決定版「 ポーラ・ホワイト」の研究 - 繁栄の神学とは
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- 9月10日
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◯徒然日誌(令和7年9月10日) 決定版「 ポーラ・ホワイト」の研究ー繁栄の神学とは
主のはかりごとはとこしえに立ち、そのみこころの思いは世々に立つ。 主をおのが神とする国はさいわいである。主がその嗣業として選ばれた民はさいわいである。(詩篇33.11~12)
プロローグ
ポーラ・ホワイト牧師と言えば、今やアメリカ大統領府信仰局長として、「宗教の自由の守護者」としての重責を担う著名な時の人である。ホワイト牧師は、8月31日、UCの「Second-generation 1万名賛美礼拝」で説教した。

その中で、彼女は試練の聖書的意味について語り、自らの人生の試練について赤裸々に告白した。5才の時父が自殺したこと、母がアル中になったこと、6才から13才まで性的身体的に虐待されたこと、トレーラーハウスに住んでいたこと、42年前シングルマザーであったこと、そして娘を癌で失ったこと.....。
こうして彼女は、トレーラーハウスからホワイトハウスまでの、裏切り・喪失・迫害など試練多き道のりを感慨深く語り、「試練はあなたを磨き、神が与えられた使命に備えるためのもの」と述べ、神と聖霊が思いもよらない人々を、思いもよらない場所で用いられるかをこの目で見てきたと述懐した。そして「戦いは、血肉ではなく、やみの世の主権者に対する戦いである」(エペソ6.12)との聖書の言葉を引用して青年たちを励まし、「信仰を擁護する」と米信仰局長として宣言した。
以下、意外と知らないホワイト牧師(以下、親しみを込めて「ホワイト」と呼ぶ)の来歴、牧師としての歩み、その信仰と神学、トランプとの出会い、など、トレーラーハウスからホワイトハウスまでの道程を、知人、関連書籍、ネット(Wikipedia)などの情報を参考にまとめることにする。
【ホワイトの来歴】
さて、UPFインターナショナル会長で米国UC元会長のマイケル・ジェンキンス氏や令子夫人とホワイトとの出会いは20年前に遡り、以後親交を温めて来たという。これは長くアメリカに在住してきた知人から聞いた話しだが、筆者は、ホワイトとUCとが、そんなにも前から親交と信頼を積み重ねてきたとは初耳だった。以後、ホワイトはUC及び関連団体が主宰する集会に度々メッセージを寄せ、韓鶴子総裁を親しく「マザーハン」と呼んだ。
<トランプ大統領との出会い>
また、ホワイトとドナルド・トランプ大統領(以下、「トランプ」と呼ぶ)との出会いも20年以上前に遡る。2002年、トランプ(58才)がホワイト(38才)のミニストリー(福音伝道)のテレビ番組を見て、初めてホワイトに電話で連絡を取り、以後、彼女はトランプの個人的な牧師になったという。そのころホワイトはテレビ伝道師として活躍し、彼女の番組は、トリニティ・ブロードキャスト・ネットワークなど9つのテレビネットワークで放送されていた。
トランプはホワイトの霊性や信仰に共感し、個人的な聖書研究を行い、彼女のテレビ番組に出演した。2016年6月、著名な福音派のテレビ伝道師ジェームズ・ドブソンは、ホワイトがトランプをキリスト教に改宗させたと称賛した。 まさにトランプとホワイトとの出会いは、運命的であった。
2016年、トランプは大統領出馬の意思をホワイトに告白した時、「それは神があなたに与えた使命」と述べてトランプを励ました。ホワイトはトランプの最初の選挙運動中(2016年)、彼の福音派諮問委員会の一員であり、2017年1月20日のトランプの大統領就任式では祈祷を行った。ホワイトは大統領就任式で祈祷を行った初の女性聖職者となったのである。

ホワイトは2016年6月からトランプの霊的アドバイザーを務めており、当選後は大統領のメンター(信仰顧問)として、大統領執務室を含む様々な場所でトランプ大統領と祈りの会を開いてきた。そして2025年1月20日、第47代大統領に就任したトランプはホワイトを「ホワイトハウス信仰局(White House Faith Office)の上級顧問に任命した。なおホワイトは、トランプが2017年にエルサレムをイスラエルの首都と認定した決定を熱烈に支持し、トランプが懸念を抱いていた黒人社会からの支持を得るために尽力し、トランプの移民政策を擁護した。
こうしてUCとトランプは、目に見えない神の摂理に導かれ、共にホワイトと強い霊的絆を結んだのである。まさにホワイト、トランプ、UCのトリニティ(三位一体)であり、これに優る霊的パワーはない。
<来歴>
ポーラ・ホワイト・ケイン(1966年4月20日生、59才)は、高校卒業後、国立聖書大学および神学校に学んだ牧師で、アメリカのテレビ伝道師であり、カリスマ運動(聖霊刷新運動)において全国的に知られる聖霊派の福音主義指導者である。また前記の通りトランプの長年の霊的アドバイザーである。
ホワイトはミシシッピ州テューペロで、マイラ・ジョアネルとドナルド・ポール・ファー3世の娘として生まれた。両親は工芸品の店を経営していたが、ホワイトが5才の時父親が自殺し、家族は貧困に陥り、母親はアルコール依存症になった。またホワイトは、6才から13才の間に、様々な人から性的および身体的虐待を受けたという。
母親は、ホワイトが9才の時に再婚し、家族はワシントンD.C地域に移住した。そうして1984年(18才)、メリーランド州に住んでいたホワイトは、「ダマスカス神の教会」でキリスト教に改宗し、改宗後まもなく神からの啓示を受けたという。文字通りクリスチャンホワイトの「回心」である。
ホワイトは、フロリダ州タンパ市にある「ウィズアウト・ウォールズ・インターナショナル教会」(The Church Without Walls International )の共同牧師を務めた。同教会は彼女が1991年に 当時の夫で牧師のランディ・ホワイトと共同で設立した教会である。苦節の後、2004年、同教会は2万人の信者を擁し、その地域で最大の信者数を誇り、米国でも7番目に大きな教会であると報告され、プライベートジェット機を所有するほど財政的にも豊かになった。しかし、2008年以降、同教会は財政難に陥った。
その後、2011年から2019年までフロリダ州アポプカ市にある無宗派・多文化メガチャーチである「ニューデスティニー・クリスチャンセンター」(New Destiny Christian Center )の主任牧師を務めている。2019年5月、ホワイトはニューデスティニー・クリスチャン・センターの主任牧師を退任し、息子夫婦が新しい主任牧師に就任すると発表した。またホワイトは、歌手のマイケル・ジャクソン、大リーガーのゲイリー・シェフィールド、ダリル・ストロベリーを牧会して導き、2003年、ストロベリーがコカイン所持で刑期を終えた後、ホワイトは彼の個人牧師となった。
ホワイトは「繁栄の神学」の提唱者とみなされており、ジェンテゼン・フランクリン、フランクリン・グラハム、その他の有名な福音派指導者とともに牧師として活動してきた。またベストセラーの本を数冊出版している。
一方ホワイトは、彼女の複数の結婚や過去のスキャンダル疑惑などについて、宗教指導者がそのような重要な地位(ホワイトハウス信仰局長)に就くには問題があると指摘された。またホワイト氏の教えは、寄付と引き換えに物質的な祝福を約束することで(繁栄神学)、信者たちを利用しているという非難もある。
確かに私生活では、ホワイトは2度の離婚と3度の結婚をしている。1985年に地元のミュージシャンであるディーン・ナイトと結婚したが、1989年に離婚した。2人の間には1985年生まれの息子がいる。またホワイトは1989年、ランディ・ホワイト牧師と結婚し、2007年に離婚した。2人は、ランディ・ホワイトの父親が率いるメリーランド州の「ダマスカス神の教会」に通っているときに出会ったという。前記の通り、ホワイトはこの教会で改宗した。更にホワイトは2015年、ロックバンド「ジャーニー」のメンバーであるジョナサン・ケイン(65才)と結婚した。
だが、ルカ福音書7章36節から38節に、「涙でイエスの足をぬらし、自分の髪の毛でぬぐい、その足に接吻して、香油を塗った」(ルカ7.38)という罪深い女の話がある。まさに「多くを許された者、多くを愛す」(ルカ7.47)である。心なしか筆者には、ホワイトがイエスに香油を塗って贖われたこの女性に重なる。ホワイトには生い立ちから来るであろう影と同時に、それを遥かに上回る、贖われ聖霊を受けた者の「霊的な明るさ」を感じるからである。
<ホワイト牧師のメッセージ>
トランプ大統領は2025年2月6日、「米国に神を取り戻す」と宣言し、反キリスト教的運動や思想の取り締まりを指示した。ホワイトハウスに「信仰局」を設置して、ホワイトを上級顧問に任命した。ホワイトハウス信仰局は「宗教に対する偏見を根絶するための機関」であり、ホワイトは日本政府によるUCへの解散命令請求を宗教迫害として非難している。
ホワイトは2021年6月5日、韓国ソウルで開かれたUCの集会で、「私は、主を愛し、世界の紛争の地で神の御心を実践し、御心を慰めようとする霊的指導者としての偉大な仕事について、マザームーン(韓鶴子総裁)を称え、激励したいと思います。彼女は本当に神から賜った宝石です」と賛辞を述べた。
またホワイトは、「第二回世界宗教指導者会議」(2025年8月20日)にビデオメッセージを送り、聖書の「主をおのが神とする国はさいわいである」(詩篇33.12)を引用して、アメリカはこの精神の上に、信仰を実践する権利を強く守っていくと述べ、特に日本や韓国のような友好国に対し、すべての人々の宗教の自由を守るよう呼びかけた。そしてホワイトは5ヶ所も聖書を引用して自らの信念を語り、韓鶴子総裁が、祈りとイエス・キリストへの完全な信頼に満ち溢れていることを賛美した。ホワイトは韓総裁が何よりもイエス・キリストに従い、イエスを愛していることに最大の信頼を置いている。(参考→ https://x.gd/PnP8l )
また文鮮明師が2年8ヶ月の興南強制収容所の試練を越え、神を否定する共産主義に対抗する世界的なキリスト教運動を築くために生涯を捧げたこと、特にワシントン・タイムズを設立し平和に寄与したことを高く評価した。そして4月13日の天苑宮入宮式に参加した感動を「天の幕屋の美さ」と評し、北朝鮮の和解に向けて、韓総裁と一緒に北朝鮮に行きたいとも表明した。
そして8月31日、冒頭で触れたUCの「Second-generation 1万名賛美礼拝」で感動的な説教をしたのである。
筆者はホワイト牧師のメッセージを聴きながら、旧約聖書エステル記のエステルを想起した。エステル記には、前476年にモルデカイの養女ユダヤ人エステルがペルシャの王クセルクセスの新王妃になり、ユダヤ人絶滅の危機を救う物語が記録されている。筆者は、トランプ大統領の信任が厚く、世界の「宗教の自由の守護者」たらんとするホワイトに、心なしかユダヤ人を救った王妃エステルとだぶって感じられるのである。
【ホワイト牧師の信仰と神学】
さてホワイトは「繁栄の神学」を支持していると言われる福音主義の牧師である。福音主義、あるいは福音派とは、カトリックとの対比の文脈で使われる言葉で、聖書と個人的回心(Born Again)を重視する超教派的なクリスチャンの群れである。彼女は2010年代初頭、聖霊の賜物を重視する 独立カリスマ派キリスト教に見られるような、より現代的な預言的側面を帯びるようになり、自らを「使徒的指導者」と呼んだ。彼女は黒人で独立カリスマ派のニコラス・ダンカン=ウィリアムズ大主教を敬慕している。ちなみにカリスマとは「神の賜物」という意味で、カリスマ派キリスト教は、神や聖霊による癒しや奇跡を強調する超教派的な運動を指し、ペンテコステ運動から生まれた。
一方ホワイトは、多くの神学者や保守派の福音主義者から、その宗教的信念について「異端者」と批判されてきた。これらの批判に対しホワイトは、「私は異端者、背教者、姦通者、ペテン師、中毒者と呼ばれてきました。かつて破産を申請したとか、三位一体を否定しているといった誤報もありました。私の人生と私の決断は決して完璧とは程遠いものでしたが、最近誤って伝えられているようなものではありません」(2017年1月5日 CNN )ときっぱり弁明している。
<繁栄の神学とは>
ホワイトは繁栄の神学を提唱していると言われているが、そもそも繁栄の神学とは如何なる神学で、どこが素晴らしく、どこが問題なのだろうか。
繁栄の神学(繁栄の福音)は、一部のカリスマ派(聖霊派)キリスト教徒の間での信念で、富や健康を与えることは神のみ心(約束)であり、聖書に基づく積極的な信仰告白や宗教的な目的への寄付によって物質的な豊かさがもたらされるというものである。即ち、繁栄の神学とは、①クリスチャンは富と健康という祝福を受け取る権利がある、②それを手にするためには、「私はできる」という積極的な告白と、「金銭をはじめとする積極的なささげもの」(献金・奉仕)が必要である、そして、③物質的に祝福されているクリスチャンこそ正しく霊的であるとし、経済的な成功は神の恩寵や祝福の証拠と見なされている。
そしてキリスト教徒は幸福になる権利があると教え、霊的現実と物質的現実はひとつの分離不可能な現実と見なされているため、幸福を肉体的な健康と経済的な繁栄と結びつける傾向がある。また贖罪が病気、貧困、霊的腐敗を軽減するためのものであるとみなし、貧困と病気は信仰と正しい行いによって打ち破ることができるとしている。
繁栄の神学は、E・W・ケニオン(1867~1948年)が説き始め、この教えを世に広めた人物が、「繁栄の神学の父」と呼ばれるケネス・ヘーゲン(1917~2003年)である。ケネス・ヘーゲンはペンテコステ派の牧師で、レーマ聖書学校の創立者としても知られ、繁栄の神学は、主に現代のペンテコステ派の教えに関連している。ちなみにペンテコステ派は、キリスト教のプロテスタント教会のうち、メソジスト、ホーリネス教会のなかから1900年頃にアメリカで始まった聖霊運動(ペンテコステ運動)から生まれた教団・教派の総称であり、聖霊のバプテスマによって与えられる異言・預言・いやし・しるし・奇蹟・悪霊の追い出しなど「聖霊の賜物」を強調する。ペンテコステ運動が「教会・教団」を結成したのに対して、カリスマ運動は聖霊体験を持った教職、信徒が、それぞれの教会にとどまり、それぞれの教会の教理を信じながら参加して、既存の教会の刷新をめざす運動である。但し、これらの運動が悔い改めと赦し無しに福音を宣べているとの批判がある。
1980年代、繁栄の福音を説く教師たちはテレビ伝道に熱心に取り組み、アメリカ合衆国の宗教番組を席巻した。ホワイトも聖霊派キリスト教のテレビ伝道師であった。
<繁栄の神学の光と影>
確かに、富と健康は神の賜物と言え、「私はできる」と信じる積極的な告白と積極思考(ポジティブシンキング)は人々に前向きに生きる力を与える。大和カルバリチャペルの大川従道牧師は、いつも礼拝で「マイナスは必ずプラスになる」と説教し、礼拝者にもこのフレーズを唱和させている。
かってトランプもポジティブシンキングの信奉者であった。トランプは、ポジティブシンキングの唱道者でニューヨーク五番街の「マーブル協同教会」の牧師であるノーマン・ヴィンセント・ピール(1898~1993)に学び、ピールの著書『積極的考え方の力』(原著は1952年)を熱心に愛読した。この本は、40ヶ所の聖句を引用し、キリスト教にもとづいて導き出された「成功と幸福の手引き」であり、アイゼンハワー、レーガンなど各界著名人に多大な影響を与えた全世界2000万部のベストセラーである。
トランプはマーブル協同教会で「積極的思考」を唱導したピール牧師に心酔し、1977年、最初の妻との結婚式もここで挙げた。ピールは、「人生には運というものもあるのかもしれない。しかし一方で、こうした運をコントロールし、左右できる心構えや原則もある」(『積極的考え方の力』ダイヤモンド社P1)という。トランプは『カムバックの技術』という自著でピール氏をたたえ「マイナス思考がほんの少し心に兆すのもダメだ」と述べている。
このように見てみると、繁栄の神学は、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』などに見られる自己啓発のキリスト教版と言えなくもない。繁栄の神学は次のような聖句を根拠として、神は富や健康を約束しているという。
「もし、あなたがあなたの神、主の声に聞き従うならば、このもろもろの祝福はあなたに臨み、あなたに及ぶであろう」(申命記28.2)
「主の祝福は人を富ませる、主はこれになんの悲しみをも加えない」(箴言10.22)
「わたしが来たのは、羊に命を得させ、豊かに得させるためである」(ヨハネ10.10)
「なんでも祈り求めることは、すでにかなえられたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになるであろう」(マルコ11.24)
しかし、主流派の福音主義は、繁栄の神学に一貫して反対しており、繁栄の神学は伝統的なキリスト教神学と相容れないとし、聖書の聖句を全体の文脈を見ないで恣意的、選択的に採用して偏った解釈をしていると批判する。テレビ伝道師は、多額の寄付によって私腹を肥やすことで、聴衆の信仰を悪用していると批判した。
即ち、繁栄の神学はキリスト教版「ご利益信仰」であり、金銭の「偶像崇拝」を助長すると批判した。この批判はUCにとても他人ごとではなく、近時UCは「お願い事信仰」(利益信仰)に傾いているのではないかとの声を聞く。イエスは「金持ちが神の国に入るよりは、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい」(マルコ10.25)と語り、また「あなたがたは地上に宝を積むな。むしろ天に宝を積みなさい」(マタイ6.19)とあるように、むしろイエスの教えは物質的な富への執着を戒めていると主張し「イエスは貧しいまま生まれ、貧しいまま亡くなった」とした。
モルモン教会の使徒ダリン・H・オークスは、「富や多額の収入を所有していることは天の恵みの証ではなく、またそれらがないことが天の恵みの証拠でもない」と述べ、「すべての悪の根源は金銭ではなく、金銭への愛(執着)である」と主張した。そして聖書は楽な人生を約束せず、福音の中心となるメッセージはイエスの生と死、そして復活であるべきだという。
この点、ハーベストタイムの中川健一牧師は、前記の箴言10章22節「 主の祝福は人を富ませる」の真意は、正当な努力と勤勉によって得た富を神が祝福されるという意味であり、富自体が祝福の目的ではないとし、繁栄の神学は非聖書的であると明言した。また「主の声に聞き従うならば、このもろもろの祝福はあなたに臨む」(申命記28.2)とは、文字通り神に従う者は祝福されるのであって、祝福されんがために(富を得んがために)聞き従うのではない。祝福(富)は結果であって目的ではなく、主客転倒してはならないとして、次の聖句を挙げた。
「うそ、偽りをわたしから遠ざけ、貧しくもなく、また富みもせず、ただなくてならぬ食物でわたしを養ってください。飽き足りて、あなたを知らないといい、主とはだれかと言うことのないため、また貧しくて盗みをし、わたしの神の名を汚すことのないためです」(箴言30.8~9)
以上の通り、繁栄の神学の光と影を論じた。しかし、トランプは繁栄の神学やポジティブシンキングによって富と地位を築き、その富と地位をもって世界の自由の守護者になろうとするのであるから、富や地位は神の祝福と言えなくもない。ホワイトもまた然りである。それにしても自らの牧会体験を交えたピールの著書『積極的考え方の力』は頭の体操になる。ピールは「聖書一冊が図書室いっぱいの書物に等しい」(P60)と述べ、「祈りの力を活かす」の章では「祈ることですべての問題は解決できる」(P62)と明言した。
以上、「決定版 ポーラ・ホワイトの研究ー繁栄の神学とは」を論考した。この一文が、ホワイトとUC、ホワイトとトランプの長年に渡る絆や、ホワイト自身の人生と信仰と神学をよりよく理解する材料になれば幸いである。まさに時の人ホワイトとトランプは、繁栄の神学のよき面(積極思考)のよき体現者であり、神によって召され選ばれた義人である。(了)
牧師・宣教師 吉田宏



