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新約聖書の解説⑱ ピレモンへの手紙



そこで、もしわたしをあなたの信仰の友と思ってくれるなら、わたし同様に彼を受けいれてほしい。もし、彼があなたに何か不都合なことをしたか、あるいは、何か負債があれば、それをわたしの借りにしておいてほしい。このパウロが手ずからしるす、わたしがそれを返済する。(17~19)


【概観】


『ピレモンへの手紙』は、エペソにおいて獄中にあった使徒パウロが、紀元53年頃に協力者ピレモン、および姉妹アフィア、戦友アルキポ、ならびに(コロサイにある)ピレモンの「家の教会」にあてて書かれた書簡であります(2節)。


異論もありますが、現在ではほぼ疑いなくパウロの手によるものであると考えられています。現存するパウロ書簡の中ではもっとも短く25節しかありません。


受取人のピレモンは、コロサイ教会の主要な信者であり、大きな家に住み、奴隷(使用人)を所有していたので、裕福な信者であることが分かります。ピレモンの家はそのままコロサイ教会(家の教会)であり、この手紙は、コロサイ人への手紙と一緒にコロサイ教会に届けられたと考えられます。


ちなみに獄中書簡と呼ばれるものが4つあり、本書簡の他に、エペソ信、ピリピ書、コロサイ書があります。


全体のアウトラインは、あいさつ(1~3節)、感謝の言葉(4~7節)、パウロの懇願(8~20節)、締めくくり(21~25節)、という構成になっています。


【パウロの懇願】


この書簡でパウロはピレモンの奴隷であったオネシモ(ギリシア語で「役に立つ」の意)なる人物への配慮を求めています。詳しい事情は文面から知りえませんが、オネシモは一度「(キリストのために)役に立たないもの」としてピレモンのもとを離れましたが、彼を再び迎え入れてほしい、しかも「奴隷でなく愛する兄弟として」というのがパウロの願いでありました。


オネシモが主人のもとを逃亡し、バウロに出会い、キリスト教徒になったと考えられます。ピレモンは逃げたオネシモのことを良く思っていませんでしたが、パウロはキリスト教徒として二人を和解させようと考えています。


近年「逃亡奴隷説」ではなく「オネシモは主人との間に立って問題を収めてくれる人物としてパウロを頼って来た」とする「調停依頼説」が出されています。ちなみに、奴隷と言っても、当時は家の使用人といった人たちであり、黒人奴隷といったイメージとは異なっています。


パウロは、オネシモがビレモンに対して何らかの債務があるなら、自分の借りにしてくれるよう頼み、パウロはオネシモが信仰に入ったことで、新たな身分になったとし、オネシモが愛する兄弟としてピレモンの元に戻れるよう配慮しています。


「そこで、もしわたしをあなたの信仰の友と思ってくれるなら、わたし同様に彼を受けいれてほしい。もし、彼があなたに何か不都合なことをしたか、あるいは、何か負債があれば、それをわたしの借りにしておいてほしい」(1.17~18)



以上で「ピレモンへの手紙」の解説を終わり、次回は、いよいよ「ヘブル人への手紙」の解説をいたします。(了)





上記絵画*牢獄の聖パウロ