トランプと福音派 - トランプとポーラ・ホワイト
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○徒然日誌(令和8年3月25日) トランプと福音派ートランプとポーラ・ホワイト
法律にそむくことですが王のもとへ行きます。わたしがもし死なねばならないのなら、死にます(エステル記4.16)
プロローグ
日本時間の20日未明、高市首相がアメリカのトランプ大統領とホワイトハウスで会談した。 1時間半に及んだ会談で、高市首相はイラン情勢への日本の対応方針を説明し、トランプ大統領から一定の理解を得た。 会談は日本もアメリカもお互いウィンウィンで合格点というのがだいたいの評価である。
高市首相は「ドナルド」と親しく呼び、サナエスマイルで対応して、双方の雰囲気は大変良好であった。高市首相曰く、「私は世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだと思っている。そのために、私は諸外国に働きかけてしっかりと応援をしたい。きょう私はそれを伝えにきた」と。そして会談前、日本が音頭をとって、日英独仏伊蘭よるイラン非難の「6カ国共同声明」を出したことはトランプ大統領を勇気付けた。
米紙ニューヨーク・タイムズは、「大きな痛手を受けることなく終えた」と評価し、成功の理由として、首相の親しみやすい魅力を挙げた。ちなみに読売新聞の世論調査では、69%が日米首脳会談を評価するとした。内閣支持率も71%で高支持率を維持し、逆に中道は2%という惨状だった。
ところで、トランプ大統領はアメリカ福音派の強い支持を受けて大統領になった。今やアメリカの25%が福音派と言われ、福音派の約8割がトランプを支持しているという。だがトランプは敬虔な信仰者とまでは言えず、生活態度も保守的理想とは乖離があり、神学的発言も深いとは言えない。
しかしそれでも支持される理由はその政策と役割にあるという。宗教の自由、妊娠中絶・同性婚反対、 LGBTQ権利拡大への抵抗、伝統的な家族観守護、イスラエル支持(エルサレムを首都とする)など、トランプが実行するキリスト教的価値観の政策化を高く評価し、政権の存続を熱く支援している。
福音派の多くは、メディア・知識層・都市エリートに対する反発もあり(反知性主義)、 反エリートの象徴として「自分たちの声を代弁する者」と考え、一部の福音派はトランプを古代ペルシャのクロス王になぞらえた。クロス王は異教徒だが、バビロン捕囚からイスラエルを解放するために「神に用いられた王」と見做されたように、トランプを「神の計画に用いられる大統領」として認識したのである。
そこで今回、そもそもトランプを支持する「アメリカの福音派とは何か」について論考したいと思う。あわせてトランプ大統領とポーラ・ホワイト牧師との関係について述べたいと思う。
【アメリカの福音派とは何か】
立教大学文学部教授の加藤喜之(かとう よしゆき)氏は(1979年生)、近書『福音派』(中公新書)のまえがきの中で、アメリカの福音派について次のように語っている。
ーー米国の福音派は、神の言葉としての聖書、個人的な回心体験、救いの条件としてのキリストへの信仰、そして布教を重視する、複数の教団・教会・個人からなる宗派の壁を越えた宗教集団であり、運動である。この歴史的背景には、19世紀の大覚醒運動(リバイバル)、20世紀初頭の原理主義運動(根本主義)、そして1950年代の宗教復興がある。
実際、福音派と名乗りだしたのは1940年代で、強力な政治勢力として台頭したのは70年代後半だった。福音派が米国の主流メディアから注目されたのは、1976年、大統領選でジミー・カーターが、自らを「ボーン・アゲイン」と公言したことがきっかけになり、カーターの告白を機に、福音派が急速に可視化されていったーー
それから半世紀、福音派は、自らの立場を掲げる政治家の選挙活動を支援し、2016年以降はトランプ陣営の重要な支持基盤になっている。ただ加藤氏の著書『福音派』は、特にここ約100年のアメリカ福音派の歴史が具体的によく書かれているが、加藤氏自身は福音派の信者ではなく、むしろ福音派には手厳しい一面がある。
<福音派とは>
「福音派」とは何か。前記したように、それは単なる教派名ではなく、①聖書を神の言葉(無謬)と信じる信仰、②回心(ボーン・アゲイン)体験の重視、③十字架の贖罪信仰、④熱心な伝道、を核とするプロテスタントの宗教運動であり、しかも歴史の中で大きく姿を変えてきた。
福音派(Evangelicals)という名称は、救い主の到来を意味するギリシャ語の「良い知らせ」(福音)を意味する。もともとこの言葉は、16世紀の宗教改革以降、カトリックと区別されるプロテスタント教徒を表す一般的な呼称として使われた。
福音派は一宗派ではなく、異なる教派をまたぐ「信仰の姿勢」を共有するプロテスタントのグループであり、プロテスタントは、よりリベラルで聖書を歴史的、批判的に解釈する「主流派」(メインライン)と、聖書を文字通り信じる「福音派」(エバンジェリカル)に大きく分かれる。特にアメリカプロテスタントにおいて、「主流派」と「福音派」は、聖書解釈や価値観において大きな対比構造を持ち、往々にして、その違いが政治的対立の要因になっている場合がある。
近現代における福音派は、ルターの宗教改革、アメリカのリバイバル(大覚醒)、ジョン・ウエスレーの聖霊体験とメソジストの誕生の3つに源流があると思われる。
18世紀~19世紀にはシュライエルマッハーなどにより聖書の科学的研究を重視する「自由主義神学」が生まれ、メソジスト教会などは次第に聖書解釈に重点を置く知的、教育的な信仰へ軸足が移っていき伝統的教会になっていった。このような中で、折からアメリカにおいて、回心と聖霊を強調する超教派的な第一次、第二次リバイバルの影響もあり、1840年~1850年、メソジスト教会の中から、本来の聖霊の働きや潔めを重視して教会刷新を唱えるホーリネス会が興り、やがて「ホーリネス教会」(きよめ派)が生まれた。ホーリネス派は福音派の流れの中から生まれた一つの潮流である。
主流派には伝統的、歴史的な教派である聖公会、メソジスト、長老派、合同教会などがあり、聖書を歴史的文脈や現代の知見を交えて柔軟に解釈する(自由主義神学)傾向がある。また社会的な課題(人権・LGBTQ・環境問題など)に対するリベラルな姿勢や、教会間の協力(エキュメニカル運動)を重視する。だがアメリカでは会員数が減少傾向にある。
一方福音派は、聖書を文字通り、または神の絶対的な啓示として信じ(聖書信仰)、ボーン・アゲインや伝道を重視し、また保守的な倫理観や政治姿勢(トランプ政権支持)を持つことが多く、アメリカでは25%が福音派に属しているという。
<アメリカの福音派>
アメリカでは、福音派は歴史の中で独自の発展を遂げた。近時、政治的に活発で、中絶・同性婚反対、伝統的家族観の重視、イスラエル支援を掲げ、共和党の有力な支持基盤となっており、南部や中西部の「バイブル・ベルト」を中心に、共和党候補を強く支持する宗教右派勢力として知られている。以下、アメリカ福音派の歴史と理念を概観する。
①アメリカ福音派の源流
福音派の起源は、ルターやカルバンの宗教改革にある。彼らは共通して、聖書の権威と信仰による義認を主張した。この流れを受けて、イギリスのピューリタン(清教徒)が誕生し、 17世紀にアメリカへ渡った。
アメリカ福音派が本格的に「運動」として成立したのは18世紀の大覚醒(リバイバル)であり、制度から生まれたのではなく、「覚醒運動」から生まれた。第一次リバイバルの担い手には、会衆派の神学者・牧師・宣教師であったジョナサン・エドワーズや英国教会の牧師・メソジスト信仰復興者であるジョージ・ホワイトフィールドがいる。
19世紀には福音派はアメリカ社会の主流になり、第二回大覚醒(リバイバル)により、西部開拓とともに拡大し、教派を超えた運動へ展開した。福音的な信仰に加え、強い社会変革のエネルギーを持ち、奴隷制度廃止、禁酒運動、教育・慈善活動など社会関与を深めた。第二次リバイバルを担ったチャールズ・フィニーはその代表者であり、これらリバイバリストは、個人の「回心体験」を強調し、情熱的で形に囚われない説教を行い、大衆の心を捉えた。(参照 アメリカのリバイバル→ https://x.gd/WNrPh )
②原理主義の台頭と衰退
20世紀前半、福音派から分岐した「原理主義」(キリスト教根本主義)が生まれた。進化論、聖書批評学、自由主義神学など、折からのリベラリズムへの危機や反発から台頭した。1910年代に出版された『The Fundamentals(基本教理)』には、a.聖書の無謬性 、b.キリストの処女降誕 、c.キリストの代償的贖罪 、d.キリストの肉体的な復活 、e.キリストの肉体的な再臨 、という5つの基本主張が明記された。これらは当時の進歩的な神学解釈を否定し、福音派における聖書解釈の要となった。奇跡の再解釈、倫理中心のキリスト教では福音の核心(罪・救い)が弱まるという危機感が原理主義の誕生の原動力となった。
即ち原理主義とは、20世紀初頭のアメリカで、自由主義神学(リベラル)への反発として生まれた、聖書の文字通りの解釈(無謬性)と回心を重視する立場であり、進化論の否定、中絶・同性婚反対、家族観の重視など、政治的・社会的に保守的で、時には過激な主張を行う傾向がある。
その象徴的事件として「スコープス裁判」がある。スコープス裁判(1925年)は、米テネシー州で進化論教育を禁じた法律(バトラー法)に違反した高校教師ジョン・スコープスが有罪となった事件で、聖書を文字通り信じる「創造論」と自由主義的な「進化論」が法廷で激突した。だがこの裁判を機に、アメリカ社会では科学的知識の重要性が再認識され、進化論を否定する態度は中世的なものとして敬遠される傾向が強まった。原理主義は裁判に法的には勝ったが、知的に時代遅れという印象を与え、文化的には敗北した。
結局原理主義は社会的に敗北し「撤退」の時代(1930〜50年代)を迎えることを余儀なくされたのである。即ち世俗社会から一時距離を取り、こうして1920年代には、近代科学や自由主義神学を否定する「原理主義」として、副次的なサブカルチャーとなった。
③ネオ福音派(新福音主義)の台頭
だが第二次世界大戦後、ネオ福音派(新福音主義)が復興する。ネオ福音派は20世紀中頃に原理主義(根本主義)から派生した、聖書信仰を保ちつつ社会と積極的に関わるプロテスタントの潮流である。「新しい福音主義」とも呼ばれ、20世紀中葉、隔離・分離主義を採る原理主義に限界を感じた層が「神学的な保守性」を保ったまま、社会と対話する姿勢へ転換した。
即ち、ネオ福音派(新福音主義 )とは、原理主義(ファンダメンタリズム)の閉鎖性を乗り越えつつ、福音の核心は守ろうとした運動であり、福音の純粋性を守りつつ、現代世界と対話しようとした改革運動である。

ネオ福音派の中心人物には、20世紀アメリカの福音派を代表する神学者であり、雑誌『クリスチャニティ・トゥデイ』の初代編集長を務めたカール・ヘンリー(1913~2003)、キリスト教(南部バプテスト連盟)の福音伝道師・牧師としてアメリカの最も著名な伝道師であるビリー・グラハム(1918~2018)がいる。 特にグラハムは「アメリカの牧師」と言われ、12人もの大統領に助言し、何億もの人々に福音を説いた。
④ネオ福音派の再復興ー宗教右派の形成
また1970年代以降、原理主義は再台頭し再び影響力を持つようになる。その背景には、性革命、中絶・同性婚の合法化、世俗化への危機感があった。南部バプテスト連盟所属の牧師で著名なテレビ伝道師であり、政治団体の「モラル・マジョリティ」を創設したジェリー・ファルエル(1933年~2007)らは 宗教右派を形成し、保守政治との連携を図った。

モラル・マジョリティ(Moral Majority、道徳的多数派)とは、1970年代後半のアメリカで誕生した、キリスト教原理主義を基盤とする保守的な政治・社会運動組織であり、妊娠中絶や同性愛に反対し、伝統的な家族観の擁護を掲げ、共和党保守派と結びついてレーガン大統領誕生の原動力となった。
ネオ福音派はラジオ・テレビを活用した伝道や政治的影響力を重視するのが特徴である。ビリー・グラハムは新福音主義の代表であり、ジェリー・ファルウェルらがテレビ伝道で拡大し、現代ではネットやポッドキャストも活用している。アメリカの福音派は個人の救いから出発し、歴史の中で社会と政治に深く関与していき、米国の保守政治において、トランプ政権支持の要となった。
ちなみにジェリー・ファルウェルは、文鮮明師のダンベリー受難後(1985年)、統一運動にも接近し、その流れで、『レフトビハインド』の作者として知られるティム・ラヘイ牧師やポーラ・ホワイト牧師との関係に繋がったという。
【トランプとポーラ・ホワイトーホワイトは現代のエステルか】
ドナルド・ジョン・トランプは、1946年、ニューヨーククイーンズで不動産開発業を営む両親のもとに生まれた。トランプ一家はクイーンズのジャマイカ地区にある第一長老教会の会員であり、1959年(13才)、トランプもここで堅信礼を受けた。
1960年代に一家はマンハッタンにあるノーマン・ビンセント・ピールが牧師を務めるマーブル教会に通うようになり、二度の結婚式や両親の葬儀など、人生の重要なイベントはすべてこの教会で行っている(加藤喜之著『福音派』P224)。だがカーターやブッシュやクリントンとは異なり、トランプは福音派流の明確な回心体験について語ることはない。
ちなみにピール(1898~ 1993)の著書『積極的考え方の力』は、積極思考(ポジティブ・シンキング)の概念を普及させた本としてよく知られている。トランプはピールからポジティブ・シンキングを叩きこまれた。ただ、罪や悔い改めよりはむしろ、自身の内なる力への信頼を強調したピールは、正統的なキリスト教からは、「金持ちのためのビリー・グラハム」と揶揄された。
<ポーラ・ホワイトとの出会い>

だが、トランプの活動拠点がフロリダに移るにつれ、トランプとキリスト教の関係は変化していき、2000年ころから始まった、カリスマ派のポーラ・ホワイト牧師との交友はその一つである。ホワイト牧師は、フロリダ州レイクランドのメガチャーチの牧師で、テレビ伝道師としても人気を博していた。以後、政治家として頭角を表しだしたトランプの脇には、常に宗教家ホワイトの姿があったという。(『福音派』P225)
しかし当初、トランプは、ニューヨークの成金、性的奔放者として、福音派の指導者から敬遠されていた。そのトランプと福音派の架け橋になったのが、当時「新使途運動」を推進していたホワイト牧師だったという。
ちなみにアメリカの新使徒運動(New Apostolic Reformation)とは、1990年代に興った福音派の急進的グループで、教会リーダーの予言的権威を主張したり、超自然的な癒しや異言や奇跡を信じるカリスマ派のネットワークであり、社会の7つの領域(政府、教育、メディア、エンターテインメント、家族、宗教、ビジネス)をキリスト教の価値観が支配すべきだという信念を持つ。新使徒運動の終末論は、教会が力を持って社会を変革して神の国が地上に拡大し、その後にキリスト再臨があるという独特の勝利主義的終末論(後千年王国説)を有す。後日、トランプを神に選ばれし者として支持した。
<ホワイト牧師の来歴>
ポーラ・ホワイト・ケイン(1966年4月20日生、59才)は、高校卒業後、国立聖書大学および神学校に学んだ牧師で、アメリカのテレビ伝道師であり、カリスマ運動(聖霊刷新運動)において全国的に知られる聖霊派の福音主義指導者である。1984年(18才)、メリーランド州に住んでいたホワイト牧師は、「ダマスカス神の教会」でキリスト教に改宗し、改宗後まもなく神からの啓示を受けたという。
今やホワイト牧師は、トランプ大統領のメンター(信仰的助言者)として、またアメリカ大統領府信仰局上級顧問として、「宗教の自由の守護者」としての重責を担う著名な時の人である。
実は、UPFインターナショナル会長で米国UC元会長のマイケル・ジェンキンス氏や令子夫人とホワイト牧師との出会いは20年前に遡り、以後親交を温めて来たという。ホワイト牧師は、2025年8月31日、UCが開催した「Second-generation 1万名賛美礼拝」で説教した。
その中で、彼女は「試練の聖書的意味」について語り、自らの人生の試練について赤裸々に告白した。5才の時父が自殺したこと、母がアル中になったこと、6才から13才まで性的身体的に虐待されたこと、トレーラーハウスに住んでいたこと、42年前シングルマザーであったこと、そして娘を癌で失ったこと.....。
こうして彼女は、トレーラーハウスからホワイトハウスまでの、裏切り・喪失・迫害など試練多き道のりを感慨深く語り、「試練はあなたを磨き、神が与えられた使命に備えるためのもの」と述べ、神と聖霊が思いもよらない人々を、思いもよらない場所で用いられるかをこの目で見てきたと述懐した。そして「戦いは、血肉ではなく、やみの世の主権者に対する戦いである」(エペソ6.12)との聖書の言葉を引用して青年たちを励まし、「信仰を擁護する」と米信仰局上級顧問として宣言した。
ホワイト牧師は日本政府によるUCへの解散命令請求を宗教迫害として非難している。またUC及び関連団体が主宰する集会に度々メッセージを寄せ、韓鶴子総裁を親しく「マザーハン」と呼び、「彼女は本当に神から賜った宝石です」と賛辞を述べた。(参照 決定版 ポーラ・ホワイトの研究→ https://x.gd/Sq2d3 )
さてホワイト牧師とトランプ大統領との出会いは、前記したように20年以上前に遡る。2002年、トランプ大統領(58才)がホワイト牧師(38才)のミニストリー(福音伝道)のテレビ番組を見て、初めてホワイトに電話で連絡を取り、以後、彼女はトランプの個人的な牧師になったという。そのころホワイトはテレビ伝道師として活躍し、彼女の番組は9つのテレビネットワークで放送されていた。
トランプはホワイト牧師の霊性や信仰に共感し、個人的な聖書研究を行い、彼女のテレビ番組に出演した。2016年6月、著名な福音派のテレビ伝道師ジェームズ・ドブソンは、ホワイトがトランプをキリスト教に改宗させたと称賛した。まさにトランプ大統領とホワイト牧師との出会いは、運命的であった。

2016年、トランプは大統領出馬の意思をホワイト牧師に告白した時、「それは神があなたに与えた使命」と述べてトランプを励ました。ホワイト牧師はトランプの最初の選挙運動中(2016年)、彼の福音派諮問委員会の一員であり、2017年1月20日のトランプの大統領就任式では祈祷を行った。ホワイト牧師は大統領就任式で祈祷を行った初の女性聖職者となったのである。
ホワイト牧師は2016年6月からトランプ大統領の霊的アドバイザーを務めており、当選後は大統領のメンター(信仰助言者)として、大統領執務室を含む様々な場所でトランプ大統領と祈りの会を開いてきた。そして2025年1月20日、第47代大統領に就任したトランプ大統領はホワイト牧師を「ホワイトハウス信仰局(White House Faith Office)の上級顧問」に任命した。
こうしてUCとトランプ大統領は、目に見えない神の摂理に導かれ、ホワイト牧師を媒介に強い霊的絆を結んだことなる。トランプ大統領は、2025年1月20日、大統領就任式で、「神よ、あなただけがトランプを敵から救い出し、力をもって復活させて下さった」と感謝の祈りを神に捧げた。
<ホワイト牧師は現代のエステルか>
さてホワイト牧師は自らの随筆『日々献身(一日一生)』(A Daily Devotional Gods Words)の中で、旧約聖書の「エステル記」について語っている。エステル記には、前476年にユダヤ人モルデカイの養女エステルが、ペルシャの王クセルクセスの新王妃になり、ユダヤ人絶滅の危機を救う物語が記録されている。ホワイト牧師は次の聖句を引用した。

王妃エステル(ヤン・フィクトルス画)
「そしてハマンはクセルクセス王に言った、『お国の各州にいる諸民のうちに、散らされて、別れ別れになっている一つの民がいます。その法律は他のすべての民のものと異なり、また彼らは王の法律を守りません。それゆえ彼らを許しておくことは王のためになりません』」(エステル3.8)
ハマンはクセルクセス王の側近(宰相)だったが、彼は陰謀を持って王に近づき、ユダヤ人に対する偏見に満ちた悪意をもって彼らを滅ぼすことを王に提案したのである。だが、それを知ったクセルクセス王の王妃でユダヤ人であるエステルは「法律にそむくことですが王のもとへ行きます。わたしがもし死なねばならないのなら、死にます」(エステル4.16) と言って命懸けで王のもとに行き懇願して事なきを得るのである。(参照 エステル記注解-イスラエルを救ったエステルの信仰→ https://x.gd/8QkMf )
ユダヤ人は、旧約聖書の「エステル記」に基づき、古代ペルシャでユダヤ人が民族絶滅の危機から救われたことを記念する「プリムの祭」を祝ってこの故事を想起する。
ホワイト牧師は、「神は常に救い主を配置します。神は常にご自身の民を見守っておられます。エステルの物語の深い教訓を思い出しましょう」と記し、「エステルが適切なタイミングで正体を明かしたように、私たちの隠された可能性はいつか輝き、祝福と贖い、そして救いをもたらすかもしれません」と述べている。
筆者はホワイト牧師がエステルについて書かれた『日々献身』を読みながら、ホワイト牧師が、文字通りユダヤ人を救ったエステルとダブって見えたのである。トランプ大統領の信任が厚く、世界の「宗教の自由の守護者」たらんとするホワイトに、心なしかユダヤ人を守った王妃エステルとだぶって感じられる。
今やトランプ大統領の相対(最側近)として仕えるホワイト牧師は、極東アジアで起こっている未曾有の宗教弾圧に終止符を打つ「現代のエステル」になれるのだろうか。然り、「あなたがこの国に迎えられたのは、このような時のためでなかったか」(エステル4.14)とある通りである。
以上、「トランプと福音派ートランプとポーラ・ホワイト」とのテーマで、アメリカの福音派とは何か、ホワイト牧師とトランプ大統領、そしてUCとの運命的な出会いについて述べた。果たしてホワイト牧師は現代のエステルになり得るだろうか、願わくばトランプ大統領と共に世界の宗教の自由の守護神とならんことを! (了)
牧師・宣教師 吉田宏



