top of page

​他のアーカイブ記事は下のカテゴリーメニューを選択し、一覧表示の中からお選び下さい。

​他の記事は下のVマークをタップし、カテゴリーを選択し完了をタップ。記事一覧が表示されます。

雅歌 注解 - 雅歌が旧約聖書に入った理由

  • 2021年7月29日
  • 読了時間: 7分

更新日:5月10日

🔷聖書の知識96-『雅歌』注解 ー雅歌が旧約聖書に入った理由


エルサレムの娘たちよ、わたしは、かもしかと野の雌じかをさして、あなたがたに誓い、お願いする。愛のおのずから起るときまでは、ことさらに呼び起すことも、さますこともしないように。(雅歌2.7、3.5、8.4)


プロローグー雅歌が何故旧約聖書に入ったか


『雅歌』の文字通りの意味は「歌の中の最高の歌」という意味です。雅歌はストレートな男女の愛の歌であり、「あなたのくちびるは紅の糸のようで、その口は愛らしい」(雅歌4.3)というように、男女の愛の賛美を歌い上げる詩であるため、表現が官能的であるとして雅歌を遠ざけてきた人たちもいました。また雅歌には「神」という言葉が一度も出てこないこともあり、雅歌の扱いをめぐって古くから議論が絶えませんでした。では何故雅歌が聖書の一篇として採用されたのでしょうか。


雅歌が旧約聖書に入った理由は、a.創造本然の善としての人間の性愛の肯定、b.神と人の愛の象徴としての解釈、c.ラビ的権威による正典化、d.愛の神秘を表現するための詩的言語、などが重なっています。


即ち、第一に神が創造した被造物は「はなはだ良かった」(創世記1.31)とあり、また人間に「生めよ、ふえよ」(創世記1.28)と言われたように、本来男女(夫婦)の性愛は「良いもの」とされています。つまり、愛、欲望、結婚、これらは堕落以前から存在し、否定されるべきものではないのであって、その意味で雅歌は「性愛を神の祝福の中に回復する書」と読むことができます。


第二に、比喩的(象徴的)解釈ができるというのです。ユダヤ教では雅歌の男女を「神とイスラエルの愛の関係」と捉え、キリスト教では、「キリストと教会の愛」と解釈しました。つまり雅歌は、花婿=神(またはキリスト)、花嫁=イスラエル(または教会)と解釈され、神と人との「契約的愛」を詩的に表現したものと理解されました。


第三に、ユダヤ教の正典(タナハ)が確定していく過程(紀元前後)で、ユダヤ教の有力な教師であるラビ・アキバは、「雅歌は聖なる中の聖である」、つまり、雅歌は最も神聖な書であると評価し、この権威によって、雅歌は正式に正典として確定していきました。


こうして雅歌は確かに「危うい」書ですが、 だからこそ、愛とは何か、欲望とは何か、神と人の関係はどこまで親密なのか、こうした問いを、率直に語りかける力を持っています。言い換えると、神との関係を「契約」や「律法」だけでなく、 「愛」「情熱」「憧れ」で語る、そのために、あえてこの詩的・神秘的言語が必要だったとも言えます。


【雅歌とはー概観と意義】


著者は「ソロモンの雅歌」(1.1)として、ソロモン王の作であるとされています。1列王記4章32節には「彼はまた箴言三千を説いた。またその歌は一千五百首あった」とあります。しかし、後世の多くの神学者たちはBC4~3世紀頃の作だと考えています。いずれにせよ、何世紀にも渡る期間に作られた歌が集められてできたということは間違いないようです。 ユダヤの伝承では、ソロモンは、青年時代に『雅歌』を書き、壮年期に『箴言』を書き、老年期に『伝道の書』を書いたと言われています。雅歌の内容は花婿と花嫁の詩、娘たちの合唱などが組み合わされており、以下のような区分けをすることができます。 (時間順ではない)


牧歌①:結婚式当日(1:2~2:7)

牧歌②:婚約時代(2:8~3:5)

牧歌③:結婚式・結婚生活の描写(3:6~5:1)

牧歌④:性的関係のずれ(5:2~6:9)

牧歌⑤:ガリラヤへの帰省・愛の確認(6:10~8:14)


<比喩的解釈と字義的解釈>


前記したように、雅歌の解釈には、大きく分けて「比喩的解釈」と「字義的解釈」があります。


雅歌を比喩的に解釈して、夫婦の関係をユダヤ教では、「神とイスラエル民族の関係」(ホセア2.16)とし、キリスト教では「キリストと教会の関係」(黙21.9)を表す歌であるとしています。即ち、ユダヤ教では男女の愛の関係を、神と民との関係として比喩的に解釈し、キリスト教ではキリストと教会の関係として比喩的に解釈してきました。つまり、これは、2人の恋人に関する実話というより、 これをイスラエルに対する神の愛の物語だと解釈し、また教会に対するキリストの愛の物語だと解釈しました。


一方、字義通りそのままの解釈を採用すると、雅歌は「結婚生活への愛の賛歌」となります。 雅歌の物語は、実際に存在した2人の恋人の愛の物語だとされ、神が用意してくださった理想的な男女の愛の関係について詠った歌であるというのです。


ソロモンは、下ガリラヤにぶどう畑を所有していましたが、ある日そこを訪問し、ぶどう畑で働いている女に出会って恋に陥りました。 彼女は、兄たちから言われて、ぶどう畑で働いていました。そのため、顔は日焼けしていたのです。 ソロモンは彼女と交際を始め、ついに結婚を申し込み、彼女はそれを受け入れました。 ソロモンは行列を仕立て、彼女を花嫁としてエルサレムに上らせ、宮廷で結婚式と婚宴が行われます。「花嫁は閉ざされた園、封じられた泉(処女)」 (4.12)と謳われ、ふたりは初夜を迎えます。


その後、このシュラムの女は肉体関係における困難を覚え、一時彼女はソロモンを受け入れず、王は彼女から離れて行きました。 しかし彼女は、自分が王を拒否したことを悔い、王を探してよい関係を回復します。宮廷での生活がしばらく続いた後、シュラムの女は故郷を訪れることを願います。ソロモンは同意し、ふたりで彼女の実家を訪問し、そこでふたりは再度愛を誓い合い、自然のぶどう園の中で愛を交わします。美しく理想的な夫婦の愛の物語です。


<結婚の意義と夫婦の愛の本質>


創世記に「神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された」(1.27)とあり、「それで人はその父と母を離れて、妻と結び合い、一体となるのである」(2.24) とある通り、男女の結婚と愛は、本来神が祝福された創造の秩序でありました。 また、「神が結び合わせたものを人が引き離してはなりません」(マタイ19.6)とあるように、「神が結び合わせた」、即ち神の許諾のもとでの「結婚の奥義」であり、夫婦が夫婦であることの確かさであります。神が結び合わせた夫婦によって、神の愛が世界に広がっていくことが期待されているのです。


そして雅歌は性的な描写を包み隠さず、おおらかに表現しています。


「わが愛する者よ、見よ、あなたは美しい、見よ、あなたは美しい。あなたの目は、顔おおいのうしろにあって、はとのようだ。あなたの髪はギレアデの山を下るやぎの群れのようだ。あなたの歯は洗い場から上ってきた毛を切られた雌羊の群れのようだ。みな二子を産んで、一匹も子のないものはない。あなたのくちびるは紅の糸のようで、その口は愛らしい。あなたのほおは顔おおいのうしろにあって、ざくろの片われのようだ。あなたの首は武器倉のために建てたダビデのやぐらのようだ。その上には一千の盾を掛けつらね、みな勇士の大盾である。あなたの両乳ぶさは、かもしかの二子である二匹の子じかが、ゆりの花の中に草を食べているようだ」(雅歌4.1~5)


聖書は、男女の愛は、もともと聖く尊いものであることを明らかにしています。性的行為は本来聖なるもので、それは神が祝福し、神が結び合わせた夫婦にのみ許されます。「愛は死のように強く、妬みは陰府のように激しい」(雅歌8.6)とあるように、人は喜怒哀楽や愛を、詩や俳句、そして歌と踊りで表現してきました。理論や理屈では表し切れない内なる思いを、いわゆる文学形式で表現したのです。 こうして雅歌には、数えきれないくらいの愛の表現があります。


しかし、愛を交わすことにおいて重要なことは、自然な発露、強制感ではなく自由な思いが大事であり、雅歌には次の言葉が三度も出てきます。


「揺り起こしたり、かき立てたりしないでください。愛がそうしたいと思うときまでは」(雅歌2.7、3.5、8.4)


真実の愛には犠牲が伴います。愛は「愛する」ことが重要であり、愛に目覚めれば、強制されることなく自然に愛が表現されるというのです。そして夫婦に愛が必要であるように、信仰においても愛が最も大切であり、パウロは次のように語りました。


「このように、いつまでも存続するものは、信仰と希望と愛と、この三つである。このうちで最も大いなるものは、愛である」(1コリント13.13)


また霊界での愛の在り方を語られた李相軒先生の霊界通信『霊界の実相と地上生活』(光言社P49)には次のようにあります。


「地上での夫婦は、主に居間や寝室で愛し合います。しかし霊界の天国ではそうではありません。広く美しい野原の中でも、砕ける波の上でも、愛の行為をします。それを見るものも、あまりに美しく酔うようになります」


以上、雅歌を見てきました。これで、いわゆるイスラエルの文学を終わり、次回から預言書に入っていきます。先ず、そもそも預言者とは何か、預言者はどういう役割を担った人々なのかを考えたいと思います。(了)



上記絵画*「春」ピエール・オーギュスト・コット画


R.jpg

​新生聖書勉強会

​ユニバーサル福音教会牧師
​家庭連合ポーランド宣教師
   吉田 宏

090-3504-6430

〒226-0025
横浜市緑区十日市場町1258
​十日市場ヒルタウン1-3-507

​トップページ

​プロフィール

​記事一覧

​お問い合わせ
​コメント欄

bottom of page