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新約聖書の解説⑯ テモテへの第二の手紙。

🔷聖書の知識143ー新約聖書の解説⑯ーテモテへの第二の手紙。


聖書に親しみ、それが、キリスト・イエスに対する信仰によって救いに至る知恵を与えうる書物であることを知っている。聖書は、すべて神の霊感を受けて書かれたものであって、人を教え、戒め、正しくし、義に導くのに有益である。(3.15~16)


『テモテへの第二の手紙』は、「テモテへの第一の手紙」と「テトスへの手紙」を総称して、「牧会書簡」と言われています。


異説はありますが、伝統的に使徒パウロの手によるものとされ、パウロがローマで二回目の捕囚の身となっている67年頃書かれたと考えられ、手紙の冒頭で差出人はパウロ、宛名はテモテとなっています。


【概観・構成】


本書簡の執筆目的は、奮闘しているテモテを励ますために書いた手紙であり、また、別離の手紙でもあります。その目的は、健全な教えの諭し、異端の分別、正しい信仰、信仰的訓練を教示することにあります。


全体構成としては、あらかた、a.テモテへの励ましと牧会に関する勧告(1.1~2.13)、b.偽教師に関する勧告(2.14~26)、c.終わりの時代に関する勧告(3.1~17)、d.個人的務めに関する勧告(4.1~22)、となっています。


本文中でパウロはテモテに対し、冬になる前にマとルコとともに自分を助けに来てくれるよう求めています。自らが「世を去る時が近づきました」(4.6)と考えているパウロは、「愛する子テモテ」(1.2)に対して熱意と不動の信仰によって誤った教えに立ち向かうよう求めています。


そのために必要なことは過去に受けた教えに立ち戻ること、迫害の下での忍耐、信仰上のつとめを果たすこと、裁きのときに備えることなどが述べられています。


【注目聖句】


「次の言葉は確実である。『もしわたしたちが、彼と共に死んだなら、また彼と共に生きるであろう。』」(2.11~12)


この聖句は、キリストと共に十字架に架かった者は、キリストがその死によって死と罪を滅ぼされて復活されたように、死と罪に打ち勝って永遠の命を得ることができることを示しています。


「彼らは真理からはずれ、復活はすでに済んでしまったと言い、そして、ある人々の信仰をくつがえしている」(2.17~18)


何時の時代にも、正しい福音には、必ず間違った福音を宣べ伝える偽教師がいること、当時も例外ではありませんでした。つまり、再臨(復活)は内的、霊的なものであるとの主張がなされ、再臨がすでに起こったかのような教えが言い広められていました。


もしそうなら、イエスが「再び来る」と言われた言葉は虚しくなります。


「しかし、このことは知っておかねばならない。終りの時には、苦難の時代が来る」(3.1)


終末、即ち、終わりの日には、裁きや分別のために大艱難が来ること、また大規模な背教が起こり、この世を混乱させるだけでなく、教会を破壊するほどの動きとなることを警告しました。


その原因となるのが、偽教師の存在であり、背教者の特徴が、自分を愛する者、金を愛する者、大言壮語する者、高慢な者、神をそしる者、親に逆らう者、恩を知らぬ者、神聖を汚す者、など20項目にわたって列挙されています(3.2~5)


「聖書に親しみ、それが、キリスト・イエスに対する信仰によって救に至る知恵を、あなたに与えうる書物であることを知っている。聖書は、すべて神の霊感を受けて書かれたものであって、人を教え、戒め、正しくし、義に導くのに有益である」(3.15~16)


この聖句は、聖書が霊感を受けて書かれた「神の言葉」であることを根拠付ける有名な聖句です。そして聖書が「救いに至る知恵」であることが示されています。


「御言を宣べ伝えなさい。時が良くても悪くても、それを励み、あくまでも寛容な心でよく教えて、責め、戒め、勧めなさい」(4.2)


この「時がよくても悪くても福音を宣べ伝えよ」は、教会でよく使われる聖句です。人間的に時を判断するのではなく、むしろ厳しい時ほど福音を伝えることに恵みがあることを語っています。


写字台(机)の聖パウロ (レンブラント・ファン・レイン画)



「わたしは、すでに自身を犠牲としてささげている。わたしが世を去るべき時はきた。わたしは戦いをりっぱに戦いぬき、走るべき行程を走りつくし、信仰を守りとおした。今や、義の冠がわたしを待っているばかりである」(4.6~8)


このパウロの言葉のように告白して人生を終わりたいものです。筆者にはこの言葉は眩しすぎ、せめて「悔い無し」という言葉を残こせたらと思います。


以上が、テモテへの第二の手紙の解説です。次回は、「テトスへの手紙」の解説です。(了)





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