◯つれづれ日誌(令和4年8月31日)-安倍事件に思う 黙示録の「十四万四千人」とは
なお、わたしが見ていると、見よ、小羊がシオンの山に立っていた。また、十四万四千の人々が小羊と共におり、その額に小羊の名とその父の名とが書かれていた (黙示録14.1)
【ヘイトクライムと正論】
この度の安倍暗殺事件は、実に様々な議論を呼んでいます。マスコミや全国弁連らによるUC叩きは度を過ぎた魔女狩り的様相を呈し、かってのユダヤ人への憎悪に匹敵するヘイトクライムそのものと言っていいでしょう。また、UC叩きの背後には、保守派議員潰し、改憲阻止の左翼の思わくが色濃く反映されています。 どうやら左傾マスコミは、何が何でもUCに「反社」、「カルト」のレッテルを貼りたいということでしょう。
しかし、一方ではこれらのヘイトクライムに警鐘を鳴らし、むしろUCを理解する論調もあります。
例えば、奈良弁護士会(馬場智巌会長)は8月10日、捜査機関とメディアを批判する会長声明を公表し、捜査機関による被疑者についての「意図的で行き過ぎたリーク」が行われており、それをメディアが「真実性を担保しないまま報道している」と指摘しました。
またカトリック系のメディア(Union of Catholic Asian News )は、「当の暗殺者は視野の外で、大衆は統一教会が元凶だと信じ込まされているが、統一教会に違法はない」と報道しました。そして宗教的献金となると自由意思というものはあり得ないと思い込まされ、「洗脳されているからお金を出すのだ」と決めつけるマスコミを批判し、その反宗教的姿勢を非難しました。
更に新宗教を研究するイタリアのマッシモ・イントロヴィニエ氏は、山上容疑者の統一教会憎しの原因となった献金は20年も前であるとした上で、山上の殺意の引き金を20年後に引いたものは何だったのかと問いかけます。その間、教会に敵対する有田芳生氏や米本和広氏やなど反UC情報を垂れ流すネットと交流し、これに強い影響を受け、憎悪を植え付けられたと指摘しました。つまり、山上は反統一教会的な環境と交わり、教会に対するヘイトスピーチにさらされ、それが彼の心を変えて殺意を抱かせるようになった可能性があるというのです。
その他、文芸評論家の小川榮太郎氏、作家の佐藤優氏、ホリエモンこと堀江貴文氏、評論家の渡辺哲也氏、YouTuberの白坂慎太郎氏等々、多くの言論人や、月刊Hanada、月間WILLなどが、今やってもいない20年以上も前の問題をぶり返して叩き、UCとちょっとでも関り合いがあれば、その政治家を犯罪者のように扱うのは異常であり、信仰の自由への挑戦でもあると主張しはじめました。
かって創価学会が強引な勧誘で社会問題を引き起こしたことや、キリスト教が古代ローマで迫害を受けたことなどを引き合いに出しながら、UCはむしろ身に覚えのないことで「とばっちりを受けている被害者」でさえあるとの論調です。UCを悪人に仕立て上げることで、それと関係のあった安倍氏を貶め、あまつさえテロリストの犯罪を正当化しているというのです。
そしてジャーナリストの加賀孝英氏は、夕刊フジ(2022.8.2 )で、中国が、いかに安倍氏を恐れていたかを指摘し、米国や英国などの情報機関は、安倍氏の暗殺を「山上容疑者の単独犯行」で終わらせようとする日本の当局に、重大疑念を持っているとしました。 聞くところによれば、警察は山上容疑者の関係者、母、母の妹、そして叔父等にも事情聞き取りを行い、山上家庭の常識を越える複雑さを理解し始めたとされ、単純に献金の恨みで犯行に及んだとするのは早とちりであり、真正な動機の解明が求められるというのです。
確かにUCは、オウムやイスラム過激派のような殺人テロをしたわけでも、カトリックの一部聖職者のように、未成年への性犯罪を犯したわけでもなく、考えてみればいわゆる霊感商法などは「契約上の民事取引」に関わる問題に過ぎません。しかも2009年のコンプライアンス宣言以来、金銭トラブルは激減しているというのです。
【黙示録の十四万四千人とは】
「わたしたちの神の僕らの額に、わたしたちが印をおしてしまうまでは、地と海と木とをそこなってはならない。わたしは印をおされた者の数を聞いたが、印をおされた者は十四万四千人であった」(黙示録7.3~4)
さて、前記ヨハネの黙示録7章に出てくる「額に印を押された十四万四千」とは何を象徴するのでしょうか。これは再臨のキリストが雲に乗ってやって来るという「雲」(善なる群れ)であり、主を証すヨハネの群れであり、現代的に言えば再臨を信じる者の群れであります。
<黙示録とは>
黙示録は、ローマ帝国下で迫害に遭っている信者を励ますために、これから終末に向けて起こることを預言した希望の書です。即ち、ダビデの若枝が七つの封印を解く場面から始まり(5章)、大患難 (6章~18章)を経て、キリストの再臨(19章)、千年王国(20章)、新天新地(21章~22章)、という道筋が示され、再臨の到来と天国理想を預言した書であります。
そして黙示録ほど人によって色々と解釈されてきた書はありません。それは黙示録が比喩や象徴で書かれ、人々はこの書物に対する先入観によってそれぞれ違った解釈をしてきたからです。黙示録の主要な解釈には、a.使徒の時代から今日までの教会史の概要と解釈する歴史主義、b.善と悪の間の戦いの描写であるとする理想主義、c.これから起こるできごとの預言であるとする未来主義、など色々ありますが、筆者は、終末(再臨期)に起こる出来事を、比喩や象徴で暗示された預言の書であると考えています。
<黙示録7章の十四万四千人とは>
では黙示録7章の十四万四千人(7.1~4、14.1)とは何を象徴するのでしょうか。聖書を文字通り解釈すれば、印を押されたイスラエルの部族を代表する人々ということになりますが、キリスト教では教会の代表であり、教会を象徴する数字であるとされています。しかし、原理によると「再臨主が降臨されたとき、最初に信じ侍って、すべての人間に先立って原罪を脱ぎ、創造目的を完成した人たちが『復帰摂理路程の全体的な、また世界的な蕩減条件を立てる聖業に協助する人々』」(原理講論P224)ということになります。
つまり、再臨主が降臨されて、全体摂理遂行のために立てられ 、「再臨主を証しする聖業に同参する信徒の象徴的な数」であり、これが正に「最初の復活」に参与した人々であるというのです。ちなみに「最初の復活」というのは、「再臨摂理によって、初めて人間が原罪を脱いで、創造本然の自我を復帰し、創造目的を完成させる復活」をいいます。(講論P223)
<注目される十四万四千の群れ>
前述の通り、主が降臨されて、全体摂理遂行のために立てられ 、「再臨主を証しする聖業に同参する信徒の象徴的な数字」こそ印を押された十四万四千人であり、これが正に世界に散らばる統一信徒の群れ、「世界平和統一家庭連合の信者の群れ」であるというのです。
その数は少数でも、掲げる理念の確かさと使命において、またその犠牲と献身において、現代における他の如何なる宗教、如何なる団体の及ぶものではありません。主を囲う雲、主の証し人として、混沌たる世界に鋭角的な問題提起をしてきました。そしてその問題提起は、世の常識を越える価値観と言動でもあるが故に、しばしば社会との衝突を余儀なくされてきたのです。
この十四万四千の小さな群れに、今や日本全体が釘付けになり注目しています。そしてその関心は、「UCの教義とはどのようなものなのか」 、「そもそも文鮮明師は一件何者なのか」、といったより本質的な問題に向かっています。UCをカルト、反社として葬るつもりが、ワシントン・タイムズやUPIなどのUC関連団体がクローズアップされ、UC創始者が世界の首脳に影響を与え、冷戦に終止符を打った影の立役者だったことなど、UCの理念や業績が知られるようになり、何百億円もの広告費を使うことなく、逆にUCと創始者を結果的に宣伝することになっているというのです。
例えば、YouTuberの白坂慎太郎氏や中田敦彦氏は、統一教会を理解するためには「統一原理そのものを理解しなければならない」として、不足ながら教義の解説を始めました。とりわけ白坂慎太郎氏の「統一教会とは?①②」は、統一原理の教義を正面から扱っており、表面的で浅薄な統一教会論ではなく、公平で本質的な問題を提起して正論を述べています。
<摂理の頂点としてのメシア宣言>
そんなに取り立てて騒ぐほど大きくもないUCなのに、何故これほどまでに注目され騒がれるのでしょうか。それは神とサタンの一線に立つ「主を証しする群れ」であるからに他ならず、良くも悪くも、今や全国でUC研究が始まりました。
そしてこの十四万四千は、遂に再臨主の顕現を見ることができました。アメリカ議会とソウルでの公式な「メシア宣言」です。ソ連共産主義崩壊後の1992年8月24日、ソウルで行われた第1回世界文化体育大典の合同晩餐会において、創始者は、「私と妻の韓鶴子女史は、人類の真の父母であり、救世主・再臨主であり、メシアであると宣布します。」と公に宣言されました。そしてこのメシア宣言は、正に「神の摂理の頂点」と言え、そこにはこれを支え同参した十四万四千の想像を絶する「物心両面に渡る犠牲と献身」があったことを想起すべきです。あたかも日本では、あの霊感商法報道が真っ只中の頃でありました。
一体、自らがメシアであることを宣言することが、どんなに難しいことでしょうか。聖書には偽メシアが現れて世を惑わすことが随所に書かれており(マタイ24.24、マルコ13.21~23)、準備と条件なきメシア宣言は茶番劇として笑い者になるというのです。しかし、創始者は、共産主義を屈服させたという条件の上で、そして十四万四千人に支えられて、満を持してメシア宣言をされたというのです。こうして十四万四千人は、摂理的な大きな役割を果たしました。
つい最近、長くアメリカで宣教に携わったある信徒から、創始者のメシア宣言に至るまでのみ業について、タイミングよく次のようなメールを頂きました。
「私は偉大な神のみ業を発見しました。文鮮明先生は、ダンベリー牢獄(1984.7.2~1985.7.4)の中から全米牧師聖職者144000人に書簡を送付され、原理講義ビデオが同時に添付されました。続いて全宗教者と学者にも送付され、合計30万人に牢獄書簡と原理講義ビデオが送付されたというのです。また7000名牧師の日本・韓国訪問と原理受講、更にイスラム教が『受難の預言者』として文先生を尊敬し、中東イスラム諸国から聖職者と神学生が連続してイーストガーデンを訪問し、21日原理修練会に参席したのです 」
まさに創始者は、多額の予算をかけて、世界を代表するアメリカの牧師144000人に、いち早くメシアの到来とその福音を伝えたという条件を、牢獄の中で立てられたというのです。そしてワシントン・タイムズも牢獄から声を上げています。ちなみに創始者は「ワシントン・タイムズには、アメリカの人々に神について知らせる責任がある。ワシントン・タイムズは、神についての真実を世界に広める道具となるだろう」と述べられました。
そうして2012年8月13日、「最終的な復帰摂理を完成・完結・完了し、全てを成し遂げました」との最後の宣布と祈りを捧げられ、2012年9月3日、神のみ元に昇天されました。この偉大なメシアの生涯と思想は、かの十字架に架かったイエスのように、いやそれ以上に、やがて時を経て、世界に顕現することでありましょう。
【金銭の使途の問題】
最後に金銭の使途問題について言及いたします。現下のUC叩きの中でも、霊感商法で集めたと称する金銭の使途が最も大きな問題となっています。即ち、日本人から不当にむしりとった金銭が、韓国に流れていること、しかも日本は戦前韓国に悪いことをしたので、その償いとして、韓国に貢がなくてはならないという自虐史観が教義的に組み込まれているという間違った批判です。いわゆる間違った「アダム国家・エバ国家論」で、日本が韓国より下位に位置付けられているという妄想です。
<文藝春秋の批判記事>
文藝春秋九月号「安倍元首相暗殺と統一教会」にはこの問題が強調して取り上げられました。
韓鶴子総裁のみ言「日本は過去に誤ったことを認めなければならない。人間的に考えれば赦すことができない民族です」が切り取られて一人歩きし、またアダム国家、エバ国家の教義が歪曲して報道されています。即ち、「日本はエバ国家で、姦淫の原罪により、日本は韓国に尽くさなければならないという教えが根幹にある」とし、「原理講論韓国版には、植民地統治時代にはいかに日本人が韓国人を虐待したかが書いてある」と指摘しました。
こういった批判は、日本人、特に日本派日本人の嫌悪感を刺激するバッシングであり、民放のテレビのワイドショーでは連日報じられ、多くの日本人はUCへの憎悪感情を増幅させています。マスコミが垂れ流すこれらの論調は、内を見ないで外形だけを見て判断した結果ですが、私たちは発言に注意すると共に、当方側のきちんとした説明が必要です。(反論は後述する)
この点、第一回目の記者会見で田中会長が金銭の使途を聞かれた際、日本から派遣されている多くの世界宣教師の宣教費用に必要だったと説明しましたが、この説明は的を得た発言でした。何故なら、特にキリスト教においては、かって欧米から多くの宣教師が日本に送り込まれてきましたが、このために莫大な予算が必要だったことは、誰よりもよく知っているからです。実際、海外への支援のほとんどは、日本が送り出した世界宣教師の宣教費用など「世界宣教」に関連して拠出されたものであります。日本発キリスト教宣教師の大規模な派遣は、日本の歴史にかってなかったことであり、確かにその意味で日本UCは歴史的な大事業を遂行したというのです。
<日韓の歴史問題>
今や、日韓双方共、今までの倒錯した歴史観から解放される時になりました。「償い史観」からの解放です。 現在韓国のサラリーマンの給料は、一部で日本を上回るほどになったと言われています。また創始者は日本の統治に関して、「日本による朝鮮半島の統治は、再臨の経済基盤を作るためだった」と評価されたことがあり、また朴正煕大統領は、「漢江の奇跡」は日本がインフラストラクチャー(産業基盤)を作ってくれたお陰だと語りました。
筆者は、かって青山繁晴議員がUCについて、誤解を招きかねない発言をされたことに関し、その発言の真意や意図を次の通り文書でお尋ねしたことがあります。
「私たち家庭連合は、教祖が韓国人であり、『家庭連合は韓国ロビーであり、反日団体ではないか』との風評があることは承知しております。従って、先ずは青山議員の意見をお伺いし、思い当たるふしは鋭意改善する材料とさせて頂き、またあわせて青山議員の疑義乃至は誤解を解くことが出来れば、これに過ぎたる喜びはありません」
後日青山議員からは、4枚の丁重な自筆の手紙で回答が届きましたが、お礼の意味で、後日筆者の「改憲論」をしたためた論文を手渡しました。特に青山議員が代表を務める74人の保守派議員集団「日本の尊厳と国益を護る会」などは、上記のようなマスコミの情報には敏感に反応することでしょう。説明責任が必須です。
次回、この古くて新しい日韓問題の在り方について、上記の「償い史観」「アダム国家・エバ国家論」を含め、筆者の所見を述べ、文藝春秋などのマスコミの批判に答えたいと思います。(了) 宣教師 吉田宏
上記絵画*パトモス島の聖ヨハネ(ランブール兄弟作画)
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