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安倍事件「重要ポイント解説」 モザンビーク太陽学校外務大臣表彰取消に思う 非キリスト教国家日本の大失態

◯つれづれ日誌(令和4年11月9日)-安倍事件「重要ポイント解説」ーモザンビーク太陽学校外務大臣表彰取消に思うー非キリスト教国家日本の大失態


復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する(ヘブル10.30)


今、怒りと侮蔑の思いがふつふつと沸いてきます。もちろん政府外務省が共産党の圧力に屈して、モザンビークで25年に渡りボランティア活動を行ってきた宝山晶子さんへの外務大臣表彰を取り消したことへの怒りと侮蔑です。


表彰を取り消されて、表彰状と副賞の返還を求められたこと自体はどうと言うことはありません。問題は外務省・岸田政権の弱腰姿勢、理念・信念の欠如、宗教への無知蒙昧です。


【勝ち誇る赤旗】


2022年11月5日(土)付け日本共産党の赤旗には次の通りの記事が、まるで勝ち誇ったように大きく掲載されています。


「外務省は4日、2019年度に統一協会(世界平和統一家庭連合)の関連団体が運営するアフリカのモザンビーク太陽中学校・高校の宝山晶子理事長に授与した外務大臣表彰を取り消すと発表しました。日本共産党の穀田恵二議員が10月26日の衆院外務委員会で取り上げ、表彰の取り消しと徹底調査を求めていました。


同学校は、統一協会の関連団体「世界平和女性連合」が運営。宝山氏は同団体の派遣員です。19年7月に当時の河野太郎外相が宝山氏に外務大臣表彰を授与していました。


外務省は取り消しの理由として、『社会的に問題が指摘されている旧統一教会(統一協会)の布教を強く意識した学校活動を実施していたことが確認された』と説明。『社会的に問題が指摘されている旧統一教会の活動を促進するものであるかのような無用な誤解を与えることは適切ではない』として、表彰を取り消し、表彰状と副賞の速やかな返納を求めるとしました。


穀田氏は10月26日の外務委で『非人道的な統一協会の活動を政府として称賛し、お墨付きを与えた問題だ』と追及。林芳正外相は『事実関係をしっかり確認して対処を検討したい』と述べていました」


【モザンビーク太陽中学校・高校とは】


では、共産党が問題にして、外務大臣表彰を取り消された宝山晶子さんが理事長として運営する「モザンビーク太陽中学校・高校」とはどういう学校なのでしょうか。筆者自身も共産党の国会質問のお陰で、初めてその存在を知ることになりました。


「モザンビーク太陽中学校・高校」は、現地の熱い要請を受けて、国の発展に貢献する人材の育成のため、WFWP(世界平和女性連合)から派遣された宝山さんらが設立したもので、1995年に中学校、2001年に高校をモザンビーク第二の都市ベイラ市に開校し、運営しているものです。



ちなみにWFWP(世界平和女性連合)とは国連が定めるSDGs(世界改善のための持続可能な17の目標)に沿って女性のエンパワーメント(活性化)・教育・貧困撲滅に取り組んでいる国連で認定された有力なNGO(非政府組織)であります。


なおモザンビーク共和国の人口は約 3036万人、国土面積79.9万km²(日本の約2倍)、言語はポルトガル語、宗教はキリスト教(約40%)、イスラム教(約20%)、他現地宗教となっています。


<現地での高い評価>


1975年、ポルトガルからの独立後も16年に及ぶ長期内戦による疲弊で深刻な学校不足となったモザンビークにおいて、その教育事情の改善と、貧困家庭の子どもたちの救済を通じて、国の未来を担う優秀な人材の育成を目的として太陽学校は始まりました。


宝山晶子さんらの25年に渡る血のにじむ努力により、安定した運営と高い教育実績が評価され、モザンビーク教育省より私立学校の最高ランクに認定されました。そして、公立学校と同等の権限を与えられています。高校開校以来、大学を目指す生徒が増加し、これまで輩出した卒業生の数11366 人、大学合格者400人(その内、国立大学合格者77人)に及び、モザンビークの発展の担い手となる人材育成の場として、現地で有数の学校として高い評価を受けてきました。


そうして日本の外務省は、モザンビーク政府からも高く評価されている現地の状況をつぶさに見ながら、理事長の宝山さんに外務大臣賞を授与したものです。


<宝山晶子さんらの献身的活動>


1994年、女性連合からモザンビークに派遣された宝山晶子さん一行10人は、ザンビアの日本宣教師の協力を受けながら、貧しい家庭の子供達を集めての義務教育から始めました。そして1995年、ベイラ市でわらぶき屋根の粗末な学校でしたが、「モザンビークの太陽中学校」を設立しました。以下は宝山さんの手記から抜粋し要約したものです。


1997年から本格的に学校建設にとりかかり、徐々に生徒数も増え、日本のWFWPからの支援もあり、1998年末には新校舎が完成しました。開所式の模様はモザンビークテレビが繰り返し放映しました。2001年には高校を開校しました。ブラジルから参考書を多数取り寄せ、教材にし、図書館の蔵書は7000冊近くになっています。


2004年から国立大学合格者が増えはじめ、最難関のエドアルド・モンドラーネ大学の医学部、工学部、理学部などに10名近くが合格した年もありました。また、地元ベイラ市の教育大学には、多数の合格者を出しています。生徒数600名規模の私立学校から大勢の大学合格者を出していると次第に評判になり、当時の知事(のちの首相)が訪問したいといってきたこともあります。こうした実績を基盤に、2008年には、教育省から私立学校で最高ランクに認定されました。またWFWPは、奨学金制度を設けて、大学生を支援しました。 


現在、教師約40名、職員15名、計55名ほどで運営し、開校以来、給料の遅延は一度もなく、また、生徒の月謝も安く抑えてきました。


宝山さんは、3人の幼い子どもを主人に預け、単身モザンビークの教育向上に献身しました。日本人女性が内戦終結後間もないモザンビークで生きていくのは、容易ではありませんでした。マラリアやエイズなどの疫病に加え、治安が非常に悪く、自宅で4回も強盗に襲われ(ピストル強盗2回)、手足を縛られ、さるぐつわをかまされ、顔面を何度もなぐられたこともあるという有り様です。


1994年10月には、日本に残してきた7歳の長女が事故に遭い、6ヶ月後に他界するということがありました。亡くなる数日前、長女は清楚な姿で夢に現れ、「お母さん、私は大丈夫。アフリカで頑張って」と言ってくれ、この夢がアフリカで活動を続けてこられた原動力になっていると述懐しました。


実は筆者は、宝山晶子さん(旧姓佐藤)の学生時代をよく知っています。筆者が京都で教会活動をやっている時、当時、同志社大学の学生だった宝山さんが導かれてきました。とても真面目で明るくエネルギッシュな女性とお見受けしましたが、共産党が国会で問題にしてくれたお陰で、モザンビークでの献身的な歩みを知ることができました。それにしても、家族をはじめ全てを犠牲にして、ここまでモザンビークために尽くしたとは驚きであり、これは日本の誇りです。


【政府・外務省ー歴史上最大の汚点】


このように、宝山さんのモザンビークでの活動は、全てを犠牲にした、文字通り命懸けの、正に人生を掛けた奉仕でした。


<信仰的信念に基づくボランティア>


短期間赴任で交代するJICA(青年海外協力隊)やPKO(国際連合平和維持活動)と違って、現地に骨を埋めるボランティアは信仰的信念がなければ、できるものではありません。


マザーテレサがインドの貧民窟に身を投じたのも、シュバイツァーがアフリカの医療向上に献身し、ナイチンゲールが看護の向上に人生をかけたのも、ひとえに信仰の賜物でした。持続的で犠牲的なボランティアは、単なる良心や正義心でできるものではなく、そこに神への揺るぎない信仰があってのことであります。


長崎世界遺産に登録された隠れキリシタンの里である「外海」(そとめ)地域の貧困からの脱出のために、私財(現代価値で約20億円)を惜しみなく投じたフランス貴族の息子「ド・ロ神父」(1840~1914)もまたそうでした。この地域の人々の生活は貧しく、孤児や捨子も多く、海難事故なども頻発する現状にあって、ド・ロ神父は村人の貧困を改善するため、農業や漁業の技術指導をし、薬局、診療所、孤児院、救助院などの福祉事業を手掛けて、故国フランスに一度も帰国することなく、その生涯をこの地に捧げました。そしてそれは信仰的動機に基づくものに他なりません。もちろん外海に教会も建てています。


かって筆者は、「つれづれ日誌(令和4年7月6日)-澤田美喜記念館を訪問して」の中で、岩崎弥太郎の孫娘である澤田美喜が隠れキリシタンの遺物を収めた記念館と共に、孤児児童養護施設「エリザベス・サンダース・ホーム」と小学校・中学校(聖ステパノ学園)を設立したことを紹介しました。澤田女史は敬虔なクリスチャンであり、これらの慈善活動はひとえに信仰心から生まれたもので、キリスト教信仰を抜きに、こうした犠牲的な奉仕は不可能であります。学校に併設してチャペルを設けてキリスト教の普及にも務めています。


そしてこれらの献身の結果、キリスト教が普及するのは自然なことで、左翼がいうような「正体を隠した布教」などとは似て非なるものです。つまり、骨を埋めるボランティアは信仰あってのことであり、非キリスト教国家日本の政府はこれが理解できず、宗教音痴の謗りを免れません。


もしこの信仰的動機を否定するなら、慈善活動そのものを否定することになるでしょう。何故なら、前記「ド・ロ神父の慈善活動」や「エリザベス・サンダース・ホーム」などに見た通り、慈善活動のほとんど(90%以上)は宗教的信念に基づいた人々によって担われているからです。


そもそも宗教教団は、教育、病院、福祉などの各分野で多くの慈善ボランティア団体を運営し、それぞれの宗教的信念に基づいて活動しています。そうしたボランティア活動は、それ自体の自己完結的な目的を有していると同時に、結果としてその宗教の普及にも寄与することになるというのです。つまり、二重目的を有しているというのであり、これは問題視されることではありません。


従って、「エリザベス・サンダース・ホーム」にチャペルがあり、聖書を配布してキリスト教思想を普及させたとしても、これを「正体を隠した布教」などと言って咎めるのはお門違いです。同様に、WFWPの創設者「真の父母」の自叙伝が太陽中学・高校で配布されたからと言って、これを問題視するのは、ボランティアを支える本質が理解できていないことの証左です。むしろ建学の創始者の精神を伝えるのは当然と言えるのであり、宝山さんの母校同志社大学でも、創立者新島襄の精神が教えられています。


もう一度いいます。もし信仰的信条に基づいて為す慈善活動を、この度の日本の外務省のように否定するなら、およそ世界の慈善活動は存在できないことになるでしょう。何故なら慈善活動のほとんどは、キリスト教などの信仰が土台になって成り立っているからです。


<外務省の決定的な汚点>


外務省は今回の表彰取り消し理由として、「旧統一教会の布教を強く意識した学校活動を実施していたことが確認された」と説明しています。


しかし、前記した宗教的信条に基づく慈善活動の性質が示すように、 WFWPも同様で、国連NGOとしての WFWP独自の目的に基づく活動を行い、正にこれが中心的な活動になるのですが、同時に、結果的に宗教的信条の普及につながるのは自然の理であり、咎められることではありません。従って、外務省がいうように「旧統一教会の布教を強く意識した学校活動を実施していたことが確認された」として、どこに問題があるというのでしょうか。


ましてや上記の通り、「モザンビーク太陽中学校・高校」はモザンビークに深く根を下ろし、確固たる実績を持つ押しも押されない教育機関であり、この度の外務省による表彰取消は、非キリスト教国家日本の宗教音痴の実態をさらけ出す、国辱的な事件でした。筆者は、献身的な奉仕活動を根底で支えている信仰を否定する外務省の姿勢には、日本の多神教文化の負の部分が如実に現れているような気がして、強い違和感を感ぜざるを得ませんでした。


筆者は、今回の事件(敢えて事件といいます)で、政府外務省の問題点を次の通り総括し弾劾いたします。


a.先ず、「表彰を取り消し、表彰状と副賞の速やかな返納を求める」としたこと自体は、どうということはなく、宝山さんも、これにサインし返還するということです。


b.問題は、宗教の本質に無知蒙昧な外務省が取った過ちです。外務省の取った行為は、信仰的信条に基づいて為すボランティア活動を否定することを意味し、これはひいては全てのボランティア活動への否定につながりかねない重大問題であるということです。


c.またこの度外務省が取った行為は、歴史も実績もある「モザンビーク太陽中学校・高校」に問題があるかのような誤解を招きかねない印象を与え、結果的に当該教育機関を貶め、名誉を損することになるということです。


d.そして最も嫌悪し糾弾すべきは、この事件が日本共産党に押し切られ、共産党に忖度し、世論におもねたことによる結果であり、利己的動機で自己保身を計ったという点です。一旦自らが認めた表彰を共産党に屈して取り消すなど、これは、一外務省に留まらず、理念と信念なき岸田政権自体の実態を象徴しています。


「社会的に問題が指摘されている旧統一教会の活動を促進するものであるかのような無用な誤解を与える」と外務省は説明していますが、しかし、「社会的に問題が指摘されている」とはあまりにも主観的、且つ一方的な認識です。これらの風評が共産党や左傾マスコミによって捏造され、誇張された虚像であることへの配慮は皆無で、まるでマスコミに洗脳されているかのようです。百歩譲って、よしんば旧統一教会に問題があったとして、この日本のUCの風評とモザンビークの学校と何の関係があるというのでしょうか。


以上の通り、とにかく今回のことで、日本の政府は大変な過ちを犯し、最も大切な国家としての品格や矜持(きょうじ)を大きく損ないました。


【ただちに抗議行動を!】


全ての宗教人と女性連合は、前記に示された問題提起を踏まえ、政府外務省に向けて直ちに抗議行動を起こし、国民に向けて正論を啓蒙すべきだと思いますが如何でしょうか。もちろん、国連を含む国際社会とも連帯し、先ず、きちんとした問題提起をして、抗議文なり意見書なりを送付し、リリースして公表することが肝要です。これはWFWP自体の問題に留まらず、ボランティア慈善事業全体への挑戦と捉えるべきであります。


実際、欧州にあるNGOのCAP-LC(良心の自由のための団体と個人の連帯)は、今回の外務大臣表彰取り消しに対して、「今や偏執的レベルに達している」と非難し、国際的介入で魔女狩りを阻止しようと呼び掛けています。


そして、今、怒りと侮蔑の思いがたぎる中にあって、冒頭の聖句「復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する」(ヘブル10.30)との言葉を想起したいと思います。言うべきことを言い、為すべきことを為した上で、神の裁きに委ねることが上策だと聖書は語っています。(了)


家庭連合ポーランド宣教師吉田宏

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