◯徒然日誌(令和6年10月30日) 総選挙の結果に思うー反宗教的政党と化した岸田自民党に神の鉄槌下る
愛する者たちよ。自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、「主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」と書いてあるからである。( ロマ書12.19)
遂に神の鉄槌は下された。10月27日に総選挙の投開票が行われたが、岸田・石破自民党は248議席から191議席へと57席議を減らして歴史的な大惨敗を喫した。公明党も32議席から8議席減の24議席になり、与党の自公を併せても215議席で、過半数の233議席を割るという最悪の事態を招き、日本の政治は不安定極まる冬の時代を余儀なくされた。なお、公明党は代表の石井啓一氏(埼玉14区)と副代表の佐藤茂樹氏(大阪3区)が共に落選するという手痛い敗北を喫した。
一方、立憲民主党は50議席増の148議席を獲得し、また国民民主党は21議席増の28議席を確保した。ただ、立憲は自力で勝ったというより、自民党の失点で、野党第一党に与えられたボーナスと見たほうが事実に近い。比例では前回の1149万票から6万票増えただけの1155万票と横這いであり、小選挙区において、自民党のミスで勝たせてもらっただけと言えなくもない。
かって岸田前首相は「UCをぶっ壊す」と言わんばかりだったが、皮肉にも「自民党をぶっ壊す」という結果になってしまったのである。
【自民党惨敗の原因とは】
では、この惨敗の原因は何か。八街の会顧問牧師の中川晴久氏は、岸田・石破自民党は「左翼メディアに乗って真逆に全力疾走」したと指摘したが、この言葉は理念なき左傾ポピュリズムに走った岸田・石破政権の実体を端的に言い表している。
今回の惨敗の直接的な要因は、いわゆる「裏金問題」(実際は政治資金不記載問題)を、マスコミと一体となった左派政党が、選挙の争点として大々的に利用したことにある。そして石破茂首相のひどい「政策のぶれ」や「公約違反」が、国民の信頼を失ったことにある。しかし筆者は、最も大きな惨敗の要因は岸田前首相在任中の反宗教的政策にあり、その象徴がLGBT法と宗教団体(UC)の解散命令請求であったと確信している。
岸田文夫前首相の3年間の理念なきポピュリズム政治は戦後最悪の政権であり、石破首相はこの3年間のつけを払わされたとも言えなくもない。無論、ぶれにぶれた石破首相の優柔不断な政治姿勢や自民党執行部による露骨な安倍派潰しが直接的な敗北の原因であるが、その腐った土壌を作った岸田首相に第一義的な責任がある。かくして神の怒りは頂点に達し、自ら鉄槌を下されたのである。「復讐はわたし自身がする」( ロマ書12.19)とある通りである。
<注目の二つの選挙区>
ここに今回の選挙を象徴する二つの選挙区がある。東京24区と神奈川4区である。
東京24区は無所属の萩生田光一氏と立民の有田芳生氏の一騎討ちであった。萩生田氏は安倍元首相と近く、経済産業大臣や文部科学大臣、そして自民党政調会長を歴任した旧安倍派の重鎮である。しかし収支報告書に不記載があった問題をめぐり、自民党から1年間の「党の役職停止」の処分を受け、今回の選挙には自民党から公認を得られず、無所属で臨んだ。いわば安倍派裏金問題の象徴的人物で、マスコミや野党のターゲットに晒されたのである。また、旧統一教会との関係でも批判の的にされた。その萩生田氏に、立民は旧統一教会叩きの急先鋒で左翼活動家である有田芳生氏(72才)をぶつけてきたのである。こともあろうに、野田佳彦立民代表の選挙初日の第一声は、東京24区だったという。
有田氏は安倍元首相の死去に伴う衆議院山口4区の補選にも、旧統一教会問題を争点に立民公認で立候補した前歴を持つ。有田氏の両親は共産党活動家で、名前のヨシフ(芳生)はヨシフ・スターリンから名付けられたというれっきとした元共産党員である。有田氏は、UC信者の拉致監禁による強制脱会を、「問題のある統一教会から脱会させようと努力するのは、家族として当然の行為だ」などと主張し、脱会屋として悪名高い宮村峻氏と組むなどして、前代未聞の人権侵害を正当化し助長してきた反社会的人物である。
そうしてこのいわば善と悪の戦いというべき象徴的選挙で、 萩生田光一氏は堂々と有田氏の批判(裏金と旧統一教会問題)を克服し、その挑戦を退けて勝利し当選した。仮にこの東京24区での選挙結果が有田氏の勝利になっていたら、歴史は逆行しているところだったのである。(但し、有田氏は比例で復活当選した)
今一つの注目選挙は神奈川4区であり、ここには元防衛副大臣の山本朋広氏が自民党公認で出馬した。山本氏は、勝共連合からかなりの支援を受け、UCとも良好な関係を持ってきた政治家であるが、韓鶴子総裁を「マザームーン」と呼ぶといった教団との接点を指摘され、マスコミの批判を受けた。この過程で山本氏は豹変し、神奈川自民党県連会長の小泉信次郎氏から詰め寄られ、「今後はUCと一切関係を持たない」旨の誓約書を出して4区支部長に就いた。そして山本氏は、選挙公約に「カルトにノー宣言」を出し、「UCの解散請求に大賛成」などと公表した。更に鈴木エイト氏には「UC断絶宣言」を出したことを評価され、エイト氏と一緒に写真に収まるなど良好ぶりをアピールした。
つまり、この山本朋広氏は、世論に屈し「恩を仇で返す」背信者と言わざるを得ず、政治家である前に人間として信義に悖る失格者である。この山本氏は今回の選挙で立憲候補者の早稲田ゆきにダブルスコアで敗れ、比例復活もならず、神の鉄槌を受けたのである。但し、この早稲田ゆき氏はアンチUCの急先鋒で、いずれが当選しても神奈川4区は鬼門であった。
こうして、東京24区と神奈川4区は、明暗がくっきり別れる象徴的な選挙区であった。
<今後の日本の政治>
では今後、日本の政治はどうなるのだろうか。慢性的な経済の足踏みからの脱却、デフレ克服など国民経済の復興や、風雲急を告げる国際情勢の中で日本の安全保障をどうやって確かなものにするのかという待った無しの課題に、どう向き合うと言うのだろうか。日本の政治の混乱を見て、一番喜ぶのは中国であり、北朝鮮であり、ロシアである。
前記した通り、自公が過半数を割った以上、維新(38議席)か国民(28議席)か、いずれかの政党と連立を組むしかないが、果たしてうまくいくだろうか(維新、国民は連立を否定している)。少数与党として他党との政策ごとのパーシャル連合もあり得るし、経済学者の高橋洋一氏は、野党の連合政権や自民と立憲の大連立もゼロではないという。とにかく今後「決められない政治」に陥り、綱渡りの政権運営を余儀なくされる政治的動乱の時代を迎えたことは確かである。一方、この与野党拮抗の政治状況は、いずれをも牽制する「神の見えざる手」が働いて絶妙な権力バランスを計ったという見方もある。
ともあれ森山祐幹事長など自民党執行部は当然選挙敗北の責任をとって辞めるべきだし(小泉信次郎選挙対策委員長は辞任した)、石破首相も責任回避は出来きない。誤解を恐れずに申せば、自民党に逆風が吹き荒れる誰がやっても難しい今回の総選挙で、石破首相は火中の栗を拾って露払いをしてくれた捨て石かもしれない。むしろ高市早苗氏を温存できた訳なので、高市氏は前回の総裁選挙で石破氏に負けたことが、返って幸いしたと言えなくもない。
早晩石破首相が退陣することは自明の理であり、そうなると議員だけでの総裁選挙のやり直しということになる。では、この修羅場を乗り切って事態を収集できるリーダーはいるのだろうか。まさに「帯に短し襷に長し」で、日本は長いトンネルに入るしかないのかもしれない。
はたまた、和製ジャンヌダルクやサッチャーが出てくるのだろうか。もし現れるとすれば、それは自民党が悔い改めて、反宗教的政策を降ろす時であり、その時神はその器を用意されるはずである。そして今後、無所属で当選して禊が終わった萩生田光一、西村康稔(にしむらやすとし)、世耕弘成ら旧安倍派の幹部が、結束して安倍派を再建し(安倍派は総選挙で92人から60人に減った)、政権党を再生することが期待される。特に安倍元首相の薫陶をひときわ受けた萩生田光一氏は、その意思を受け継いで、毅然としたリーダーとして立つことが望まれる。
【UCが取るべき選択ー令和の預言者たれ!】
もはや私たちUCには失うべきものなど何もない。自民党には、むしろこちらから引導を渡すべきであるし、政権党によるUC断絶宣言以来、すでにその道を歩んでいる。かって活発な政治活動をしていた生長の家や立正佼成会は、今や政治から距離をおいており、新宗教では唯一信者の増加を見せている真如苑は、そもそも政治には一切関与しない。そしてキリスト教界は政治的には左傾化している。私たちは、しばし世俗を離れて宗教の本義に立ち帰り、地の塩・世の光(マタイ5.13~14)としての「預言者の原点」に回帰する時である
即ちUCは今、本来の宗教活動、即ちみ言の学びと真理の研鑽、そして福音伝道に徹してはどうだろうか。言い換えれば、政治動向に一喜一憂して世俗と関わるより、とにかく足腰を鍛え、自力をつけることが肝心であると思われる。日本基督教団甲府教会の斎藤真行牧師によれば、今やキリスト教会は高齢化して若者が来ないのが実情であり、信者の減少により、2050年には日本基督教団は間違いなく消滅すると深刻な予告をしている。逆に私たちは、25年後に教勢は5倍化、10倍化になっているべきであり、そうすればキリスト教との一致は進み、政権党との葛藤は治癒されて、新しい関係に入ることは自然の理である。いざ令和のパウロよ、願わくば疾く出でんことを!(了) 牧師・伝道師 吉田宏