🔷西岡力氏、UC解散問題で鋭い提言 北の拉致問題、南の従軍慰安婦問題の世論戦に学べ
🔷徒然日誌(令和8年10月7日) 西岡力氏、UC解散問題で鋭い提言ー北の拉致問題、南の従軍慰安婦問題の世論戦に学べ
主よ、立ちあがってください。人に勝利を得させず、もろもろの国民に、み前でさばきを受けさせてください。主よ、彼らに恐れを起させ、もろもろの国民に自分がただ、人であることを知らせてください。(詩篇9.19~20)
プロローグー西岡力とは誰か

文藝評論家で一般社団法人日本平和学研究所理事長である小川榮太郎氏は、自らが主宰する「平和チャンネル」で動画を発信しておられるが、その中で「旧統一教会の解散命令は明らかに司法の自殺だ」というタイトルの対談形式の動画を、シリーズで発信されている。
そして第13回目は、「救う会」(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会)会長、麗澤大学客員教授の西岡力氏との対談であった。(「特設番組 旧統一教会への解散命令は明らかに司法の自殺だ」⑬ 西岡力・麗澤大教授に訊く―家庭連合への措置は《日本における信教の自由の危機》、公開日2026年9月13日)
筆者はこの小川榮太郎氏と西岡力氏の対談を見て、「我が意を得たり」の感がし、特に西岡氏のキリスト教徒としての率直な見解と矜持にいたく感銘した。また、西岡氏が敬虔な福音派のキリスト教徒であり、神学にも造詣が深いことを、改めて知ることになり、まさに「目から鱗」とはこのことである。筆者は西岡氏が、北朝鮮拉致問題や従軍慰安婦問題でリーダーシップを発揮されていることは知っていたが、恥ずかしながら、神学校で長年教鞭を取られ、福音派キリスト教の篤実な信者であることは知らなかったのである。
そこで今回、特に西岡氏の見解を中心に「司法の自殺」の意味を吟味したい。
1、西岡力氏の略歴、信仰、神学、行動について
以下、西岡力氏の略歴、信仰、神学、行動について記して置く。
①西岡氏の略歴は次の通り。
▪️1956年 東京都に生まれる(70才)
▪️1979年 国際基督教大学(ICU)卒業、1977~78年、韓国延世大学国際学科に交換留学。
▪️1981年 基督聖協団練馬教会で小笠原孝牧師より受洗(25才)
▪️1983年 筑波大学大学院地域研究研究科修了(韓国・北朝鮮地域研究専攻)
▪️1982~84年 外務省調査員として在韓国日本大使館勤務
▪️1190~2002年 月刊『現代コリア』編集長
▪️1991年 東京基督教大学専任講師、2006年 助教授、2010年 教授(54才)、2017年3
月 東京基督教大学教授を辞する
▪️1998年「救う会」の設立に関与、2010年「救う会」会長に就任
▪️2016年 麗澤大学客員教授に就任
▪️2017年以降 モラロジー研究所(現・モラロジー道徳教育財団)で教授・研究室長
◈主要著作→『日韓誤解の深淵』(亜紀書房、1992年)、『闇に挑む!――拉致、飢餓、慰安婦、反日をどう把握するか』(徳間書店、1998年)、『よくわかる慰安婦問題』(草思社、2007年)、『飢餓とミサイル――北朝鮮はこれからどうなるのか』(草思社、1998年)など多数
なお、中西輝政、八木秀次、島田洋一、伊藤哲夫、各氏らと共に、時の首相・安倍晋三のブレーン「五人組」の1人と東京新聞に報じられ、2012年自由民主党総裁選挙の際は、「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」発起人に名を連ねた。
上記の略歴の中で、西岡氏はプロテスタント福音系の牧師養成の東京基督教大学教授として長年教鞭をとっており、聖書、キリスト教神学に造詣が深いことは想像に難くない。そして西岡氏は、福音派のクリスチャンであることを公言し、自らイエス・キリストの処女生誕、福音書に記録があるイエスの奇跡やイエスの復活をそのまま信じていることを告白している。即ち西岡氏は、聖書は誤りのない神の言葉であり、信仰と生活の唯一の規範であるという福音派の信仰を持つ。
ちなみに、東京神学大学(東神大)が日本基督教団を中心とするプロテスタント神学・牧師養成の専門大学であるのに対して、東京基督教大学(TCU)は、福音主義・超教派の立場から、牧師・宣教師・キリスト教奉仕者を養成する大学である。
この敬虔なキリスト者西岡氏が、家庭連合(以下、「UC」と呼ぶ)の教義自体は受け入れられないとした上で、UCの解散に対して信教の自由の観点から明確に反対を表明されていることはきわめて重く、注目に値する。
②西岡力氏は何故キリスト教徒となったか
では西岡氏は、何故、いかにキリスト教徒になり、どのようなキリスト教徒なのであろうか。
西岡力氏自身の言葉によると、キリスト教入信は、幼少期からの家庭的な信仰ではなく(ノンクリスチャン家庭・無神論者)、大学生・大学院生時代の人生や思想的な悩みの中で聖書と教会に出会い、罪の自覚と悔い改めを経てイエスを救い主として受け入れたという。
西岡氏は、2018年4月1日、日本キリスト者オピニオンサイト SALTY(ソルティ)創刊号で、「私はノンクリスチャンの家庭に生まれ、無神論者として育ち、高校生時代から新左翼系のいわゆる反戦デモなどに参加していました」と述べ、そして「大学院在学中に、イエス・キリストに出会い、罪を悔い改めて十字架の赦しを頂き、基督聖協団練馬教会で小笠原孝牧師より洗礼を受けました。25歳の時でした。」と記している。
また、「1991年4月から私はTCU(東京基督教大学)の専任教員になりました。35歳の時です。洗礼後、10年間、私は主によりこのための備えをさせられていたと思います。」と告白している。
ちなみに 「SALTY」とは、聖書でいう「地の塩」(マタイ5.13)から命名され、2018年4月1日に複数のプロテスタント牧師らによって立ち上げられた、日本のキリスト教関係者によるオピニオンサイト・言論団体で、「キリスト者の間にも多様な意見があることを認め、聖書に立ちながら社会・政治問題について自由に議論できる言論空間をつくる」という趣旨で設立された。代表は木下春樹氏(網干キリスト教会牧師)、主筆は西岡力氏が務めている。
このように、西岡氏は最初から敬虔なクリスチャンだったのではなく、むしろ神を信じないところから出発し、無神論→人生・思想上の悩み→教会・牧師との出会い→聖書を聞く→神の存在を知る→自分自身の罪を認識する→悔い改める→キリストを救い主として受け入れという流れにある。つまり、典型的な福音派的回心の構造である。
西岡氏は、大学生・大学院生時代の人生や思想的な悩みの中でキリスト教信仰に導かれたと告白しているが、筆者は、その悩みが何であったか、そしてキリスト教によってその悩みからいかに解放されたのか、西岡氏の回心体験とは何かについて、機会があれば更に知りたいと思う。
西岡氏は、現在でも、人間は全知全能の神の前では「人間に過ぎない」という意識を非常に強調し「SALTY」の創刊にあたって、 「私がいつも座右の銘にしている聖書の御言葉がある」とし、詩篇8篇3節〜6節と詩篇9篇19節~20節を座右の聖句として挙げている。
詩篇9篇19節は、「主よ、立ちあがってください。人に勝利を得させず、もろもろの国民に、み前でさばきを受けさせてください。主よ、彼らに恐れを起させ、もろもろの国民に自分がただ、人であることを知らせてください」(詩篇9.19~20)とあり、 この聖句は、我々は一介の人間に過ぎないので(神と人間の違い)、常に謙虚であるべきであることを教えている。
一方、詩篇8篇3〜6節は、「人は何者なので、これをみ心にとめられるのですか、人の子は何者なので、これを顧みられるのですか。ただ少しく人を神よりも低く造って、栄えと誉とをこうむらせ、これにみ手のわざを治めさせ、よろずの物をその足の下におかれました。」(詩篇8.3~6)とあり、人に過ぎない者に神は祝福を与え、万物を治める立場に置かれたというのである。
まさに「神は自分のかたちに人を創造された。」(創世記1.27)とある通り、人間は明確に全知全能の神とは違う一介の人間に過ぎないが、一方では、神のかたちに作られた神の子であるというのである。
西岡氏はまた、2018年4月1日の SALTYで、 TCU(東京基督教大学)を離れるのに際し、次のように記している。
「25歳で救われ10年間、社会で準備をして35歳から60歳まで人生の一番良い時期をTCUで奉仕できました。60歳になり、これまで社会で主に仕える人材を育てることを目標にした国際キリスト教学科を卒業した卒業生らとともに、教会と社会に仕える人材として一般社会のまっただ中に出て行こうと決意しました。みこころならあと10年、研究と社会貢献の面で主に仕えようと決意しています。」
現在西岡氏は70才になったが、少なくとももう10年(80才まで)、研究と社会貢献の面で奮闘して欲しいと祈念する。何故なら、筆者が聖書とキリスト教神学に本格的に取り組んだのは70才からであり、学問と社会貢献に定年はないからである。
こうして西岡氏は、聖書と神学に通じた正真正銘のキリスト者であったのである。願わくばこれからの10年、小川榮太郎氏ら良質な保守言論人とタイアップし、UC解散問題が投げ掛けた「信教の自由」の問題に決着を着けて欲しいと切望する。
③北朝鮮の拉致問題と従軍慰安婦問題

また西岡氏は朝鮮半島研究を専門とする研究者でもあり、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)の会長として、当時、「拉致はなかった」とする世論に抗して、地道に国民運動を盛り上げ、遂に北朝鮮に拉致を認めさせた。
即ち、2002年9月17日、平壌で行われた第1回日朝首脳会談で、小泉純一郎首相に対して、金正日(キム・ジョンイル)は、日本人拉致を認めた。
更に日本軍による従軍慰安婦問題(歴史認識問題)でも、事実と証拠に基づき、「日本軍が朝鮮人女性を組織的に強制連行した」という説や、吉田清治氏の「済州島で女性を強制連行した」といった証言に疑義を呈し、吉田清治氏の証言に基づいた朝日新聞の報道を撤回させ、朝日新聞に謝罪させた。
従って、西岡氏の社会活動は、朝鮮半島研究→慰安婦問題の研究・発信→北朝鮮による日本人拉致問題への取り組み→「救う会」活動の中心人物へという流れにあり、現在は拉致問題・歴史認識問題の双方で発信している。 このように、西岡氏は当初少数意見として見向きもされなかった歴史的事実を、公に認めさせ撤回させた中心人物の一人として、「世論戦」を戦って勝利に導いた実績がある。
その西岡氏が、UCの解散は国家権力による宗教への介入であり、信教の自由への挑戦であるとして問題視し、また事実と証拠に基づかない裁判を批判し撤回を求めていることの意味はあまりにも大きい。
2、小川榮太郎氏との対談に見る西岡力氏の発言

西岡氏は、UCの解散問題に関して、「好ましくない宗教だから国家が法人格を奪ってよい」という論理に警鐘を鳴らしている。つまり、「その宗教が好ましいかどうか」ではなく、「国家が宗教法人を解散させるほどの法的根拠があるのか」を問題にし、信教の自由は、「自分が賛成する宗教だけでなく、自分が反対する宗教にも保障されるべきである」という問題意識が根底にある。
➀解散問題に関する声明
西岡氏は、2022年10月31日付の国家基本問題研究所(国基研)の「今週の直言」第980回で掲載された論考「キリスト教信者から見た旧統一協会問題」で、「キリスト教の立場からすると、文鮮明を救い主だと教える旧統一協会の教えは到底受け入れられない。また、日本人は朝鮮支配の原罪があるから韓国に仕えなければならないとする旧統一協会の反日思想に対して、私は日韓関係研究者として歴史的事実に反すると人生をかけて反論してきた」 と述べた上で、次のように語っている。
「今回の(地裁の)決定で、わが国の信教の自由は大きく制限されたと思う。家庭連合の教義には全く同意できない。しかし、数十年間、この国で宗教法人として認められて宗教活動を行ってきた団体が、政府の突然の法人解散要件の変更とその遡及的適用で解散請求がなされ、地方裁判所が請求を受け入れる事態に、恐怖を感じざるを得ない。」
特に、岸田文雄首相が、宗教法人解散の要件は「刑法の不法行為」(刑事犯罪)だけとしてきた従来の立場を突然変更して、「民法の不法行為」も含まれると国会答弁を修正したことを問題視した。UCの幹部は「刑事罰を受けたことはない」とし、信教の自由という憲法で保障されている大原則が崩れることに警鐘を鳴らした。
また西岡氏は、 2025年3月31日の「SALTY」で、「解散命令は信教の自由を侵す―旧統一協会問題」と題する声明を出した。
西岡氏はこの声明でで、3月25日の東京地裁による家庭連合への解散命令は、従来の政府解釈の「法令違反」の範囲を変更し、民法上の不法行為を宗教法人法81条の「法令違反」に含め、その解釈を過去の行為に適用したこと、民事訴訟だけでなく示談による献金返還事例まで解散の根拠とされたこと、訴訟を提起した元信者の中に、多くの拉致監禁・強制脱会の経験者がいること、と言った問題を取り上げている。
そして最後に非常に明確に、「私はプロテスタントの信者であり、家庭連合の教理に同意できない。しかし、彼らの信教の自由は絶対に守られるべきだと強く主張する」と結んだ。
②宗教法人法の解釈変更への警鐘
山上徹也が、2022年7月8日、安倍晋三元首相を暗殺し、安倍氏が殉国した事件直後(西岡氏は安倍氏の死を殉国と呼んでいる)、UCに怨恨を持っていたということを奈良県警がマスコミにリークし、瞬く間にテロ=UCという根拠のない世論が形成されたが、西岡氏は、テロリストに一部の理があるといった風潮や、ろくに調べもしない一方的な世論の流れを危険視した。そして西岡氏は、クリスチャンが信教の自由を危惧して声を挙げないなら、私が声をあげるしかないと思ったという。
そして西岡氏が最も強い危機感を抱いたのは、前記したように、岸田首相が宗教法人の解散要件を定めた宗教法人法81条1項1号の解釈を、一夜にして変更したことだった。2022年10月18日の衆議院予算委員会では、「民法の不法行為は入らない」と答弁したにも関わらず、翌19日の参議院予算委員会で、宗教法人法に基づく解散命令の要件について「民法の不法行為も入り得る」と答弁を変更したのである。
このように、新たな証拠もないまま判断基準が突然変更されたことは、法律よりもメディアの圧力が優先されたことを物語っていた。 西岡氏は、世論の反発が高まれば、どの宗教団体も十分に解散に追い込まれるという前例になり、こういう危険な前例が作られてしまったことに、恐れを感じたという。
西岡氏はこの問題について、前記した公益財団法人国家基本問題研究所で、第980回「キリスト教信者から見た旧統一協会問題」と題するコラムで、「世論が変われば憲法に定められた信教の自由、私有財産処分の自由(献金)などの枠組みがいとも簡単に崩れていく。多数派の日本人とはかなり異なる少数派の信仰を持つ私は、それを目撃して、その矛先がいつ私たちに向くかもしれないという恐怖を感じるのだ。」と警鐘を鳴らした。
③日本キリスト者オピニオンサイト「SALTY」などへの投稿
西岡氏は対談の中で、自らが主筆を務める「SALTY」へ、解散問題で投稿してきたと語った。
2023年2月1日の「SALTY」において「なぜ今なのかが不可解な旧統一協会解散命令請求」と題して投稿し、「ついに政府が世界平和家庭連合(旧統一協会)の解散命令を東京地裁に請求した。恐怖はより強くなっている。特に、キリスト教、仏教、神道などのリーダーを含む宗教法人審議会が解散命令請求に全会一致で賛成したことに戦慄を覚えた。」と述べている。
西岡氏は、2023年10月12日の宗教法人審議会には、日本基督教団(UCCJ)の総幹事網中彰子氏(日本基督教団横浜明星教会牧師)と、日本同盟基督教団牧師廣瀬薫氏(恵泉女学園学園長)のキリスト教関係の委員が2人いたが、キリスト教代表者が解散請求に賛同したことに驚愕したという。
また、2025年8月11日には東京で、9月には大阪で、クリスチャンを対象に、UCの解散問題をテーマに独自の集会を開き、信教の自由や拉致監禁問題の深刻さを訴えたという。

即ち、東京の御茶ノ水クリスチャン・センターでは、「信教の自由を脅かす解散命令」 ~旧統一協会信者強制改宗の闇を暴く~」(主催:日本キリスト者オピニオンサイト SALTY)と題して開催され、西岡力氏(SALTY主筆)と中川晴久牧師(SALTY論説委員)が対談し、砂川竜一牧師(沖縄のつきしろキリスト教会牧師)がゲストスピーチを行った。
砂川竜一牧師は、スピーチで、米兵と日本人女性の間に生まれ、つらい幼少期を過ごすが、10代の頃、米国で再会した父親を赦(ゆる)すように導かれ、その後牧師として献身し、タクシーの運転手をしながら、教会を開拓したことを述懐し、もともとは旧統一協会というだけで全てに否定的だったという。しかし考えが変わったのは、月刊誌「正論」(2023年12月号)に掲載された西岡氏と、中川晴久氏(主の羊クリスチャン教会牧師)による対談を読んでからだったという。
これら西岡氏らの声明は、同じキリスト教でも、UCの解散を是とするNCCや日本基督教団と真逆であり、筆者はキリスト教にも良識が残っていたことに安堵した。
④キリスト教界の左傾化への危惧
続いて西岡氏は、日本のキリスト教界の社会運動(左傾化)について語った。
戦後の日本のプロテスタント界には、大きく二つの潮流が生まれた。教会を束ねる大きな団体グループとして、日本基督教団などが加盟し、エキュメニカルや社会運動を重視する「日本キリスト教協議会」(NCC、主流派)と、福音派などが加盟し、聖書信仰・回心・伝道を重視する「日本福音同盟」(JEA)がある。
戦前、軍国主義に荷担した反省を背景に、主流派教会の内部には、社会運動に積極的な勢力が形成され、共産党に参加する牧師や、解放神学を推進する牧師も現れたという。神学校(東神大)も学生運動の拠点となり、 主流派教会の一部は、沖縄の米軍基地移設への反対運動や反天皇制運動など、様々な左翼的な政治運動と結びついた。西岡氏を含む福音派は、この傾向に抵抗し、伝道活動を重視した。(参照-何故、基督教団は左傾化するのか→
西岡氏は、神学の再解釈、社会運動(学生運動)、そして社会を「抑圧する側」と「抑圧される側」に二分し、「弱者を偶像化」する教団の在り方に強い疑義を呈したという。この疑義が従軍慰安婦問題や北朝鮮拉致問題につながる要因の一つであり、これらは、西岡氏が東京基督教大学を退職した理由の一つでもある。そして、これをきっかけに、正義を主張するグループ「SALTY」(塩 )が設立された。
⑤従軍慰安婦問題と北朝鮮拉致問題の世論戦に学べ
そして最後に西岡氏は、「従軍慰安婦はなかった」「北朝鮮による拉致はあった」という、自らが戦って勝利してきた世論戦について詳細に語った。
たとえ「人非人」と言われようが、あるいはこの論文を書けば殺されるかも知れなくても、よしんば生きている間にできなくても、「真実は語られるべき」との矜持が西岡氏を支えたという。そして、UCに解散に値する根拠がないこと、信教の自由は守られなければならないことの「世論戦」を戦うよい前例になるとの鋭い助言を語った。世論はある出来事で「一変する」とし、この問題を生涯のテーマとする国会議員が一人でも出てこなければならないと強調した。
最後に小川榮太郎氏との対談で、信教の自由を守る責任を誰が主張すべきかを問い、危険を認識している研究者や言論人は勿論、とりわけ宗教人は声を上げなければいけないとした。
3、西岡力氏に弁明の一言
おしまいに、西岡氏に一言弁明したいことがある。
西岡氏は、前記した国家基本問題研究所(国基研)の「今週の直言」第980回で掲載された論考「キリスト教信者から見た旧統一協会問題」で、「日本人は朝鮮支配の原罪があるから韓国に仕えなければならないとする旧統一協会の反日思想に対して、私は日韓関係研究者として歴史的事実に反すると人生をかけて反論してきた」と述べたが、その真意はともかく、これは大きな誤解である。
UCは、自虐史観を有していないし、反日思想の持ち主でもなく、むしろ愛国団体であり、それはUC関連団体の国際勝共連合や世界日報の主張と行動を見ても明らかである。オールドメディアや左翼知識人は、UCを貶める常套文句として、韓国への自虐思想を喧伝し、反日団体とのレッテル張りをしているが、これは根拠ないフェイクニュースである。
この問題については、筆者の徒然日誌で詳細に論じているので、是非一読をお願いしたい。
▪️「間違ったアダム国家・エバ国家論を糺す」(UC教義に自虐思想はない)→
▪️「文鮮明師の日本観と韓国観、及び世界主義ーUC教義に反日自虐史観はない」→ https://note.com/yoshida1946/n/naafc86139b27
▪️「日本は世界の母胎・令和の母性国家論ー間違ったアダム・エバ国家論を糺す」→ https://note.com/yoshida1946/n/n07d72129064c
以上、「西岡力氏、UC解散問題への鋭い提言ー北の拉致問題、南の従軍慰安婦問題の世論戦に学べ 」と題して、小川榮太郎氏と西岡力氏の対談について論じた。
西岡氏は対談の中で、キリスト者の立場から、UCの解散には法的根拠がなく、とりわけ信教の自由への脅威であると明言された。そして自ら従軍慰安婦問題と北朝鮮拉致問題で世論戦を戦った経験から、今後のUC信徒の為すべき教訓と羅針盤を示され、大いに参考になった。願わくばこの教訓を現実化すべく、粘り強く戦いたい。
「たといわたしは死の陰の谷を歩むとも、わざわいを恐れません。 あなたがわたしと共におられるからです」(詩篇23.4) (了)
牧師・宣教師 吉田宏



