再考-UCにおける未曾有の試練 高市首相の所信表明演説に思う
- matsuura-t

- 10月29日
- 読了時間: 13分
◯徒然日誌(令和7年10月29日) 再考-UCにおける未曾有の試練ー高市首相の所信表明演説に思う
ヨセフは兄弟たちに言った、「わたしに近寄ってください」。彼らが近寄ったので彼は言った、「わたしはあなたがたの弟ヨセフです。あなたがたがエジプトに売った者です。 しかしわたしをここに売ったのを嘆くことも、悔むこともいりません。神は命を救うために、あなたがたよりさきにわたしをつかわされたのです。(創世記45.4~5)
プロローグー所信表明演説
さて10月21日、第219国会において高市早苗首相の所信表明演説が酷いヤジの中で行われたが、岸田・石破政権4年の沈滞し左傾化した政治を一掃するかのような、信念に満ちスッキリした演説であった。
第一次安倍内閣(2006年9月~2007年9月)で、安倍氏はオールドメディアや左翼から辛辣なバッシングを受けて、在職1年で退陣したが、5年のどん底の雌伏を経て再び甦り、第2次内閣から第4次内閣(2012年12月~2020年9月)まで首相を務めた。通算首相在職年数は、桂太郎の2886日、佐藤栄作の2798日を超えて、憲政史上最長の3188日(8年7ヶ月)だった。この間、鳩山由紀夫・菅直人・野田佳彦の民主党政権3年間で、すっかり疲弊した日本を見事に蘇生させ、日本は文字通り世界のリーダー国家に復活したのである。
この安倍氏の正統な相続人として奇跡的に日本初の女性宰相として立ったのが高市早苗首相である。安倍氏と同様、高市首相はオールドメディアや左翼の激しいバッシングに晒されながら、これに打ち勝った。作家の門田隆将氏は、高市首相の所信表明演説を聞いて、「国家観、歴史観のある所信表明を聞いたのは久方振りだ」とした上で、「これで日本は復活する、再び世界の真ん中に立つリーダー国家になる」と感動を述べ、岸田・石破政権の4年間は長く辛い日々だったと率直にその心情を吐露した。
かって安倍元首相が、民主党政権で沈滞した日本を蘇生させたように、高市首相は岸田・石破政権で疲弊した日本を復活させると言うのである。それを証明するように、高市内閣支持率は脅威の75%を越えた。
【所信表明演説に思う】
所信表明は、「日本と日本人の底力を信じてやまない者として、日本の未来を切り拓く責任を担い、この場に立っております」との信念を感じさせる言葉から始まった。そして強い経済を作り日本列島を強く豊かにし、世界の真ん中で咲き誇る力強い外交・安全保障政策を推進し「日本再起」を目指すとした。
以下、①経済財政政策、②外交・安全保障政策、③憲法改正・皇室典範改正政策の主要3点について概観する。
<経済財政政策>
先ず強い経済を取り戻す方針として、「経済あっての財政」の考え方を基本とし、「責任ある積極財政」の考え方の下、戦略的に財政出動を行うとした。これにより、所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収を増加させることを目指すという。また成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで、財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信認を確保していくとも述べた。
さらに物価高対策、ガソリン税・軽油引取税のの暫定税率廃止、103万円の壁の160万円まで対応も約束した。また、経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障、健康医療安全保障、国土強靱化対策など大胆な「危機管理投資」による力強い経済成長を目標にし、特にAI・半導体、造船、量子、バイオ、航空・宇宙、サイバーセキュリティ等の戦略分野に対して、大胆な投資促進を行い技術立国を目指すという。
この為に財政に詳しい積極財政派の片山さつき氏を財務大臣に、日本成長戦略担当大臣にベテランの城内実氏を抜てきした。
<外交・安全保障>
高市首相は、日本の隣国である中国、北朝鮮、ロシアの軍事的動向等が深刻な懸念となっているとの認識を示した上、 「自由で開かれたインド太平洋」を、外交の柱として力強く推進し、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻すとした。
そして日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸であり、日米同盟の抑止力・対処力を高めていくとし、トランプ大統領と首脳同士の信頼関係を構築しつつ、日米関係を更なる高みに引き上げていくとした。また、日米同盟を基軸とし、日米韓、日米フィリピン、日米豪印等の多角的な安全保障協議も深めていくという。
中国は、日本にとって重要な隣国であり、建設的かつ安定的な関係を構築していく必要があるとした上、日中間には、経済安全保障を含む安全保障上の懸念事項が存在することも事実であるとした。日中首脳同士で率直に対話を重ね、「戦略的互恵関係」を包括的に推進するという。なお、ロシアによるウクライナ侵略について、力による一方的な現状変更の試みを許してはならないとした。
2022年12月の国家安全保障戦略を始めとする「三文書」(国家安全保障理念・国家防衛戦略・防衛力整備計画)の策定以降、様々な安全保障環境の変化も見られ、日本として主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要であるとした上、「防衛費の対GDP比2%水準」について、補正予算と合わせて、今年度中に前倒して措置を講じるとした。また、国家情報局を新設するという。
これらの施策のために、外交に強い茂木敏充氏を外務大臣に、安全保障に詳しい木原稔氏を官房長官に、若手の小泉進次郎氏を防衛大臣に任命した。
<憲法改正・皇室典範改正>
そして憲法改正は自民党結党の党是であり、高市政権の間に国会による発議を実現するとした。また、安定的な皇位継承のため、「男系の皇統を守るために皇室典範を改正する」という。現在皇族には認められていない旧宮家からの養子縁組を可能とするものである。
このため、「安定的な皇位継承の確保に関する懇談会」を設置し、会長は皇室と縁戚関係にある麻生太郎氏が立つという。
以上、こうして高市首相は、吉田松蔭の言葉「事独り断む可からず。必ず衆と与に宜しく論ふ(あげつらふ)可し」(独断ではなく衆議を重んじるべき)を引用しつつ、日本列島を強く豊かにし、日本を再び世界の高みに押し上げたいと所信表明で決意を述べた。この高市首相の所信表明は力強く明快で、文字通り日本の復活を感じたのは門田氏だけではあるまい。
自民党総裁選出→公明党との連立解消→自維連立→総理指名、そして所信表明。まさにこの1ヶ月は奇跡の連続で、見えざる神の手が介入されたという他なく、高市首相の強運を感じさせられた。高市首相は、既に18人の閣僚へ、38ページに渡る詳細な指示書を示したが、これはかってなかったことであり、高市首相がいかに政策通であるかを物語る。
宗教の自由の守護者たるトランプ米大統領は6日、自身のSNSに自民党新総裁に就いた高市早苗氏について「非常に尊敬される人物で、深い知恵と強さを備えている。偉大な日本国民にとってニュースだ。皆さんおめでとうございます!」と異例の書き込みをした。トランプ米大統領は27日に来日し、28日に高市首相と会談した。日米同盟は世界で最も偉大な同盟であるとし、日米黄金時代を築くことを相互に確認した。そして高市首相は横須賀の米空母ジョージ・ワシントン船上で、堂々と演説した。トランプ大統領と高市首相はまさに息の会う仲であり、二人はさながらおしどり夫婦のようでさえあった。だが果たして宗教の自由についても意見を交換できたのだろうか。
10月24日、筆者は次の通り「X」に投稿した。
「輝ける丘の上にある町」(マタイ5.14)は米国の建国精神(ピューリタニズム)で、米国は聖書の上に築かれた国。トランプは米国に建国精神を復活しようとしている。高市総理には失われつつある日本の良き伝統と文化を甦らせ、サッチャーがそうであったように、願わくば真理の上に日本を再建して欲しい」
<自公連立解消に思う>
最後に自民党と公明党の連立解消(離婚)について触れておきたい。結論から言えば、この離婚は自公双方にとって益である。そもそも基本的政策で自民と真逆の公明は、今まで自民党の保守政策をことごとく足を引っ張り潰してきた。
文藝評論家の小川榮太郎氏は「イデオロギー上相いれない政党を頼みにして当選する議員を多く抱え込むことによって、自民党は気づかぬうちに保守政党としての精神を蝕まれてきた。自公の連立決裂が公明党側からなされたことこそ、高市氏が時の人である何よりの証左なのである」(月刊Hanada12月号P62)と明言した。
この離婚で、自民党は大胆に基本政策を実行できて、岩盤保守は帰ってくるだろう。これは善悪分立の神の摂理、見えざる神の手の介入であると筆者は見る。離婚により、自民は真性な保守政党として再生し、公明は健全野党に復帰できる機会になる。今回の離婚は自公双方にとって益になる。
【再考-UCにおける未曾有の試練に際して】
ところで、10月21日、第219国会において高市早苗首相の所信表明演説で、「統一教会」「裏金問題」と、醜いヤジを飛ばし続けて演説を妨害したことが問題となり、SNSでも大炎上をしている。ヤジを飛ばしたのは立憲民主党の衆院議員水沼秀幸(35)ら立憲民主党の輩である。まさに日本のみならず世界が注目する中での醜態であり、日本の品位が問われ、絶対許されざる言論妨害である。ましてや国会という公的な場で、特定の教団を名指して貶める差別的なヤジは言語道断で、断固抗議する。
しかし、「悪名は無名に優る」という格言の通り、このヤジは、逆手に取れば、返ってUCを宣伝する結果になったという逆説的な解釈ができないこともない。「日本人よ、政治家よ、UCの教義(原理)に関心を持て、教祖に注目せよ!」との神の声だと言えなくもないし、またそうしなければならない。
また、18日のTBS系報道番組で、「安倍元総理銃撃事件の初公判迫る - 旧統一教会は今」という報道特集が放映された。山上徹也被告の初公判が28日に開かれ、韓国では韓鶴子総裁(82)の裁判も近づいていることを受けての報道で、オールドメディア得意のネガティブキャンペーンである。筆者は27日、「X」で、次の通り投稿した。
「山上徹也被告の妹は『私達の家庭は教団に壊されたわけじゃない』とはっきりと証言し、母は『事件が起きたのは献金が原因ではない。それじゃなく愛の問題、家族での愛の問題』と語った。しかし、オールドメディアはこのことを一切報じない」
このように、UC問題が再燃する恐れがあるこの時、もう一度、「UC未曾有の試練」の霊的意味について考察することにしたい。自らを整理し、またすべてを覚悟する意味でも、この未曾有の大艱難を総括しておきたい。(参照「UCバッシングの霊的意味」→ https://x.gd/ig9AK )
<試練は恵み>
ナイチンゲール曰く、「神は、人を用いて何かをさせようとする時、先ず、その人を深い苦しみの中に追い落とされ、必ず耐え難い試練を与えられる」と。
また儒学の思想家孟子曰く、「天のまさに大任をこの人に降さんとするや、必ずまずその心志を苦しめ、その筋骨を労し、その体膚を餓えしめる」(天が人に重大な任務を与えようとするときには、必ずまずその人の精神を苦しめ、その筋骨を疲れさせ、その肉体を飢え苦しませる)と。
聖書にも、「わたしの子よ、主の訓練を軽んじてはいけない。主に責められるとき、弱り果ててはならない。主は愛する者を訓練し、受けいれるすべての子を、むち打たれるのである」(ヘブル12.5~6、箴言3.11~12)とあり、「苦しみにあったことは、わたしに良い事です。これによってわたしはあなたのおきてを学ぶことができました(詩篇119.71)とある。文鮮明先生は、「神側は打たれて復帰し、サタンは打って滅びる。これが天の戦法だ」(天聖経)と言われた。
つまり、天が人に重大な任務を与えようとする時には、必ずその人に大きな試練を与えて訓練するというのだ。患難や苦しみを通して、品性は磨かれ、神の聖さにあずかるようになる故に「試練は恵み」であるという。このように考えれば、現下のUCの受難は神の試練として甘受していこうでないか。内村鑑三は著書『基督信徒のなぐさめ』の中で次のように語っている。
「『人もしこれを得んと欲せば、まずこれを捨てざるべからず』(マタイ16.25)。実にこの世は試錬の場所なり。我ら意志の深底より世と世の総てを捨てさりてのち、始めて我らの心霊も独立し世も我らのものとなるなり。『死にて活き、捨てて得る』、基督教のパラドックス(逆説)とはこの事をいうなり」(『基督信徒のなぐさめ』岩波文庫P25)
<神の霊妙なご計画ーヨセフ物語に見る神の深謀遠慮>
さて創世記37章から50章はいわゆる「ヨセフ物語」である。ヤコブの末の子ヨセフが兄たちの嫉妬によりエジプトに売られたが、王パロの夢を解くことによってエジプトの総理大臣になった。飢饉によりエジプトにヤコフ一家が移住し、そこで兄たちに売られたヨセフと劇的な出会いをする物語である。
即ち、ヨセフはヤコブの愛妻ラケルが生んだ子で、ヤコブの12人の息子のうち11番目の末の弟であったが、ヨセフは年寄り子だったので、ヤコブは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために「長袖の着物」を作って寵愛した。「兄弟たちは父がどの兄弟よりも彼を愛するのを見て、彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった」(創37.3~4)とあるように、兄たちから嫉妬を受けたのである。
ヨセフは兄たちに殺されそうになるが、結局、銀20シケルで隊商のイシマエルびとに売られ、エジプトへ連れて行かれた。そしてイシマエルびとらはエジプトでパロの役人、侍衛長ポテパルにヨセフを売りとばした。
ヨセフは姿がよく、顔が美しかったので、 ポテパルの妻に「わたしと寝なさい」(創世記39.7)と誘惑されるも、ヨセフは拒んで主人を裏切らなかったという。しかし彼女は、ヨセフが自分と寝ようとして乱暴したと偽って主人に告げ、主人の怒りに触れ、遂にヨセフは冤罪で王の囚人をつなぐ獄屋に投げ入れられたのである。
しかし、ヨセフはパロが見た不可思議な夢の意味を解いて、一躍エジプトの総理大臣に抜擢された。その夢は、「今後エジプト全国に七年の大豊作があり、 その後七年のききんが起ることを予示する夢」であり、ヨセフは、七年の豊作のうちに食糧をたくわえ、飢饉に備えるようパロに進言し、飢饉に備えることになったのである。
そして豊作の後、ききんが全地に激しくなったので、諸国の人々がエジプトのヨセフのもとに穀物を買うためにやってきたが、ヤコブの家族もその一団であった。そして劇的な出会いをすることになる。ヨセフは図らずも、ヤコブ一家を迎える基盤を整えるために、神から先にエジプトに遣わされたというのである。
「ヨセフは兄弟たちに言った、『わたしに近寄ってください』。彼らが近寄ったので彼は言った、『わたしはあなたがたの弟ヨセフです。あなたがたがエジプトに売った者です。 しかしわたしをここに売ったのを嘆くことも、悔むこともいりません。神は命を救うために、あなたがたよりさきにわたしをつかわされたのです』」(創世記45.4~5)
ヨセフと父ヤコブの再会 ヨセフとその兄弟達との再会
ヨセフをエジプトに売り渡したのは、ヨセフに嫉妬し、彼に憎悪を抱いた兄たちだったが、それはしかし、一族を飢饉から救うために、神があらかじめヨセフをエジプトに遣わしたことに他ならないというのである。
この物語の背後には、人智を越えて働く神の計画と導きが洞察されている。目に見える出来事の背後には、人間の悪しき企てでさえも良い結果にいたる道筋となるように、目に見えない神の摂理が働いているという信仰が語られている。ヨセフ物語が語られた眼目がまさにそこにあったというのであり、人間的な弱さや醜さを超えて働く神のご計画を伝える父祖たちの物語として、ヨセフ物語が加えられた意味がそこにある(月本昭男著『物語としての旧約聖書』NHK出版P165)。
そうであれば、我がUCの大艱難も、ヨセフ物語のように、見えざる神の深謀遠慮と言えなくもない。いや、そうであるに違いない。今後如何なる事態が起ころうとも、「大地が、人の世が、生み出される前から、世々とこしえに、あなたは神」(詩篇90.1~2)とある通り、天地を創造し、歴史を司られる万能の神を固く信じようではないか。然り、神は共にあり!
以上、「再考-UCにおける未曾有の試練ー高市首相の所信表明演説に思う」と題して、高市首相の所信表明演説を概観すると共に、直面するUC大艱難への霊的な備えと霊的意味を論考し、歴史の背後に働く神の霊妙なご計画を明らかにした。(了)
牧師・宣教師 吉田宏











