top of page

​他のアーカイブ記事は下のカテゴリーメニューを選択し、一覧表示の中からお選び下さい。

​他の記事は下のVマークをタップし、カテゴリーを選択し完了をタップ。記事一覧が表示されます。

殉教を考える③ 共産圏の宗教弾圧

🔷聖書の知識29ー殉教を考える(3)→共産圏の宗教弾圧

わたしはまた、一匹の獣が海から上って来るのを見た。それには角が十本、頭が七つあり、それらの角には十の冠があって、頭には神を汚す名がついていた。 (黙示録13・1)

最近、新型コロナウィルス一色のニュース報道ですが、これが騒がれている理由は、この中国発の新種のウィルスが、得たいが知れず不気味であること、従ってワクチンが無いこと、発生元の中国が発生経緯を隠蔽していること、などが挙げられています。一説によれば、武漢の生物兵器研究所からの流出ではないかと言われています。

キリスト教会では、神がコロナウィルスを通して、私たちに悔い改めの機会を下さっているとの見方があり、また聖書預言に見る終末の予兆(ルカ21・11)との見方があります。

筆者は、かってチェルノブイルでの原発事故が発端となってソ連共産主義が崩壊したように、武漢発コロナウィルスは、中国共産党崩壊の合図であり、無神論に対する神の警告ではないかと感じています。何故なら神は無神論国家や無神論的な世界秩序の形成を決して許されないからです。文先生も共産主義は70年を越えられないと言っておられる通りです。

アメリカでは、中国に対する損害賠償訴訟が提起されつつあり、今後、中国共産党が世界中から重大な責任を追及されることは間違いありません。その時、日本はやはり中国にたいする忖度政治を続けるというのでしょうか。

今回、「殉教を考える」の最終項になりますが、今回は、ソ連、北朝鮮、中国など共産圏の宗教弾圧について、特に中国共産党によるキリスト教、チベット、ウイグルなどへの宗教弾圧とその阻止について考えたいと思います。共産主義こそ、まさしく最大の反キリスト、黙示録13章11節に出てくる「神を汚す獣」に他なりません。

1、ソ連の宗教弾圧


1917年のロシア革命以降、無神論の立場を取るソビエト政府の下でロシア正教会を中心としたキリスト教は弾圧され、多数の信者や聖職者が犠牲となりました。

1921年から1923年にかけてだけで、主教28人、妻帯司祭2691人、修道士1962人、修道女3447人、其の他信徒多数が処刑されたとする文献もあります。救世主ハリストス大聖堂をはじめとする多くの大聖堂もダイナマイトで爆破されていきました。

こうした共産主義による教会弾圧は旧ソ連に限らず共産主義諸国各地でみられ、特にアルバニア正教会における弾圧は熾烈を極めました。信仰の自由が回復された1990年代で、生き残った司祭はアルバニア全土で22人しか居なかったとされています。

<ロシア正教への弾圧>


典型的な例として、ソ連における宗教(ロシア正教)に対するレーニンをはじめとする共産主義者の迫害です。

革命前のロシアでは、ロシア正教は930年に及ぶ国教であり、その影響力は大きく、ボルシェビキ(共産党)政権からみれば、ロシア正教は、人民を惑わすアヘンであるだけでなく、ロシア皇帝の権力維持のためのお抱え宗教であり、自分たちの政権基盤をゆるがしうる政治的に大きな障害・脅威と映ったのです。

1918年1月23日から教会を国から、教育を教会から引き離すことに決定しました。つぎにレーニンは、教会の所有する土地、聖堂、修道院をはじめとして聖職者たちの住む家、教会所属の学校、福祉施設、蝋燭工場などの土地をすべて政府のものにしたのです。また6千にわたる聖堂や修道院の建物が、博物館あるいは歴史的に価値ある建物として没収され、1914年に1025あった修道院が、1920年までに674が閉鎖されました。

土地に続いて教会の銀行預金すべても没収され、教会所有の42億4800万ルーブルが没収され84の工場、436の酪農場、602の牧場などが国有となり、なかには集団農場と指定されて、修道士や修道女がそのまま強制的に労働者とさせられたところもありました。また、聖堂を無神論の講義場、劇場、講演会場、ダンスホールなどにも使えるようにし、教会としての使用は許可されませんでした。

聖職者は社会的に劣等国民として辱めを受け、食糧の配給を受けられないだけでなく、国営の仕事にはつけませんでした。しかも、その子どもたちは小学校以上の教育は受けることができないなど、あらゆる手段で教会を抹殺しようとしていたかわかります。(参考文献:『迫害下のロシア教会』高橋保行著/教文館P77)

以上の通り、ロシア正教は、70年に渡る共産主義政権下で、文字通り辛酸を舐め、多くの殉教者を出すことになりました。1991年ソ連の崩壊後は復活し、今ではロシアの準国教的宗教になっています。

<ソ連崩壊後の宗教政策>


ソビエト連邦は70年以上無神論政策を続けましたが、信仰はなくなりませんでした。ソ連時代にすら共産党エリートも密かに教会で洗礼を受けており、1982年、ブレジネフ書記長の葬儀で、未亡人が夫に十字を切るのを見て、米政府は驚き、宗教の復活を予感したと言われています。

1991年にソ連が崩壊すると宗教の自由の時代が訪れ、社会の混沌の中、カトリック、プロテスタント各派、欧米の新興宗教、さらに日本の仏教系宗派までが宣教に乗り出しました。家庭連合もその一つです。しかし、その中でもロシア正教会は政治と結びつきながら圧倒的な影響力を取り戻しています。

1997年に、宗教を幾つかのカテゴリーに分類する「良心の自由と宗教諸団体法」が成立し、ロシア正教会は「全ロシアの歴史的、精神的、文化的に不可欠な部分」として特別扱いされるようになり、イスラム教、仏教、ユダヤ教は2番目の「伝統的宗教」に位置付けられ、カトリックやプロテスタント諸派は3番目の「非伝統的宗教」に、それ以外の宗派は4番目のカテゴリーとされました。

プーチン大統領は2005年に初めて東方正教の聖地アトス山を訪問、その後も2度訪問し、2015年からはロシアを「正教大国」と表現するようになり、宗教的な「垂直」的権威を強調しながら保守主義を強調する側面が強まっているといいます。

しかし2019年、ロシアで反テロ関連法の一部として、プーチン大統領が署名し「伝道規制法」が成立し、数千教会が反対の断食祈祷会を行ったという記事が報じられました。これは、教会の建物や敷地以外では、いかなる種類の伝道も禁じるもので旧ソビエト時代の復活かと案じらています。

2、北朝鮮の宗教弾圧


北朝鮮共産党の宗教弾圧で、先ず思い出すのがUC創始者の投獄と拷問です。1946年8月、先ず腹中教の許浩ビン教主が獄に入れられ、次に創始者もスバイ容疑で投獄され、瀕死の拷問にさらされました。また1948年、韓鶴子女史の祖母と実母が腹中教信者という理由で11日間投獄されています。

アメリカにあるキリスト教迫害監視団体の「オープン・ドアーズ」は、キリスト教徒に対する迫害がひどい上位50カ国をまとめた「ワールド・ウォッチ・リスト」を毎年発表しています。2018年のリストによると、最も迫害がひどいとされたのは迫害指数94の北朝鮮で、17年連続でした。2位のアフガニスタンが指数93でした。北の独裁政権は、思想の自由、信教の自由、表現の自由、そして情報へのアクセスを国民に認めていません。

韓国中央学術研究所のレポートによると、北の宗教政策は概ね三期に分けられると言われています。

第一期は1945年から1972年7月の南北共同声明までで、「宗教活動弾圧期」ないしは「宗教消滅期」であります。金日成は、宗教は反革命的で非科学的な世界観だとし、特にキリスト教はアメリカ支配の道具と見なされていました。上記の腹中教などが弾圧された時期であり、宗教は表面上完全に消滅することになりました。

初期共産政権下で、クリスチャンは信仰を捨てるか、共産主義者になるか、韓国へ逃げるか、殉教者になって死ぬか、投獄されるかの選択を迫られました。1946~53年までの間、150万人以上の北朝鮮人が韓国へ逃亡し、その多くがクリスチャンだったと言われています。その一家族として韓鶴子女史とその祖母、母の南下、そして文先生の興南刑務所からの南下も含まれています。

第二期は、1972年から1980年とし、「宗教利用期」ないしは「宗教団体再登場期」と言える時期です。新憲法で「公民は信仰の自由と反宗教宣伝の自由を有する」と規定され、宗教は専ら政治的目的に利用されたと言えるでしょう。

そして第三期は、1980年から現代までですが、「宗教活動許容期」ないし「宗教活動再開期」と言える時期であります。1985年から1989年にかけてカトリックやプロテスタントの教会が建てられましたし、1991年に文先生と金日成の歴史的な出会いがあり、宗教施設の世界平和センターも建てられました。また、反宗教宣伝の自由の規定は削除され、従来の「戦闘的な無神論」は放棄されつつあると考えられます。

以下は、最近のクリスチャンプレス吉田暁氏のレポート(2019年7月23日) による主な宗教的迫害に関する情報です。

金正恩体制にとって、キリスト教は西洋の敵性宗教で、クリスチャンは信仰を隠さなければならならず、見つかれば、投獄、強制労働、死刑に処せられる場合があります。

しかし、宣教団体オープン・ドアーズによると、迫害下にあるクリスチャンが10万人~30万人存在し、そのうちの多くが極秘のうちに教会に通っていると言われています。

この70年の間に、北朝鮮人クリスチャンの生活は危険にさらされ続け、キリスト教慈善団体インターナショナル・クリスチャン・コンサーン(ICC)によると、少なくとも5万人のクリスチャンが信仰故に投獄され、その他多数の人々が強制労働を課せられました。

何が起こるか分からない恐怖の中、日本の潜伏キリシタンのような信仰を続け、捕らえられた場合は、投獄され、拷問、強姦、処刑、さらには棄教しない者は十字架刑に処せられたという報告もあります。さまざまなNGOが、共産主義政権に対して、思想や信教の自由を保障するように圧力をかけており、今年になって「北朝鮮の信教の自由のための国際同盟」が発足しました。

しかし、このような弾圧にも関わらず、多くの宣教師が極秘に活動するとともに、獄中でも宣教活動を行うなど、宗教的活動は引き続き行われているということであります。

3、中国のキリスト教概観と宗教弾圧


以下、中国のキリスト教と宗教弾圧について述べたいと思います。


<概観>


中国へのキリスト教の伝播は、7世紀の唐の太宗の時代に「景教」と呼ばれたネストリウス派キリスト教が紹介されたのが最初とされています。「大秦景教流行中国碑」が残り、長安などに景教寺院があったことが文献に残っていますが、その後信者は減り、衰退しました。

以降も、元のモンテコルヴィーノや明のマテオ・リッチ、清ではカスティリオーネやアダム・シャールのように、様々な宗派が、中国で宣教を続けました。

共産党政権下では下記に述べますように、共産主義のイデオロギーによる、様々な宗教活動の制限や監視が行われました。しかし、改革開放政策の進展よる拝金主義や経済格差、情報通信の発達などにより共産主義イデオロギーの絶対性が崩壊し、それに代わる精神のバックボーンとしてのキリスト教への帰依が都市部を中心に急速に進展しはじめました。

そして今日、大きな浸透が農村部の深部や辺境地まで広がっており、教勢を増している最中であると伝えられています。中国のキリスト教人口は1949年には100万人程度とみられていましたが、現代では、8000万人~9000万人(人口の約7%)まで急増していると言われています。当局の監督下にある国家公認教会と非公認教会の合計が人口の10%を超える段階に達しており1億人を超えているという情報もあります。 

現代の中国では、憲法で中国人民の信教の自由を保障していますが、一方で外国の影響を受ける宗教組織の活動は認めない方針を採っており、政府が公認しない教会は政府の登録を受けられない地下教会となっています。バチカンの影響下にあるカトリック教会を、非合法組織として取り締まりの対象としています。キリスト教については政府主導により「三自愛国教会」を組織し、外国人聖職者を国内から去らせました。

三自愛国教会とは、中国共産党の主導によって設立された中国の合同教会で、自養、自治、自伝の三つから三自の名称が付けられています。世界教会協議会(WCC)に加盟し、エキュメニカル派は政府公認の三自愛国教会と交わり、福音派は「家の教会」と交わっています。

しかし、中国共産党の幹部クラス党員やその家族の間にも広範かつ急速なキリスト教入信の流れがあり、日々勢いを増しているために、中国政府は現実的な落とし所を探っており、特に、バチカンとの関係修復に積極的な動きを見せています。

なお、アメリカのキリスト教迫害監視団体「オープン・ドアーズ」は、中国を「キリスト教徒に対する迫害が激しい国」と位置付けています。

<中国共産党によるキリスト教弾圧>


中国では、1978年から鄧小平理論による改革開放政策、市場経済が進められ、マルクス=レーニン主義・毛沢東思想とは、大きく乖離し、共産主義思想では、もはや国民を統合できなくなりました。

こうしたなかで、共産主義思想に替わって心の支えとなるものとして宗教が浮上し、特にキリスト教に帰依する者が、都市部を中心に急速に増加しました。さらに農村部や辺境地にまで、キリスト教が浸透し、教勢を増していると言われています。

共産党政権は、キリスト教への対応を強化し、特に司教任命権問題があり、公認していないカトリック教会の信者に対して統制を強めています。また共産党員は宗教に入ることを禁止しされていますが、近年、共産党員でありながら宗教に入る者が増加し、幹部級の党員やその家族の間にも広がっているため、習近平政権は「改正宗教事務規定」を出して宗教活動を統制しました。

2018年2月1日に施行された 改正宗教事務条例 は、主に政府の管理下に置かれていない 「家庭教会 」を破壊し、三自教会への参加を強要することを目指すものだと言われています。

浙江省では、2016年2月、政府当局がキリスト教会の屋根に取り付けられた十字架を強制撤去し、撤去に抗議する信徒を相次ぎ拘束し、教会が破壊されるという事件が発生しました。同省の温州市は人口の15%をキリスト教徒が占め、「中国のエルサレム」と呼ばれています。(細川一彦ブログ参考)

米国務省の2019年度版「国際信教の自由報告書」は、「キリスト教の教会の指導者は、新宗教事務条例の施行後、監視をさらに強めており、多くの教会が通常の活動を中止せざるを得なくなったと言っています。

報告書は「5つの公認を受けた宗教のみが、制限つきで礼拝を執り行うことを許可されている」と指摘し、「宗教団体の信者が政府により拷問され、身体的に虐待され、逮捕され、拘留され、懲役刑を言い渡され、そして、嫌がらせを受けていた。中国では、非公認の宗教活動に参加した者は、刑罰及び行政の処罰の対象となる」と指摘しています。

中国共産党を批判するカトリック教徒は継続的に逮捕され、教会は閉鎖され、取り壊され、カトリック教徒は中国共産党が管理する 「中国天主教愛国会」 に強制的に参加させられています。なお、バチカン側は合意により、参加は強制されるべきではないと主張しています。中国天主教愛国会とは、中国政府に公認された、しかし、バチカンからは独立した、カトリックを称する教会で、中国政府による宗教管理組織という評価を受けています。                                

公認の教会に通う信者の数は、とカトリックを合わせ、1982年に600万人だったのが、現在は4400万人に。信仰が広まるにつれ、当局の管理を嫌う信者も出始め、非公認の教会が増えています。家庭教会とか、地下教会などとも呼ばれ、その信者の数は公認の教会に通う信者に匹敵するという見方もあります。中国政府は、急速に増えているキリスト教信者への締めつけを、これまでにないほど強めています。

そのほかに、牧師や神父には、説教の中で共産党をたたえることや、政府幹部との会食に参加することが求められ、共産党に忠実な存在だということを示さなければなりません。

またこの報告書は、臓器摘出の確かな証拠が揃っており、この恐ろしい行為が今も行われていることを否定する 中国共産党 の試みはプロパガンダに過ぎないとも告げています。

<ウィグルへの弾圧>


米国務省の2019年度版「国際信教の自由報告書」は、中国に最も多くのページを割き、次にウイグル族、法輪功の学習者、全能神教会の信者などの宗教弾圧を警告しています。

以下、米国国務省報告書に基づいて、キリスト教以外の中国共産党による宗教弾圧を述べていきます。

ウイグル族は、中国に約1千万人いるとされるイスラム教徒のトルコ系少数民族で、1955年、新疆ウィグル自治区として中国に編入されました。

ウィグルの伝統文化の復興、民族独立運動、及びイスラム教への統制が厳しくなり、中国政府と対峙するようになりました。2009年、民族政策への不満や社会的な差別を背景に、新疆ウイグル自治区ウルムチでウイグル族と漢族が衝突し2千人近い死傷者が出ました。また、45回もの核実験で多くの原爆被害が出たと言われています。

中国の新疆ウイグル自治区で多くのウイグル人が「テロ対策」を名目に拘束され、共産党への忠誠強化のために「再教育キャンプ」に送られるなど弾圧が指摘されています。80万人から最大で200万人のウイグル族、カザフ族をはじめとするムスリムのグループを収容施設に勾留し、再教育という名の宗教弾圧が行われています。別の情報ソースは2019年半ばには300万人に達したと主張しています。

収容施設の外であっても、新疆での生活は悲惨であり、報告書によると、徐々に新疆全体が野外刑務所に姿を変えつつあるようだと言っています。

<チベットへの弾圧>

チベット問題とは、チベット政府と中国政府との間で起きている、人権問題と自治問題を中心とした問題の総称です。

チベットは世界の屋根と呼ばれるヒマラヤ山脈の北側に広がる、平均海抜4500mのベット高原上に位置する地域です。かつてはラサを都とする独立国でしたが、1951年に中国人民解放軍による侵攻を受け、「チベット自治区」として中国の一部となりました。

しばらくは中国との共存を果たしていたダライ・ラマ14世ですが、1951年~1959年に「中華人民共和国政府による併合」に抗議するとして独立運動を起こし、中国に弾圧され、1959年インドに亡命し、亡命政府を樹立することになりました。

中国政府はダライ・ラマ14世を「分離主義者」と決めつけ非難を続けています。一方で、ダライ・ラマ14世は漢族(中国人入植者)がチベット族を抑圧している状況を国際社会に訴え、暴力を否定し、チベット問題の平和解決を主張しています。その姿勢が評価され、1989年にはノーベル平和賞を受賞しました。

近年のチベット地区の経済は大量に入植してきた漢族が実権を握り、教育水準の低いチベット族はますます不利な立場に追いやられています。また、宗教や思想信条を理由にチベット族が不当に逮捕されたり、拷問を受けたりする事件も多発するようになりました。

チベットでは、今まで150人以上の僧侶が抗議の焼身自殺を図っており、全体的にチベットの状況は悪化しています。中国共産党はチベットの僧侶と尼僧に対し、中国共産党を支える義務を課しています。

また海外の組織や個人は化身ラマの選定に関わることができず、全ての化身ラマは中国国内で生まれ変わることを義務づける規定が存在し、中国政府は、公式に認められた化身ラマの登録を管理している、と伝えています。

<法輪功への弾圧>


非宗教的な気功団体である法輪功にも、激しい弾圧が行われてきました。法輪功は、1992年以降、爆発的に学習者が増え、これを警戒した江沢民は、法輪功を「邪教」だと断じて弾圧を開始しました。法輪功の学習者は、当時7000万人以上に上っていて、彼らが結託して、政治的な関与を行うことを恐れたものとみられています。

法輪功は、中国国内での活動が禁止され、学習者は投獄され、虐待・拷問を受け、多数の死者が出ています。また生きたまま臓器移植用に臓器を取り出されたという事例の告発が絶えません

法輪功は隠れて活動せざるを得ない状況にあるにも関わらず、今でも中国で際立つ存在感を放っています。そして、弾圧を受け続けており、米国務省報告書は複数の実例を紹介しています。

<全能神教会への弾圧>


中国で勾留されている宗教の信者の中で、圧倒的多数を占めているのはイスラム教徒であり、単一の宗教団体として最も弾圧を受けているのは全能神教会だと言われれいます。全能神教会は、中国共産党を「巨大な赤い龍」と呼び、これを倒して新国家を作るべしと主張しているため、当局から厳しい規制を受けています。報告書は「全能神教会は、当局が2018年の1年間で1万1111人の信者を逮捕したと報告した」と言及しています。2位の法輪功の逮捕者は9000人でした。

<いわゆる「カルト団体」への弾圧>


中国では、法律が特定の宗教と宗教団体を禁止しており、刑法は禁止されている団体を「カルト団体」と定義し、このような団体に属する者への刑事処罰及び終身刑を含む刑期を規定しています。下記の通り、UCもカルトとされています。

政府は 呼喊派、全能神教会、門徒会、全範囲教会、Spirit Sect、新約教会、三班僕人、ディサイプル協会、ロード・ガッド宗教団体、創立王教会、世界平和統一家庭連合、愛の家族、華南教会を含む複数のキリスト教団体を「邪悪なカルト(異端の教え)」と見なしていると報告書は伝えています。

さらに、中国では反カルトのプロパガンダの強力な手段と虚偽報道が邪教に指定された団体に対して行われていると指摘しています。

去る3月25日、幸福実現党本部で行われた宗教政治研究会で、「中共の宗教弾圧を糺す宗教人の会」の設立と国民大会開催の提言を行いました。上記に見てきた中国の宗教弾圧、人権蹂躙に対しては、先ず宗教人が先頭に立ち上がるべきだというのが、提言の趣旨であります。

以上の通り、キリスト教の大きな特徴である殉教について3回に渡って見てまいりました。成約のクリスチャンである私たちは、殉教という死の淵を覗き、一度はそこに思いを馳せることは、決して無駄ではありません。是非読み直して、殉教者の心情を味わって見て下さることをお薦め致します。次回は、「異端」という今一つのキリスト教の特徴について考えで参りたいと思います。(了)



bottom of page