸田首相の在任1000日でやったこ とと言えば、LGBT法と宗教教団の解散請求という反宗教的政策だったのである。これでは神の怒りを避けられない。
<荒野の政局>
今の日本の政局は、麻生太郎元首相と菅義偉元首相の二人がキングメーカーとして鍵を握っていると言われる。数量政策学者で嘉悦大学教授の高橋洋一氏の話によれば、菅氏は元内閣官房長官の加藤勝信を押し、麻生氏は、お目当ての人材がいなければ、ひょっとしたら(安倍元首相の意を汲んで)、高市早苗を押すかも知れないと言われていた。もちろん総裁選挙には河野太郎、茂木敏充、林芳正の各氏も手を上げると思われるが、この三人は最悪であり、中でも河野太郎だけは首相にしてはいけない。彼は親中派の筆頭であり、霊感商法問題に関する有識者会議を設置して、全国弁連の紀藤正樹や左翼の山尾志桜里を委員として独断で選任した宗教の敵である。安倍元首相は「河野太郎だけは首相にしてはいけない」と明言されていた。顔相が陰険で、河野家は歴代政治家として呪われており、河野首相誕生によってまさに日本は沈没する。
筆者は、今の不毛の政局の中に、19代悪王が続いた北イスラエルの姿を想起した。北朝イスラエルは、エリア、エリシャ、ホセア、アモスら預言者の警告にも係わらず、依然として偶像を崇拝しつづけて、悔い改めることがなかったので、神は、彼らをアッシリヤに引き渡して滅亡させることにより、永遠に選民としての資格を失うように摂理されたのである(2列王17.16~23)。いわゆる失われた10部族である。現下の日本の政局はまさに北イスラエルの如く日本を委ねる人材が見当たらず、まさに荒野をさ迷うが如しである。
<若狭勝氏の弁>
この不毛な日本の政局の中にあって、元東京地検特捜副部長の若狭勝弁護士は、青山繁晴議員を推薦されている。青山議員は、無派閥で後援会も支援団体もなく、献金も受け取らず、政治資金パーティーも開かず、まさに一切のしがらみがない稀有な議員であるという。こういう潔白な人物こそ今の日本に必要だというのである。当の青山議員は既に数年前から総裁選挙出馬は公言している。しかも青山議員は、「日本の尊厳と国益を守る会」という保守系の議員集団(現在100人)を率いて、日増しに発言力を増し、自民党党員獲得数で三年連続断トツのトップでもあった。ちなみに2位は高市早苗だった。
この青山議員について、興味深い話がある。安倍元首相が暗殺された2年前の日の出来事である。
青山氏は宝塚での演説のために、2022年7月8日の朝、羽田発ANAの伊丹行き飛行機に搭乗した。その機内で座っていたところ、親愛の情を込めて背中を叩く人がいて、振り向くとなんとそれは安倍さんであり、その日たまたま同じ飛行機に搭乗していたというのである。そして伊丹空港で、安倍さんは奈良へ、青山氏は宝塚へと向かい、これが今生で見る安倍さんの最後の背中だったと青山氏は述懐した。
伊丹空港で別れた一時間半後、青山氏が宝塚で街頭演説していた最中、秘書からのメモで安倍さんの心肺停止の報を知ることになる。今までの経験から、心肺停止でも蘇生すると信じていた青山氏の背後に、伊丹空港で別れたままの安倍さんの気配がし、そしてなんとその安倍さんが自分の内蔵深く入ってこられたというのである。とっさに「安倍さんは、亡くなられた、別れに来られた」との思いがし、そして右上方向に素早く去っていかれたと証言した。
もともと青山氏には霊的体質があり、大東亜戦争で亡くなった日本人将校が出てきて「日本を頼む」と告げたり、エルサレムのヴィア・ドロローサ(悲しみの道)の道行きで、背中を叩くマリアと出会ったことも証されている。 青山氏は、「こういうことは信じてもらえないかも知れないが」と前置きした上で、これらの霊的体験を随所で語っている。
そして今回も間違いなく、安倍さんの霊魂が来て、自らの身体に入ったあと、右上方向に去って行かれたというのである。そして安倍さんは、「これからは、俺なしでやって行くんだ。俺は悔いないよ」と言われ、青山氏は「安倍さんは政治的には何の悔いもないようだった」と証言した。まさに安倍さんが別れを告げると共に「日本を頼んだ、改憲を頼む」と青山氏に託されたのである。
【日本の背骨としての岸信介と安倍晋三】
ここにUC創始者が日本のリーダーとして思いをかけた政治家がいる。岸信介、中曽根康弘、そして安倍晋太郎 である。そして創始者は、久保木会長を通じて、神のみ心を時局の度に伝えられたのである。岸田首相がUCとの断絶宣言をしてしまった今、どのようにして神のみ心を国家中枢に伝えることができるというのであろうか。
また岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三の岸家三代ほど政界のサラブレッドとして、他に抜きん出た存在はない。そしてこの三代は日本の自由と繁栄に明確な道筋を示した「日本の背骨」であり、確かな理念と哲学を有していた稀有な政治家であった。
<岸信介と安倍晋三>
特に岸信介氏は東大法学部で民法の大家我妻栄と首席を争った秀才であり、他方では、「政治は力だ、金だ」と言って憚らない豪胆さを持ち合わせた、まさに「昭和の妖怪」であった。岸氏は、日本の基地提供を義務付けた1951年の日米安全保障条約が「偏務条約」であることを問題視し、1960年、国民世論の大反対を押し切って、日米安全保障条約をアメリカの「日本防衛義務」を明記した「双務条約」に改正(日米安保改正)した立役者だった。
安倍さんの外交スピーチライターを長年務めた谷口智彦氏は、著書『安倍総理のスピーチ』の中で、「岸こそは、安全保障と経済繁栄の礎石を作った戦後日本建設の祖、偉大なアーキテクト(建設者)だったと呼ぶにふさわしい」(著書P170)と明言している。筆者も、戦後首相を一人だけ選べと言われれば躊躇なく岸信介を選ぶ。 創始者も岸氏を戦後日本の最大の政治家と認識されていた。
そして岸信介氏は、創始者、久保木会長とは昵懇(じっこん)の仲であり、創始者の思想を支持し、1984年には創始者が創設した「世界言論人会議」の議長を務めた。また、創始者が脱税容疑でアメリカのダンベリー刑務所に収監された時は、レーガン大統領に「意見書」をしたため、創始者の早期釈放を訴えたのである。
久保木修己元UC会長は岸信介氏を述懐して、次のように語っている。
「今思えば、岸先生は大変懐の広い政治家でした。教祖が韓国人ということも一般の日本人にとってマイナスのイメージとなっていました。しかし、岸先生はそういうことには一切関心がありませんでした。世間の評価とかマスコミの情報というものがいかに薄っぺらなものであるかを自分自身がよくよく体験してこられていたのです」(久保木修己著『愛天愛国愛人』)
さて、「血は水よりも濃し」との格言の通り、岸信介と孫の安倍晋三は、文字通り「異体同心」だった。ある識者は、安倍さんには3つの宝があると指摘し、3つの宝とは、母の安倍洋子、父の安倍晋太郎、そして祖父の岸信介だというのである。確かに安倍さんは、その思想性において祖父信介から、その人柄において父晋太郎から、その愛情において母洋子から、それぞれ資質を受け継いでいる。かって母の安倍洋子女史は、「晋三は運命の子」と文藝春秋で語ったことがある。
安倍さんは、2015年4月29日、米国連邦議会上下両院合同会議で「希望の同盟へ」という演説を行ったが、その冒頭、岸信介の演説を引用して、次のように述べた。
「議長、副大統領、上院議員、下院議員の皆様、ゲストと、すべての皆様、1957年6月、日本の総理大臣としてこの演台に立った私の祖父、岸信介は、次のように述べて演説を始めました。『日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信しているからであります』」
正に安倍さんと祖父は異体同心であった。
<日本とUCの善神として>
筆者は、創始者、久保木修己、そして岸信介と安倍晋三は、縷々見てきた通り、深い心情と信念で固く結びついており、「善神」となって日本とUCを守り導いて下さると信じている。ちなみに善神とは「神と、神の側にいる善霊人たちと、天使たちを総称する言葉」である(原理講論P120)。
今、蛇蝎(だかつ)の如く叩かれているUCだが、岸信介、安倍晋三が戦後日本の背骨であったように、UCと勝共連合は、戦後の日本の羅針盤として、預言者の如くその役割を果たしたと確信する。
奇しくも、1960年7月14日、総理官邸で、右翼テロリストによって6回も刺された岸信介だったが、2022年7月8日、今度は孫の安倍さんが、かのリーンカーンと同じく、あたかも「贖罪の羊」のように凶弾に倒れた。天地を創造された唯一にして全能の神は、この一件を通して、一体何を示され、何を言わんとされているのだろうか。
【次期首相は安倍さんの後継者に】
さて筆者は、次期首相は安倍さんの後継者であるべきであると思っている。「一粒の麦」として逝かれた安倍さんの理念と政策を継ぐ人物であるべきだと強く感じている。何故なら、それが日本のために尽くした安倍さんへの最大の追悼であるからである。
いみじくも高橋洋一氏が言われたように、安倍さんが前回の総裁候補として強く押した高市早苗氏を、今度は安倍さんに代わって麻生氏か、又は菅氏が押し立てるかも知れない。この二人のキングメーカーは、安倍第二次政権7年間を、それぞれ財務大臣、官房長官として支え、安倍さんから最も恩恵を受けた政治家である。その安倍さんの恩義に報いるためにも、それがベストの構図であるが、果たして彼らに、この選択を決断する器量があるだろうか。一説によれば、菅氏は石破氏を担ぐという声も聞こえてくる。
筆者は「つれづれ日誌(令和3年9月22日)-高市早苗著『美しく、強く、成長する国へ』を読んで」において、何故高市早苗氏を推薦するのかを論じたが、高市氏は、日本の政治家には珍しく、しっかりした政治理念、国家観、政治目標を有している。高市氏は著書『美しく、強く、成長する国へ』の中で次のように述べており(P28)、安倍さんの後継者として相応しい。
「国の究極の使命は、『国民の生命と財産を守り抜くこと』『領土・領海・領空・資源を守り抜くこと』『国家の主権と名誉を守り抜くこと』だと考えている」
さもなくば、前述の青山繁晴議員である。青山議員も高市氏に勝るとも劣らない政治理念と哲学を持っており、確かにあの日、安倍さんの霊に後事を託されたのである。
以上、今回は日本の政局、即ち自民党の総裁選挙について筆者の思うところを述べた。願わくば、悪王が続いて滅んでしまった北イスラエルの轍を踏まず、 安倍さんの意思を受け継いだよきリーダーが出ることを祈りたい。よき後継者よ来たりませ! (了) 牧師 吉田宏
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