◇聖書の知識5ークリスマスって何だ？
｢ところが、彼らがベツレヘムに滞在している間に、マリヤは月が満ちて、初子を産み、布にくるんで、飼葉おけの中に寝かせた。客間には彼らのいる余地がなかったからである｣（ルカ2:6～7）
羊飼いの礼拝（レンブラント・ファン・レイン画）
今年もクリスマスの月がやって来ました。街には青や緑のイルミネーション
が幻想的な雰囲気を醸し出し、ジングルベルなどクリスマスソングが溢れて気
持ちを駆り立てる季節です。百貨店はまさにかきいれ時でしょう。
しかし、一体、日本人の何人が、クリスマスの本当の意味を知っているのだろ
うかと考えると、心もとない話しです。そこで、今回は｢クリスマスって何だ｣
というテーマで話を進めたいと思います。お付き合いのほどを！
Q:クリスマスとは、何をお祝いする日？
A:クリスマス（Christmas）は本来「キリストのミサ」という意味で、イエス・キリストの誕生を祝う祭りです。つまり、イエスの誕生を記念するミサという意味です。しかし、あくまで誕生を祝う日であって、イエス・キリストの誕生日ではありません。
ユダヤ教の暦では、日没を一日の始まりとしていますので、クリスマスは「12月24日の日没から12月25日の日没まで｣ということになります。
では、イエス・キリストが降誕した日がいつにあたるのかについては、古代からキリスト教内でも様々な説があり、確定していません。例えば3世紀の初め頃には、アレクサンドリアのクレメンスは5月20日と推測していたそうです。
古代ローマの宗教のひとつ「ミトラ教」では12月25日は「不滅の太陽が生まれる日」とされ、「太陽神ミトラを祝う冬至の祭」がありました。冬至を境に、太陽の時間が長くなるので太陽の復活という訳です。これをキリスト教が取り込んで12月25日をクリスマスにしたと言われています。
Q:サンタクロースの由来とは何ですか？
A:サンタクロースは、キリスト教の聖人である聖ニコライ（ニコラウス）の伝説が起源とされています。４世紀に東ローマ帝国小アジアのシュラ（現在のトルコ）に実在したカトリック教会司教セントニコラウスだというのが一般的です。
彼は貧困のため結婚出来ずに苦しむ娘たちの枕もとの靴下に、金貨を入れて回ったと言われています。このニコラウスの話が元になり、ゲルマン土着の風習と相まって、クリスマスイブに良い子達はプレゼントがもらえるという話が出来上がりました。
サンタクロースは、クリスマスの夜にだけ現れる人物で、全身「赤と白の服装」をしているヒゲを蓄えた老人です。トナカイに乗って現れると言われていますが、どこの誰かはわかりません。
Q:サンタクロースは、何故、白と赤の服を着ているの？
A:カソリックの司祭は赤い服を着ています。それは、神と信者のために血を流す覚悟を象徴していると言われています。サンタクロースの赤色は、カトリック教会の祭服の赤色に由来しているのです。
また、白色は教皇の着る色で、これは純潔の象徴です。即ち、サンタクロースの白と赤の服は、純潔と犠牲の象徴だったのです。キリスト教の最も重要な徳目は純潔と犠牲です。
ポーランドの国旗は白と赤で、やはり純潔と犠牲を象徴しています。日本の日の丸も白地に赤ですが、聖徳太子が遣隋使に託した文書以来、自国を「日出ずる国」とする考え方があり、赤い日の丸は日の出の太陽を象徴すると言われています。また紅白は日本の伝統色で、めでたいものとされており、赤は博愛と活力、白は神聖と純潔を意味するとも言われているのです。
Q:クリスマスツリーは、何故モミの木なの？
A:モミの木は、常緑樹で年中緑です。緑は「永遠のいのち」を象徴する色なのです。つまり、キリストにあっての永遠の命を象徴しているのです。
またクリスマスツリーに飾りつけやイルミネーションを施す風習は、19世紀以降のアメリカ合衆国で始まったものだと言われています。
Q:クリスマスには、何故ケーキを食べるの？
A:クリスマスケーキは、本来イエスの誕生を祝うために用意するものです。また、家族、友人、信者のよき交わりを象徴しています。だから、クリスマスケーキは、みんなで戴くのが一番です。
キリスト教圏では、クリスマスには主に家族と過ごし、クリスマスツリーの下にプレゼントを置き、プレゼントを贈る気持ちである「愛」の日でもあるということです。
以上、クリスマスについてのお話しでした。クリスマスの儀式には、純潔、犠牲、愛、永遠の命、といったキリストのエキスが詰まっているということです。
今年のクリスマスは、ちょっと違ったクリスマスになりそうですか。(了)
＊上記絵画：羊飼いの礼拝（レンブラント・ファン・レイン画）