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新約聖書の解説26 ユダの手紙

🔷聖書の知識153ー新約聖書の解説26ーユダの手紙


しかし、愛する者たちよ。あなたがたは、最も神聖な信仰の上に自らを築き上げ、聖霊によって祈り、神の愛の中に自らを保ち、永遠のいのちを目あてとして、わたしたちの主イエス・キリストのあわれみを待ち望みなさい。(1.20~21)


【概観】


「ユダの手紙」は公同書簡に分類される手紙のひとつであり、25節の短い書簡であります。著者は、「イエス・キリストのしもべ、ヤコブの兄弟ユダ」(1.1)と自己紹介をしていますが、このユダが誰であるかについては2つの考え方があり、一つは主イエスの弟のユダ、今一つが12使徒の中のユダ(別名タダイ)です。


旧約聖書への言及が多く、2ベテロ書の内容との重複があるので、2ペテと同じ宛先、即ち小アジアの各地に離散している信者たちに向けて書かれたものと思われます。また、2ベテロ書は、64年~68年(殉教の死の年)の間に書かれたと思われますので、ユダの手紙は、それ以降に執筆されたと考えられます。


全体の構成としては、挨拶(1.1~2) 、偽教師についての警告・非難(1.3~16) 、信者への励まし・責務(1.17~23) 、賛美・頌栄(1.24~25)、となっています。


【執筆目的】


この手紙が書かれた目的は、当時、グノーシス主義などの異端が教会内に広がりつつあり、こういった偽教師や異端的な教えに対して、注意を喚起することにありました。さらに、読者に自分たちが何者であるかを自己認識させ、信徒に正しい信仰を守ることを勧めています。


ユダと同様、パウロは、偽教師についてエペソの長老たちに警告していましたし(使20.29~30、1テモ4.1)、ペテロも、「偽教師が現われる」(2ペテ2.1)と預言していました。


「不信仰な人々がしのび込んできて、わたしたちの神の恵みを放縦な生活に変え、唯一の君であり、わたしたちの主であるイエス・キリストを否定しているからである」(1.4)


正にユダ書は「異端に対する反論の書」であります。ただし、その反論は異端の教理を具体的に取り上げて論駁(ろんばく)するというよりも、彼らの不品行を批判したり、旧約聖書などを引き合いに出したりしつつ、異端の末路がどのようなものかを示すものとなっています。


【偽教師への断罪と信徒への励まし】


ユダは、旧約聖書の事例を3つ挙げ、偽教師の末路を断罪しています。即ち、シナイ荒野でのさばき(民数記14.26~38)、堕天使たちのさばき(1.6)、ソドムとゴモラのさばき(1.7)、であります。


「主は、自分たちの地位を守ろうとはせず、そのおるべき所を捨て去った御使たちを、大いなる日のさばきのために、永久にしばりつけたまま、暗やみの中に閉じ込めておかれた。ソドム、ゴモラも、まわりの町々も、同様であって、同じように淫行にふけり、不自然な肉欲に走ったので、永遠の火の刑罰を受け、人々の見せしめにされている」(1.6~7、2ベテロ2.4~6、創世記19.24~25)


ソドムとゴモラの破壊(ジョン・マーティン画)ロトの家族


上記の天使の淫行の叙述は聖書外典である「エノク書」からの引用でありますが、堕落が淫行にあったとする原理の裏付けになっています。エノク書は紀元前1~2世紀頃成立と推定されるエチオピア正教会における旧約聖書の1つで天使、堕天使、悪魔の記述が多く見られます。


またユダは、偽教師たちの問題の行為を取り上げて非難しています。


即ち、肉体を汚し(性的放縦)(1.8)、権威ある者たち(使徒や長老)を軽んじ(1.8)、栄光ある者たち(御使)をののしり(1.9)、自分には理解もできないことを悪く言い(1.10)、動物のように本能だけで判断して行動している(1.10)、ことなどです。


そしてユダは、旧約聖書の問題人物であるカイン、バラム、コラを例に出しています。


「彼らはわざわいである。彼らはカインの道を行き、利のためにバラムの惑わしに迷い入り、コラのような反逆をして滅んでしまうのである」(1.11)


「カインの道を行き」とは、弟のアベルを殺して最初の殺人者となり、神に反抗する者となったことであります(創世記4章)。また「バラムの迷いに陥り」とは、利益のために仕えるということであり、バラムは、神の御心に背いてイスラエルの民を呪おうとしました(民数記22~24章)。


「コラのように背いて」とは、党派心から権威に反抗することで、コラはモーセとアロンに反抗し、家族とともに割れ目に落ちて死にました(民数記16章)。

  

そして最後に信者を励ましと頌栄でこの書簡は終わります。


「しかし、愛する者たちよ。あなたがたは、最も神聖な信仰の上に自らを築き上げ、聖霊によって祈り、神の愛の中に自らを保ち、永遠のいのちを目あてとして、わたしたちの主イエス・キリストのあわれみを待ち望みなさい」(1.20~21)


「わたしたちの救主なる唯一の神に、栄光、大能、力、権威が、わたしたちの主イエス・キリストによって、世々の初めにも、今も、また、世々限りなく、あるように、アァメン」(1.25)


以上で「ユダの手紙」の解説を終わり、次はいよいよ新約聖書最後の「ヨハネの黙示録」の解説になります。(了)