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中山達樹弁護士主宰シンポジウムに思う 岸田政権の不透明な意思決定プロセスと解散請求裁判の行方

◯徒然日誌(令和6年6月26日)  中山達樹弁護士主宰シンポジウムに思うー 岸田政権の不透明な意思決定プロセスと解散請求裁判の行方 

 

あなたがたの会った試錬で、世の常でないものはない。神は真実である。あなたがたを耐えられないような試錬に会わせることはないばかりか、試錬と同時に、それに耐えられるように、のがれる道も備えて下さるのである。(1コリント10.13)

 

6月18日、ベルサール虎ノ門にて、中山達樹弁護士が代表理事を務める「一般社団法人グローバルチャレンジ」の主催でシンポジウムが開催され、筆者も参加した。主題は岸田政権1000日を迎えて、「意思決定プロセス(手続き)の透明性」を検証するものである。岸田政権の不透明な意思決定などに不信感がつのり、今や内閣支持率は20%を切った。 

 


そのシンポジウムで、①派閥解散・裏金処分問題、②特定団体(UC)との関係断絶・宗教法人解散請求プロセスの不透明性、③LGBT法の意思決定の不透明性、の三項目について専門家によるディスカッションが行われ質疑応答があった。今回、この内、②の「特定団体(UC)との関係断絶・宗教法人解散請求プロセスの不透明性」について論考することにする。このセッションには元東京地検特捜部副部長の若狭勝(わかさまさる)弁護士と『潜入  旧統一教会「解散命令請求」取材NG最深部の全貌』の著者でノンフィクションライターの窪田順生(くぼたまさき)氏がパネラーとして意見を述べた。 

 

【UCの解散命令請求の問題点】 

 

特に若狭勝氏は、UC解散請求に至る意思決定のプロセスには重大な問題があると、法律家らしい切り口で問題点を指摘した。 

 

<解散請求に至るプロセス> 

 

先ず、UCの解散命令請求に至るまでの主だった事項について、以下の通り時系列で記す。 

 

①2022年7月8日、安倍晋三元首相暗殺。 

 

②2022年8月31日、岸田首相、UC(旧統一教会)との断絶宣言。 

 

③2022年10月14日、閣議決定。法務、内閣法制局を含む閣議で解散命令請求の要件に「民法の不法行為は入らない」と決議した。 

 

④2022年10月18日、不法行為は入らないと再度明言。衆議院予算委員会で、14日の閣議決定を踏襲して、解散命令請求については民事裁判の判決(民法の不法行為)では根拠にならず、刑事罰が必要になるという認識を示す。 

 

⑤2022年10月19日、解釈変更。岸田首相は、参議院予算委員会で、改めて関係省庁で集まり議論したとして、「民法の不法行為もはいりうる」と述べ、政府の解釈を一夜にして変更した。 

 

即ち、「行為の組織性や悪質性、継続性などが明らかとなり、宗教法人法解散の要件に該当すると認められる場合には、民法の不法行為も入りうる」と説明し、指揮監督関係がある人物や法人の責任を問う「使用者責任」もこれに含まれるとの考えを示した。 

 

⑥2022年11月22日、質問権行使。文部科学省は、UCに対し、法人の組織運営や収支、財産に関して12月9日までに報告を求める書類を送り、宗教法人法78条の2第1項柱書きに基づく第1回目の「質問権」を行使した。(計7回)

 

法78条の2第1項柱書きは、裁判所による解散命令の要件に該当する「疑い」が法人にある場合、宗教法人審議会に諮問し、意見を聞いた上、報告徴収・質問権に基づいて調査できると定めている。 

 

⑦2023年9月7日、過料申立。宗教法人法78条の2第1項柱書きに基づく質問権行使に回答を拒んだとして、文部科学省が過料を東京地裁に申し立てる。 

 

⑧2023年10月13日、解散命令請求申立。宗教法人法81条1項1号に基づき、文科省は教団に対する「解散命令請求」を東京地裁に請求した。現在、東京地裁で審議中である。 

 

⑨2024年3月26日、過料決定。過料を科すよう求めた裁判で、東京地裁(鈴木謙也裁判長)は、教団に過料10万円の支払いを命じる決定をした。→教団は即時抗告した。 

 

<不透明な解散請求意思決定プロセス>

 

若狭勝氏はシンポジウムで、2022年10月19日、岸田首相が、解散請求の要件に「民法の不法行為も含まれる」と従来の解釈を一夜にして変更したことを問題にし、意思決定の不透明さを指摘した。この意思決定の顛末は以下の通りである。 

 

岸田首相は2022年10月14日の法務省、内閣法制局を含む閣議で、解散命令請求の要件に民法の不法行為は入らないと決議し、10月18日の衆議院予算委員会で、14日の閣議決定を踏襲して、解散命令請求について民法の不法行為は入らず、刑事罰が必要になるという認識を示していた。しかるに、翌日10月19日の参議院予算委員会で、立憲の小西洋之議員の質問に答えて、「民法の不法行為もはいる」と解釈を変更したのである。まさに朝令暮改とはこのことである。 

 

そしてこともあろうに、この間の方針変更のいきさつが小西議員自らの動画で暴露されて明らかになったのである。即ち小西議員は、「改めて関係閣僚を呼んで、内閣全体で集まって検討して決めたことにすればいい。これは追及しないから」と岸田首相に方針変更のやり方を指南したというのである。岸田首相は小西議員から言われた通り、(実際は議論していないのに)改めて関係省庁で集まり議論したと偽って、「民法の不法行為もはいる」と19日の参議院予算委員会で述べたのである。これらの事実は、動画「放送不可能Ⅱ 上映後の鈴木エイトとのトークイベント」や11月3日「小西事務所でのユーチューブ」で開示されており、小西議員自ら岸田首相の嘘を暴いたのである。実際、首相が事前に小西議員と会って打ち合わせていたことが「首相動静」に出ている。 

 

若狭氏は、このような笑い話にもならない意思決定の不透明さを批判し、理念なき岸田首相を断罪した。小西議員にさえ、「朝令暮改にもほどがある」と揶揄されたのである。だが当の小西議員は、2023年3月29日、国会内で取材に対し、「憲法審査会の毎週開催はサルのやることだ」などと発言したことが党内外で問題となり、参議院憲法審査会野党筆頭幹事を更迭され、立憲民主党参議院政策審議会長を辞任に追い込まれた。まさに自業自得である。 


また、参議院議員の浜田聡(はまださとし)議員は、当日のシンポジウムに動画メッセージで参加し、UC問題に関する意思決定の不透明さや、解散命令請求の問題点を逐次国会で質問していると述べ、これらの事実を国会で質問し、議事録に残すことで、裁判に有利な資料としたいと語られた。浜田議員自身は、「解散命令は出ないと思っている。裁判官の良心を信じたい」と言われていた。 

 

<日本の司法の独立性について> 

 

若狭勝氏のスピーチを受けて、質疑の時間が儲けられ、筆者は以下の通り質問をした。 

 

「日本の司法の独立性についてお聞きします。お隣の韓国では、裁判官の判断が政府の意向や世論の動向で左右され易いと聞いておりますが、日本ではどの程度司法の独立性は担保されているのでしょうか。やはり、政府の意向や世論の空気など法律以外のものに影響されるのでしょうか」 

 

若狭氏答えて曰く、「端的に言って日本の司法の独立性は70%位だと思います。30%は法律以外の要素に影響されることがあるかも知れない」と。 

 

2023年9月7日、文科省は質問権の行使で、UCが一部回答を拒んだとして過料申立をしたが、教団はこれを不当として争っていた。しかし2024年3月26日、東京地裁(鈴木謙也裁判長)は、教団に過料10万円の支払いを命じる決定をした。文科省による質問権行使を「適法だった」と判断したのである。この決定の顛末については後述することにして、この裁判所の決定は世論や空気に忖度した結果なのだろうか。 

 

しかし、日本の裁判所には司法の独立を守った伝統がある。世にいう大津事件がその典型例である。 

 

大津事件は、1891年(明治24年)5月11日に日本を訪問中のロシア帝国皇太子・ ニコライ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフ (後の皇帝ニコライ2世)が、滋賀県滋賀郡大津町(現・大津市)で警察官・津田三蔵に突然斬りつけられ負傷した暗殺未遂事件である。 大国ロシアを恐れる明治政府は津田三蔵を大逆罪で死刑にするよう強く迫ったが、大審院長(現在の最高裁判所長官)の児島惟謙(こじまこれたか)は「法治国家として法は遵守されなければならない」として刑法どおり無期懲役とし、司法権の独立を貫いたのである。 (ウキペディア)

 

この大津事件の裁判官のように、あくまで法に従って裁判し、日本の司法独立の矜持(きょうじ)を示して欲しいと強く希望する。 


【過料決定の検証と解散請求裁判】

 

前記したように、2024年3月26日、東京地裁は、質問権行使に関連して、教団に過料(10万円)の支払いを命じる決定をした。当然教団は即時抗告をしたが、7月にはこの過料裁判の高裁決定が出ると言われている。果たしてこの裁判の動向は解散請求の本裁判(東京地裁)に影響するのだろうか。 

 

過料裁判の一つの重要論点は、宗教法人法81条1項1号の「法令違反」に民法の不法行為が含まれるか否かという問題である。 

 

法81条1項1号は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと」を解散請求の要件としているところ、文科省は岸田首相の解釈変更を受けて、「法令違反」に民法の不法行為が含まれると解して、法81条1項1号に該当する事由の「疑い」があると認め、解散請求を前提にした過料申し立てを行ったものである。当然教団側は法令違反に民法の不法行為は含まれないので、文科省の過料申し立ては、そもそもその前提を欠くと主張した。 

 

しかし結局裁判所は、政府の判断通り、法81条1項1号の法令違反行為に民法の不法行為も含まれると判断したのである。従って、文科省が証拠として出している不法行為を認めた22件の民事訴訟判決は、質問権の要件である宗教法人法78条の2第1項柱書きに規定されている法令違反をした「疑い」に該当するとした。但し、ここでいう「疑い」は、質問権行使の端緒としての「疑い」を意味するものであり、あくまで、所轄庁がその『疑い』があると認めたときに行使する権限であると裁判所は付け加えた。そうして次のように判示し、教団側の主張を退けた。 

 

「以上によれば、本件宗教法人について法81条1項1号に該当する事由があると言えるかは別として(この点は解散命令請求事件において判断されるべき事項である)、本件質問権行使当時においてその『疑い』(法78条の2第1項柱書き)があったことは認めることができる」 (東京地裁過料決定書)


一方、裁判官は、次のように述べ、信教の自由の重要性にも言及した。 

 

「法81条1項1号は、宗教法人について法令違反の事実があった場合、直ちに当該宗教法人に対して解散が命じられることとはしておらず、法令違反に伴って『著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした』と認められた場合に初めて解散が命じられることとし、『著しく』、『明らかに』との文言も加えて、解散命令の根拠となる事由を限定しているのであるから、同号の『法令』について、刑罰法規又は行政法規だけでなく、民法その他の法令が含まれると解したとしても、解散命令の根拠となる事由が過度に広がって、宗教法人ないしその信徒らの自由が害されることとなるおそれがあるとはいえない」 (東京地裁過料決定書)

 

そして信教の自由の重要性を強調して、次のようにも述べた 

 

「憲法が保障する信教の自由の重要性にも鑑みて、当該宗教法人に対して解散命令がされることが、当該宗教法人のした行為に対処するために必要でやむを得ないものであるかという観点からも、法81条1項1号を含む同項所定の解散命令事由の該当性は、慎重かつ厳格に判断されるべきものといえる」 (東京地裁過料決定書)

 

さてもう一つの論点は、文科省の質問に対する報告内容と義務の問題である。文科省は22年11月以降、教団に質問権を計7回行使したが、教団側が500項目のうち100項目以上に回答しなかったとして過料の申し立てをした。しかし教団側は文科省の質問事項について、可能なかぎり回答しており(段ボール何十個分)、回答しなかった事項については、回答しないことについて個人情報の秘匿など正当な事由があると主張して、その根拠を開示した。 

 

しかし結局裁判所は、教団側の正当事由を認めず、報告義務を怠ったと判断した。こうして地裁は教団に10万円の過料を決定したのである。文科省のやり方は、文字通り重箱の隅をつつく卑劣なやり方であり、はじめに結論ありきとはこのことである。 

 

なお、質問権行使に当たって、文科省は宗教法人審議会に諮問したと云うが、文科省職員は事前に審議会委員の同意を得るため個別に訪問し、「内閣がぶっ飛んでしまう」と泣き落として同意を得たことがサンケイ新聞で暴露された。また、審議会委員には政府から月70万円の手当てが出ているという。これらは、まさに茶番劇で、デュープロセス(適正手続き)の破綻である。 

 

【解散請求裁判の行方】 

 

さて解散命令請求裁判は今後どう展開するのだろうか。前記の通り、若狭勝氏は解散請求に至る意思決定の不透明さを指摘されると共に、他の法律との均衡が必要だとも強調された。中山弁護士も同様の見解を示されている。 

 

即ち、会社法や一般社団・財団法人法の解散事由は、「刑罰に触れる行為をした場合」であり、会社法等が「刑罰法令」違反に限定しているのに(会社法824条1項3号)、より厳格に解釈されるべき宗教法人の解散で、広く不法行為を含むのは著しく均衡を欠く。それゆえ、宗教法人法81条1項1号の「法令」には民法を含まない。これは確定した判例(オウム真理教高裁決定、平成7年12月19日)である(中山達樹著『家庭連合に、解散請求の要件なし』P4)。 

 

しかし、過料裁判では、「宗教法人と会社とは、種類の異なる法人であって、それぞれ異なる解散命令請求事由を定めている」として、上記若狭弁護士、中山弁護士の主張を退けた。 

 

ところで文科省は、2023年10月に東京地裁に解散命令を請求しているが、今回の過料の決定を出した同じ鈴木謙也裁判長の下で審理が進んでいる。解散請求の前提となっている質問権の行使を適法とした決定が、解散命令の審理に影響を与える可能性がある。 

 

しかし前記したように、鈴木裁判長は、「憲法が保障する信教の自由の重要性にも鑑みて、法81条1項1号を含む同項所定の解散命令事由の該当性は、慎重かつ厳格に判断されるべき」と判示しており、過料裁判と解散請求の裁判は別であるとの認識を示している。 奇しくも浜田聡議員が吐露されたように、筆者も裁判官の良心を信じたい。 

 

百歩譲って、仮に法81条1項1号の「法令」に民法の不法行為も含まれるとしても、解散の要件である継続性、組織性、悪質性はあり得ない。中山弁護士は「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」(宗教法人法81条の解散命令事由)という要件は、大変ハードルが高く、他の宗教法人との比較や、最近十数年の教団の改善を鑑みて、裁判所が解散命令を出す可能性はゼロだと言われており、筆者も同じ見解である。しかし一方、最悪の事態も考えて冷静に裁判の推移を見守りたい。 

 

筆者は、「裁判所に解散命令の判決を出させてはならない」と強く感じている。それは、UCのためというより、日本のためである。解散命令は日本UCの否定であるだけでなく、神の復帰摂理の否定であり、日本がキリストを拒否したことになるからである。 

 

そして、天地を創造された万能の神は、「耐えられないような試錬」に会わせることはないばかりか、試錬と同時に「のがれる道」も備えて下さる神である(1コリント10.13)。戦前、政府の大弾圧で潰された日本ホーリネス教団が、獄中で神が蔦田二雄(つただつぎお)牧師に働かれ、戦後、もっとよいインヌマエル教団として蘇ったように、如何なる政府の仕打ちにも係わらず、私たちは必ず甦る。 

 

以上をもって、「一般社団法人グローバルチャレンジ」の主催のシンポジウムのレポートとする。(了)    宣教師   吉田宏  

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