◯つれづれ日誌(令和4年2月16日)-韓半島平和サミットを視聴して
わたしたちは、善を行うことに、うみ疲れてはならない。たゆまないでいると、時が来れば刈り取るようになる。(ガラテヤ6.9)
この2月11日~13日、THINK TANK 2022「韓半島平和サミット」が開催されました。今回、本来はベテル・キリスト賛美教会の礼拝について述べるつもりでいましたが、変更して、このサミットについて所感を述べることにいたしました。
【サミットについての所感】
今回のサミットは、主催は家庭連合ではなく、UPF(Universal Peace Federation.天宙平和連合)で、ワシントン・タイムズが後援しました。
UPFとは、国連経済社会理事会(ECOSOC)の総合協議資格を持つ国連NGO(非政府組織)であり、家庭連合のダミー組織だとの風評もありますが、れっきとした国連の認定機関であります。
<爽々たるスピーカー>
開会式および開会セッション、THINK TANK 2022 FORUM、鮮鶴平和賞授与式、韓半島平和サミット(100万救国救世希望前進大会)、大会決議、そして歌と踊りなど盛り沢山の内容でしたが、ユン・ヨンホ本部長の優れた司会に導かれて、手際よく全ての日程をこなしました。
そしてこの間、多くの世界要人がスピーチを行い、UPFの世界的な基盤の強さを証明しました。
韓鶴子総裁と共に、元国連事務総長の潘基文(パン・ギムン)氏、及びカンボジア首相のフン・セン氏が共同組織委員長を務められ、マイク・ベンス元副大統領、マイク・ポンペイオ元国務長官、マーク・エスパー元国防長官、ニュート・ギングリッチ元下院議長、ダン・バートン元下院議長、投資家のジム・ロジャーズ氏、著名牧師のポーラ・ホワイト氏などのそうそうたるアメリカ勢によるスピーチがありました。それに加え、韓国の12の道知事・議会議長、バローゾ元欧州委員会委員長、カナダ、イスラエル、フィリピンの元首相、ナイジェリア、グワテマラ、エクアドルなどの現職大統領、令夫人、その他、南米、アジア太平洋、アフリカの要人など重要人物が、それぞれの信念に基づいて韓半島の統一や世界平和について持論を語りました。
また日本人では大野功統(よしのり)元防衛庁長官、原田義昭元環境大臣、伊達忠一元参議院議長がスピーチを寄せられました。
<トランプと安倍晋三のメッセージ>
しかし、何といっても圧巻は、最終日13日の希望前進大会におけるドナルド・トランプ元大統領と安倍晋三元首相によるメッセージでしょう。
HJグローバルセンターで行われたこの大会は、世界157ヵ国に招請し、85名の首脳・要人が参加され、14の言語、3517のメディアで報道されました。
冒頭の各宗教団体代表の合水式とホワイト牧師の祈祷から始まったこの大会でしたが、今や世界をリードするトランプ、安倍の二人が、13日のメイン大会 に濃密なメッセージを寄せられたことは、正に歴史的な出来事でした。奇しくも、文鮮明先生が訪朝して金日成と会談されてから30年の節目でした。
トランプ氏は、ホワイト牧師から韓鶴子総裁についての人柄や考え方の話を聞かされていると述べ、ワシントン・タイムズにも感謝を述べられました。平和のためには「強さによる外交」が必要とした上、金正恩総書記には、非核化は北朝鮮復興の最大のチャンスだと説得して、核とミサイルの放棄を約束させたと語りました。
そして締め括りに、人間は神聖な存在であり、政府からではなく、全能なる神から平等な権利と自由と尊厳を与えられているとし、自由の中でも宗教の自由がすべての自由の基盤であると強調しました。
また安倍氏は、当初この大会に韓国を訪れる予定があったということことでしたが、諸般の事情で来れなかったということで、書面でのメッセージでした。
安倍氏は、共同議長に敬意を表され、創立者の韓総裁に感謝を述べられました。そしてイギリスのチャーチルの言葉「ネバー・ディスペア」(Never despair.決して希望を失うな)を引用し、複雑な地政学的位置にある韓半島の統一を励まし、率直な対話、「希望の同盟」を呼び掛けられました。
そしてこれら世界のスピーカーは、口を揃えて共同代表である韓鶴子総裁、フン・セン首相、潘基文氏に敬意を表し、特に韓総裁への賛辞と尊敬は印象的でした。また UPFが、今回のサミットのように、韓半島の統一を通してアジアと世界の平和を議論するという貴重な場を提供したことを高く評価し、謝意を表明しました。
なおこの期間、フン・セン首相は文在寅大統領と、ベンス氏は大統領候補の尹錫悦(ユン・ソギョル)元検事総長と会談しています。
ただ、惜しむらくは、肝心の韓国政府要人、国会議員の顔が見えなかったことです。背後に、アンチUCの姿勢を崩さない韓国キリスト教会の力の強さを感ぜずにはいられませんでした。キリスト教へのアプローチ、超宗派活動が急がれます。
<韓半島統一は世界平和の縮図>
実は筆者は、この度の韓半島平和サミットについて、一種の違和感や割り切れなさを抱いていました。ここ数年のイベントが韓国中心に行われ、そこに日本という存在を見出だすことがほとんど無かったからです。このような国際的な大イベントを持つのに、一体どれほど莫大な予算を必要とするというのでしょうか。この予算は一体誰が負担しているのかという問題です。
そして現在、慰安婦、徴用工問題に象徴されるように、日韓には埋めがたい溝が横たわっており、一見「韓国中心主義」とも見えるこれらのイベントは、日本という座標軸で見る限り、手放しでは喜べないものがあったのです。「UCは韓国のロビーであり、反日団体だ」との風評もあり、現に安倍氏は、昨年9月12日に行われた「希望前進大会」にビデオメッセージを寄せたことで、日本のマスコミや左翼に批判されました。
しかし、今回の世界のスピーカーのメッセージを聞きながら、筆者の考え方は大きく変更を余儀なくされました。つまり、韓半島の統一はアジア地域と世界の平和に直結しているということであり、38度線はあらゆる世界紛争の象徴とも言え、ここに最終的な平和の着地点があるという歴史的事実の再認識です。
世界のスピーカーたちは口々に、南北ベトナムは統一され、東西ドイツを隔てていたベルリンの壁も壊され、今や韓半島は地球上に最後に残された唯一の分断国家であると指摘しました。そしてそれだけに、世界の東西の力関係が韓半島で交錯し、パレスチナ問題よりも複雑な政治的力学が働いて、統一を困難にしていると指摘しました。
即ち、韓半島の統一を喜ばない近隣勢力との深刻な戦いがあり(ペンスはこれをロシアの熊、中国の龍と呼びました)、また韓国内部にさえ、経済的理由から統一を喜ばない人々がいるというのです。
しかし、中長期的に見れば、統一は韓半島に莫大な利益をもたらすことは明らかであり、同じ言語と文化と歴史を持つ民族の統一は、世界平和のモデルになることは明白です。従って韓半島の統一は、単に一民族、一国家の問題ではなく、正に人類史的な世界平和の鍵であり、何よりも、そこに神の摂理があるというのです。
また、日本のスピーカーは、韓半島の統一は、「核」と「拉致」という二大問題の解決につながるので、日本にとっても大きな利益になると発言しました。
そしてスピーカーらは、北朝鮮の人々は、自由を束縛され、未曾有の人権蹂躙と飢餓の中に晒されているとも訴えました。
一体私たち日本人は、日本が関東以北と中部以南に分断され、同じ言語・文化・歴史を有する民族が相互に争って憎み合い、北側の住民が飢餓と迫害に晒されている自国の姿を想像できるでしょうか。そして南北が争って300万人以上の血を流したとすれば尚更であります。韓国とは反対に、地政学的な恩恵を享受している日本は、せめて半島の苦悩に思いを馳せたいものです。
かって長崎大学教授の長井隆は、原爆に直撃された長崎の浦上天主堂と犠牲になった8000人のクリスチャンを、日本の平和のために神に捧げられた「清い供え物」と認識しました。そのように、朝鮮半島の南北分断とその犠牲は、世界平和への供え物なのでしょうか。
<世界的座標軸で>
ここにきて、筆者の抱いていた違和感は、自らが「日本という座標軸」で韓半島を見ていたことから来る感情であったことを告白せざるを得ないものです。筆者が、祖国日本の歴史と文化・伝統を大切に思う「愛国者」であることは良しとして、かの世界のスピーカーのように、世界的視座に立って韓半島問題を見つめる目、再解釈する視点がなければならないということです。
しかし、このようなことは、今まで何度も聞かされていたことであり、原理観から言っても当然の理であるはずであります。この当然の理が、日本への愛情が高じて、実際には筆者の中で消化されず、開化されていなかったというのです。
かって一世を風靡した石原慎太郎でしたが、その依って立つところは、最後まで「自分」と「日本」が座標軸であり、「神」と「人類」という視座に立つことが出来ませんでした。同様に筆者もまた、我知らずの内に、日本という座標軸から、韓半島問題を日韓問題の延長として見る傾向があったというのです。
こうして今回の世界要人のスピーチは、筆者に内的な「座標軸の転換」という新しい視座を与えてくれる契機になりました。この視点に立ってはじめて、今回の韓半島平和サミットが大きな摂理意義を持つ行事として、違和感なく内心に入ってきました。言葉を変えて言えば、世界的霊界圏に立ったということでしょうか。
内村鑑三の次の墓碑銘を肝に銘じたいと思います。
「I for Japan.Japan for the World.The World for Christ.And All for God(私は日本のために、日本は世界のために、世界はキリストのために。そして全ては神のために)」
【統一の法案】
さて、あるスピーカーは、韓半島統一の道筋として、先ず南北の基本的な「平和協定」が必要であること、次に幅4kmのDMZ(非武装地帯)を平和公園地域にし、「経済特区」を設けること、そして文化、観光、離散家族、政治、経済などあらゆる分野での「人的交流」を図ることを提案しました。
筆者は、韓半島統一の法案として、次の3点を提唱いたします。
ます第1に、南北統一の理念、即ち理念的なアイデンティティーの確立です。かってソ連が崩壊し、それまで国民のアイデンティティーであった共産主義が喪失して、ロシアは、経済的、社会的に大混乱に陥りました。しかしプーチンがロシア正教を復活させ、これを国民的アイデンティティーにすることによって、ロシアは立ち直りました。
韓半島統一後の統一朝鮮は、右翼でも左翼でもない、頭翼思想、即ち普遍的な神主義を理念として統一されるべきであります。韓国キリスト教会は、既に北の崩壊を見越して、福音伝道の準備をしていると言われていますが、南北統一の理念は、文先生が既に金日成に提唱された頭翼思想、つまり、「天の父母主義」でしかないと思われます。
かってイスラエル民族が、バビロン捕囚に際して、この民族の受難を、不信仰による罰であると解釈し、真摯な悔い改めによる、より深い神との再結合によって乗り越えました。同様に韓国は、自らの受難を、他国に「責任転嫁」するのではなく、悔い改めによって真の神と結合すべきかと思われます。そしてその理念は頭翼思想による「共生共栄共義主義」であり、その信仰信条は「許せ愛せ団結せよ」であります。
第二に、対話と交流、そして祈りです。政治的、経済的、文化的な対話と交流を忍耐強く継続し、統一の土壌を涵養することだと思います。前記したDMZにおける平和公園や経済特区もその一つでありましょう。そしてかの長井隆が語ったように、清い祭物として捧げる「祈り」だと思います。無論、その際の絶対条件は「非核化」であります
そして第三には、これら統一の理想を担保する、アメリカを中心とした力の裏付けです。
かのトランプは「平和は強さから来る」と語り、ペンスは「弱さは悪を呼び起こす」と述べました。日・韓・米、それにインド、オーストラリアを加えた「インド・環太平洋同盟」の強化です。
【ペンスのスピーチ】
最後に、最終日大会におけるマイク・ペンス元米国副大統領の、印象深いスピーチの骨子を記したいと思います。
ペンスは、自らは政治家である前に原則的な保守主義者であり、その前に「キリスト者」であると明言しました。そして自由、民主、家庭、信仰の自由、人間の尊厳といった価値を共有しているワシントン・タイムズを大いに評価し、韓鶴子総裁にも敬意を表明しました。
<ハドソン研究所での演説>
かってペンスは、2018年10月4日に保守系シンクタンクのハドソン研究所で演説を行い、中国の覇権主義を強く非難しました。
ペンス副大統領は、中国が関税などの貿易障壁のほか、強制技術移転や知的財産窃盗、国有企業への補助金など不当な政策で米国に不利益を与えてきたと指摘し、また、米国の政策・政治に(政治工作で)影響力を行使しているとした上で、「そのような中国を野放しにする時代は終わった」と述べ、それらに対して毅然と対応していくと主張しました。
経済・軍事・外交などの各分野で中国を全面的に批判すると共に、特に信仰の自由を強調し、ウイグルや国内外で行われている人権侵害や宗教弾圧を強く非難し、「無神論的世界秩序の形成を絶対に許さない」と明言しました。
このペンスのスピーチは、第二の「鉄のカーテン演説」と言われています。
<今回サミットでのスピーチ>
今回ペンスは、キリスト者らしく、冒頭「平和をつくり出す人たちは、さいわいである、彼らは神の子と呼ばれるであろう」(マタイ5.9)を引用し、自由・民主・家庭・信仰の自由・人間の尊厳という共通の価値を守ることを呼び掛け、「神と共にあれば不可能はない」とまるで牧師の説教のように語りました。
「神と共にある」。これは旧約聖書を貫く重要なテーマです。神は、石を枕に寒さに震えながら一人野宿するヤコブに、「見よ、わたしはあなたと共にいる」(創世記28.15)と語られました。
特にペンスは、北朝鮮や中国による信仰の自由への侵害を指摘し、香港、台湾、南シナ海への覇権主義を警戒して「弱さは悪を呼び起こす」と強調しました。
また南北統一の夢は実現可能であり、決してあきらめてはならないと、次の聖句を引用して励ましました。
「わたしたちは、善を行うことに、うみ疲れてはならない。たゆまないでいると、時が来れば刈り取るようになる。(ガラテヤ6.9)
以上が、韓半島平和サミットを視聴して感じたことであります。皆様も、それぞれがそれぞれの感想と感慨を抱かれたことでしょう。
筆者は、このサミットにおけるアメリカ要人の顔ぶれを見ながら、40年間に及ぶ真の父母のアメリカ宣教、ダンベリーの道を想起いたしました。この大会の成功の背後に、持てるエネルギーと時間と金銭を惜しみ無く注がれたアメリカでの献身と犠牲があったことを忘れてはなりません。また外的には、ワシントン・タイムズの貢献が大であったと思われます。
大会決議として、南北の平和統一を目指す全方位的協力、南北平和協定と韓半島の非核化、DMZの平和利用と民間協力、日韓海底トンネル、アジア太平洋連合などのソウル宣言が採択されて終了した今回のサミットは、私たちの対外活動の集大成と言うべきものでした。
それにしても、世界の要人を前に、堂々と大会を主管され、端的なスピーチで神に還ることを強調されたお母様の姿に、一種天的な風格を感じたものです。後は、福音伝道を進めて、実質的な数的基盤を整えることが急務です。
冒頭で述べましたように、本来「ベテル・キリスト賛美教会訪問記」及び「新宿純福音教会礼拝記」を書く予定をしておりましたが、これは次回、まとめることにいたします。(了)
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