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箴言 注解 - 人生の智恵のことわざ

  • 2021年7月15日
  • 読了時間: 5分

更新日:4月26日

🔷聖書の知識94-箴言注解ー人生の智恵のことわざ


主を恐れることは知識の初めである。愚か者は知恵と訓戒をさげすむ。(箴言1.7)


プロローグ


『箴言』とは、平たく言えばことわざ、即ち人生の格言であり、生活上の教訓であります。『箴言』は、『コヘレトの言葉』(伝道の書)、『雅歌』と並んで知恵文学と言われており、知恵文学は、古代中近東で見られた生活上の教訓を集めた文学であります。また「論語」や「いろはかるた」など、東洋にも人生と生活上の知恵を集めた箴言とも言うべき優れた格言があります。


ヘブル語の「ホクマー」(Hokhmah)は知恵を意味する言葉ですが、単なる知識や知能ではなく、神に依拠した知恵、生き方、主を畏れ敬うことを意味します。即ちイスラエルの箴言は「神への信仰を伴った生活上の教訓」であるところに特徴があると言えます。「主が知恵を与え、知識と悟りとは、み口から出るからである」(箴言2.6)とある通りです。 但し、箴言には死後の世界に関する教えはありません。


特に捕囚期以後の知恵者は、祭司でも預言者でもラビでもなく、「知恵ある者」という教師的存在であったと思われます。ちなみに箴言の「箴」には、鍼(はり)、即ちツボを捉えて病気を治すと言った意味があります。


【箴言の概観】


箴言中の格言の多くはソロモン王によって作られたとされています。「彼はまた箴言三千を説いた。またその歌は一千五首あった」(1列4.32)とある通りです。しかし実際は、彼以外にも複数の作者の言葉、即ち「知恵ある者」の言葉が収められています。 箴言冒頭に次のようにあります。


「ダビデの子、イスラエルの王ソロモンの箴言。これは人に知恵と教訓とを知らせ、悟りの言葉をさとらせ、賢い行いと、正義と公正と公平の教訓をうけさせ、思慮のない者に悟りを与え、若い者に知識と慎みを得させるためである」(箴言1.1~4)


また、執筆年代は、ソロモンの時代(900年ごろ)、ないしはヒゼキヤの時代(25.1、前700年ごろ )とされることもありますが、多くは捕囚以後の作品で、前250年ころ収録されたと言われています。箴言の文学形式は、箴言全体が詩の形式で書かれていて、その特徴は、へブル詩によく見られる「対句法」であります。例えば、「父の教訓を聞き、母の教えを捨ててはならない」(1.8、同義的対句法)や「知恵ある子は父を喜ばせ、愚かな子は母の悲しみとなる」(10.1、対照的対句法)と言ったものがあります。 そして箴言は次のような構成になっています。


ソロモンの格言1(1.1~9.18)→ソロモンの格言2(10.1~22.16)→賢人の教訓1(22.17~24.22)→賢人の教訓2(24.23~24.34)→ソロモンの格言3(25.1~29.27)→アグルの言葉(30.1~30.33)→レムエルの言葉(31.1~3


【箴言の目的と中心聖句】


箴言の目的は、わきまえのない者(特に若者)に分別を与えることであり、中心聖句は、次の二句であります。


「主を恐れることは知識の初めである。愚か者は知恵と訓戒をさげすむ。(箴言1.7)


「主を恐れることは知恵の初め、聖なる方を知ることは分別の初め」(9.11)


実は筆者は、拙著にサインを求められた時は「主を知ることは知識の初めである」と揮毫しています。箴言1章7節は「主を恐れることは知識の初めである」となっていますが、筆者は「恐れる」を「知る」と解釈して「知る」と揮毫しています。伝道の書にも「あなたの若い日に、あなたの造り主を覚えよ」(伝道12.1)とある通り、如何なる知識にまして神を知る知識こそ最も重要な知識であるからです。


故にユダヤ人は、「 イスラエルよ聞け。われわれの神、主は唯一の主である。あなたは心をつくし、精神をつくし、力をつくして、あなたの神、主を愛さなければならない」(申命記6.4~5)を最も大切な戒めとして小さい時から唱えさせ、神を知ること、神を愛することを、第一の教えとしています。そして父母の戒め、知恵ある者の教えに耳を傾けよと繰り返し呼び掛けました。


「わが子よ、わたしの教を忘れず、わたしの戒めを心にとめよ」(3.1)


以下、優れた箴言の言葉を自戒を込めて紹介いたします。


「主が知恵を与え、知識と悟りとは、み口から出るからである」(2.6)


「遊女のくちびるは蜜をしたたらせ、その言葉は油よりもなめらかである。しかしついには、彼女はにがよもぎのように苦く、もろ刃のつるぎのように鋭くなる」 (5.3)


「怠け者よ、蟻のところへ行って見よ。その行いを見て知恵を得よ」(6:6)


「主の憎まれるものが六つある、否、その心に、忌みきらわれるものが七つある。すなわち、高ぶる目、偽りを言う舌、罪なき人の血を流す手、悪しき計りごとをめぐらす心、すみやかに悪に走る足、偽りをのべる証人、また兄弟のうちに争いをおこす人がこれである」(6.16~19)


「高ぶりが来れば、恥もまた来る、へりくだる者には知恵がある」(11.2)


「賢い妻はその夫の冠である、恥をこうむらせる妻は夫の骨に生じた腐れのようなものである」(12.4)


「少しの物を所有して主を恐れるのは、多くの宝をもって苦労するのにまさる」(15.16)


「正しい者は七たび倒れても、また起きあがる」(24.16)


「貧しくもなく、また富みもせず、ただなくてならぬ食物でわたしを養ってください。飽き足りて、あなたを知らないといい、主とはだれかと言うことのないため、また貧しくて盗みをし、わたしの神の名を汚すことのないためです」(30.8~9)


【世界の格言】


古今東西、諸国には箴言というべき格言、即ち知恵の言葉がありました。以下、よく知られている言葉をそれぞれ3つ挙げておきます。


<論語>


論語は、孔子の語った言葉を、死後弟子たちがまとめたもので、人生訓として日本人の中で重宝されてきました。


「吾れ日に三たび吾が身を省みる」(論語学而篇)


「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」(論語里仁篇)


「過ぎたるは、なお及ばざるが如し」(論語先進篇)


<いろはかるた>


「いろはかるた」 は、「色は匂へど散りぬるを、我が世誰ぞ常ならむ、有為(うい)の奥山 今日越えて、浅き夢見し酔(ゑ)ひもせず」(涅槃経)という仏教精神を和文で表わしたと 言われています。


(い)

「犬も歩けば棒にあたる」(江戸かるた)


「一寸先は闇は」(京都かるた)


「一を聞いて百を知る」(大阪かるた)


<格言・ことわざ>


日本には古より、優れた人生訓・格言がありました。


「千里の道も一歩より」


「災い転じて福となす」


「天は二物を与えず」


<聖句>


以下は筆者の座右の聖句です。


「神を知ることは知識のはじめ」(箴言1.7)


「まず神の国と神の義とを求めよ」(マタイ6.33)


「キリストのゆえに、わたしはすべてを失ったが、それは、わたしがキリストを得るためである」(ピリピ3.8)


最後に文鮮明先生の言葉の中で、一つ印象的な言葉を記しておきます。


「良心は、師に優り、父母に優り、神に優る」


                                 (了)

上記絵画*若きソロモンの夢枕(ルカ・ジョルダーノ画)

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