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マーティン・ルーサー・キングの思い出 黒人という新しい選民

○つれづれ日誌(令和2年7月8日)-マーティン・ルーサー・キングの思い出 黒人という新しい選民 

今やアメリカを始め世界で、良きにつけ悪しきにつけ黒人がクローズアップされてきました。昨年12月28日、ニュージャージー州でWCLC創設大会が行われましたが、参加者の多くが黒人でした。

WCLC(世界聖職者協議会)は、キリスト教の聖職者が主軸になった超教派・超宗教・超人種・超国家評議会であり、米国、韓国、英国、カナダ、パラグアイ、ドミニカ共和国、南アフリカなど30カ国以上で活動しています。

この団体の母体は、米国の聖職者協議会(ACLC)で、ACLCは2000年5月に米国聖職者120人を中心に創立されました。現在、世界で約3000個の教会、6000人以上の聖職者が活動しているということです。韓国でも大韓民国の聖職者協議会(KCLC)が昨年10月に蚕室ロッテホテルで700人の牧師たちが参加した中で創立されました。

WCLCは、再臨摂理上、他の如何なる組織にまして重要な意味を持つ団体だと認識しており、キリスト教人口が少ない日本にないことは寂しい限りというほかありません。筆者は、上記WCLC創立大会をネット中継で視聴しましたが、次のフレーズはその感想コメントの一節です。

「いつもの私なら、『大会に参加しているのは黒人ばかりで、肝心の白人が来ていないじゃないか』と辛口のコメントを出したことでしょう。しかし今回与えられたインスピレーションは、『黒人こそ再臨期の新しい選民だ』ということでした。奴隷生活の中で蕩減が晴れ、今、直接霊界から導かれ、神に祝福された主を証す民にならんとしています。今回、これをはっきり感じました」

南アフリカ神の啓示教会の創立者であるサミュエル・ハデべ預言者、ロスのノエル・ジョーンズ牧師、ACLAのスターリング大司教ら黒人リーダーらの働きは、蕩減が晴れた新しい選民の姿を見るようです。

そして黒人の歴史において、キリスト教の霊的リーダーとして特筆すべきは、何といってもマーティン・ルーサー・キング・ジュニア(1929年1月15日 ~ 1968年4月4日)でありましょう。1964年のノーベル平和賞受賞者であり、1968年4月に暗殺されたバプテスト派のキング牧師は、筆者にとっても大変思い出深い人物です。

昔、立正佼正会出身の小宮山嘉一というカリスマ食口がいました。その彼が1968年4月のある日曜日、京都教会の礼拝で語った説教が「マーティン・ルーサー・キングの死を悼む」でした。まだ若い筆者には、キングがどういう人物で何をしたのか、何も知りませんでしたが、夭折(ようせつ)してしまったこのカリスマ食口が、礼拝で語ったあの義憤に満ちた声だけが妙に耳に残って離れませんでした。


あれから半世紀以上が過ぎた今、キングのあの有名な演説、「I Have a Dream」(私には夢がある)を読み返しながら、キングの追悼説教を行った亡き小宮山氏の思い出が蘇ってまいりました。ちなみに氏は、1年間京都で筆者と寝食を共にし、「真理を探求するとはどういうことか」を身をもって教えて頂いた恩師であります。心からご冥福をお祈りいたします。

そこでこの度キングについて話題に登っているこの機会に、云わば黒人キリスト者の代表格とも言うべきキングについて、彼は何者だったのか、如何なる思想を持ち、何をしたのか、我々は彼をどう評価すればいいのか、などについて考えてみたいと思います。

1、プロテスタントバプテスト派のキング牧師は、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者として活動しましたが、アメリカ合衆国 ジョージア州アトランタで1968年4月4日暗殺されました。(39歳没)

1963年8月28日に行われた2万人のワシントン大行進の集会において、キングは、リンカーン記念堂の前であの有名な「I Have a Dream」(私には夢がある)を含む演説を行い、人種差別の撤廃と各人種の協和という高邁な理想を、簡潔な演説で訴え広く共感を呼びました。

「私には夢がある。それは、アメリカの夢に深く根ざした夢である。それは、いつの日か、この国が立ち上がり、『すべての人間は平等に作られているということは、自明の真実であると考える』というこの国の信条を、真の意味で実現させるという夢である!」 

この上記のフレーズは、1774年7月4日の独立宣言の一節「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」から取られたもので、人間の自由・平等の権利が神によって付与された不可分、不可譲の自明の権利であることを宣言したものです。

この独立宣言の理想は、日本を始め各国の憲法理念に取り入れられた貴重な文書です。これこそが「アメリカの夢に深く根ざした夢」であるとキングはいうのです。

2、キングを先頭に行われたこれらの地道かつ積極的な運動の結果、アメリカ国内の世論も盛り上がりを見せ、ついにジョンソン政権下の1964年7月2日、人種差別撤廃を法律によって保証した公民権法(Civil Rights Act)が制定されました。これにより、建国以来200年近くの間、アメリカで施行されてきた法の上における人種差別が取り敢えず終わりを告げることになりました。

そしてキングの提唱した運動の特徴は徹底した「非暴力主義」であり、これはインド独立の父、マハトマ・ガンディーに啓蒙されたものであり、また自らの聖書的確信から出た信念でありました。即ち、キングの運動は、左翼やマルコムXのような怒りと憎悪に根ざすものではなく、神から付与された自由・平等をその如く実現するという正義から出たものであり、あくまでも聖書的なものであります。

このガンジーの非暴力主義と聖書的確信、この2つが最終的に政府と国民を屈服させました。ノーベル平和賞の授賞式でキングはこう演説しました。「非暴力とは黙って言いなりになることではない。社会的変化をもたらす力強いモラルのことだ」と。

キングは、1955年にボストン大学神学部で博士号を取得したバプテスト派の牧師であると共に、ノーベル平和賞(1964年)、大統領自由勲章(1977年、死後)、議会名誉黄金勲章(2004年、死後)を取得したアメリカ最大の人種差別撤廃運動の騎手でした。

キングの栄誉を称え、ロナルド・レーガン政権下の1986年よりキングの誕生日(1月15日)に近い毎年1月第3月曜日をキング牧師記念日として祝日としています。

4、キングが6歳のある日、友達の母親が「黒人とは二度と遊ばせません!」と宣言したこと、これが人生におけるはじめての差別体験でありました。また、1942年、バスの中で白人から席を譲れと強制され、激しく怒ったこと、これが後のバス・ボイコットにつながっていきました。そして1955年12月にモンゴメリーで発生したローザ・パークス逮捕事件が彼の運命に大きな変動をもたらすことになります。

この事件は、黒人女性であるローザ・パークスがバス内で白人に席を譲らなかったために逮捕されたもので、当時、アラバマ州モンゴメリーのバプテスト教会の牧師であったキングは、この事件に激しく抗議してモンゴメリー・バス・ボイコット運動を計画し、その運動の先頭に立ったのです。

この運動は382日間に及んで続けられ、この運動の結果、1956年11月に連邦最高裁判所からバス車内人種分離法違憲判決を勝ち取り、抗議運動は成功を収めました。この運動の成功によって公民権運動はアメリカ全土に広範な広がりを見せるようになり、1964年の公民権法制定に繋がりました。

しかし、深く根付いた差別意識は依然として教育や雇用の場に蔓延しており、まだ階段の入り口には立てても頂点には上っていけないのが現実でありました。キングは、公民権法制定後も、人種差別撤廃を実行あるものにするべく全国を回って運動を指導しました。公民権法が制定されたとは言え、まだまだ差別は続いていたのです。

5、ただキングはその死後、側近などによる証言やFBIの調査による女性関係の醜聞が明らかにされています。

ジャクリーン・ケネディは、FBIによって盗聴・録音されたキングの妻以外との女性関係を示す内容のテープを聴き、彼を「偽善者」と批判しています。また、キングがホテルで不特定多数の女性と性交渉を行っている様子を盗聴していた事実が公表されたり、説教の草稿作成や調査用の名目で借りていたアパートにおいて、女性と密会していた事がFBIの盗聴によって露呈していた事が明らかにされました。

生前、これらの録音テープで、FBIからキングを自殺に追い込む執拗な脅迫を受けていたことが分かっています。(以上、 Wikipedia)

またFBIのフーバー長官は、キング牧師が共産主義の影響を受けていると考えていたと言われ、当時人々の支持を集めていたキングを貶めようと躍起になっていたのは既知の事実でした。

明治維新の三傑の一人、桂小五郎(木戸孝允)は、「酔うては美人の膝枕 覚めては握る天下の権」と歌いました。女性問題は抱えているが有能な指導者と、身辺は清潔だが無能な指導者と、どちらがいいのでしょうか。もちろん身辺が清潔で有能な指導者がいいに決まっているのですが・・・。

6、それにしても、韓鶴子女史を証しする黒人牧師らの数々の働きを見るまでもなく、黒人が成約時代の新しい選民たる資格を有することは明らかです。

そしてキングが神に召された摂理的人物であり、信仰と改革の賜物を付与された預言者であったことは間違いありません。我らのUC創始者も、人種間の壁を打破したキングを高く評価され、その後継者たちが我らの超教派的な信教の自由運動に同参しているという事実をみても明らかです。キングは、暗殺されたことによって、リンカーン、ケネディに並ぶ伝説の人となりました。

イエス・キリストは、「あとの者は先になり、先の者はあとになる」(マタイ20・16)と言われましたが、最も惨めで救いからほど遠いと思われていた黒人が、意外にも、再臨摂理の先頭に立っているというのです。(了)


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