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ルターの救済思想「信仰義認」を考える

🔷聖書の知識18ールターの救済思想「信仰義認」を考える

神の義は、その福音の中に啓示され、信仰に始まり信仰に至らせる。これは、「信仰による義人は生きる」と書いてあるとおりである。(ロマ書1・17)

1月16日に船橋中央教会で行われた聖書セミナーのテーマは「キリスト教における罪観と救済思想」でした。そしてその罪を解決する救済思想について、パウロの回心聖句である上記ロマ書1章17節の「信仰による義人は生きる」が問題提起になりました。旧約聖書ハバクク書2章4節「しかし義人はその信仰によって生きる」からの引用です。

今回は、このパウロの信仰義認論を中心に、プロテスタント、カトリック、UC、それぞれの救済思想を考えたいと思います。少し理詰めになりますが、お付き合い下さい。


[信仰のみ]

プロテスタントとカトリックの救済観の最大の違いは、端的に言えば、救いは「信仰のみ」か、又は「信仰と行いの協働」か、の違いにあります。ルターは、救いはキリストの十字架の贖罪と復活を信じる信仰によりもたらされるものであって、救いに善行や修行や人間的な努力などの行い(業)は不要であるとしました。

即ち、善行自体に救いの効力はないとし、免罪符を買っても救いには無関係だと主張しました。但し、ルターは「行い」そのものを否定した訳ではなく、行いは救いの要件ではなく結果であるとしたのです。宣教や善行は、信仰によって既に救われた者が、その感謝と使命を表す必然的な発露であるというのです。

[ルターと親鸞]

このルターの信仰義認論は、親鸞の他力思想と瓜二つです。親鸞は、人間の煩悩は自分の努力や修行では解決不可能であり、阿弥陀如来を信じてその慈悲にすがるしかない、即ち救いは絶対他力によるとしました。

ルターは修道院に入って、誰よりも厳格な修道生活を行い、誰よりも熱心に祈ったと言われています。しかし、その厳しい修道生活の中で、遂に心の平安は得られず、苦悶した末、前記の「信仰によって救われる」という聖句に出会いました。

一方親鸞は、9才にして比叡山に出家し、20年もの修行生活を行いました。しかし、ルターと同様、内なる煩悩(情欲)を解決出来ず、山を降りて法然に師事し、弥陀への他力信仰と出会って平安を得ることになります。

この2人に共通するものは、人間は自力で罪を解決することは出来ない、救いは神の絶対主権に属し、「救いも信仰も神からの恩寵による」という考え方が根本にあるということであります。

アウグスチヌスの恩寵救済論もこの系譜にあります。人間には自由意思があるが、罪を背負っている人間は、神の恩寵無しには善をなす自由を得ることは出来ないとしました。筆者もこれらルターやアウグスチヌスの思想に、強い親近感を感じており支持したいと思います。

「カトリックの神人協働説」

これに対して、カソリックは、「信仰と行いは一体であり、救いは、神人の協力(協働)による」としました。義認は過程であり、真の信仰は善行を伴うというのです。

即ち、救いは神の恩寵が義化の根本であるが、人間の協働(行い)も必要とするという「神人協働説」を主張し、ルターの信仰義認を「わがまま勝手に救われたと思い込む主観主義」と批判しました。

[責任分担の思想]

これら上記の議論は、原理が示す「成長期間」と「責任分担」の教理に拠らなけれは解決できません。人間の完成も救いの完成も、「成長期間における神と人間の責任分担」が相俟って全うされるという思想です。その意味で、ややカトリックの神人協働説に似ています。しかしカトリックは何故人間の業が必要なのか、その理念的根拠を示していません。

人間の責任分担とは即ち「信仰行為」であります。そしてこの信仰行為には、ルターが言う「信じる」という信仰行為と、カトリックが言う「行い」(実体)という信仰行為の双方の概念が含まれていると筆者は理解しています。ですから、責任分担論は、ルターの信仰義認とカソリックの神人協働を包括した、より上位概念の「信仰行為論」ということになるでしょう。復帰歴史的な視点からは、蕩減(償い・清算)条件と言っています。

責任分担という極く僅かな信仰行為を条件にして、神の絶対主権が人間を救いという恵みに導びくというのです。その意味では限りなく神の恩寵100%と言ってもいいでしょう。しかし、これまで摂理的人物が、この僅かな責任分担を全うできなかったことで、長い罪悪歴史の延長を余儀なくされて来たというのが原理観です。では、皆様にとって、救いはどのようにもたらされたでしょうか。(了)

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