政界戦国時代の処方箋ー今こそ勝共思想(頭翼思想)を国家の柱に!
- matsuura-t
- 7月30日
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更新日:8月5日
◯徒然日誌(令和7年7月23日) 政界戦国時代の処方箋ー今こそ勝共思想(頭翼思想)を国家の柱に!
民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに、ききんが起りん、また地震があるであろう。しかし、すべてこれらは産みの苦しみの初めである。(マタイ24.7~8)
プロローグ

参議院選挙は予想通り、自民党の惨敗に終わり、与党(自民・公明)は過半数割れになった。自民党の岩盤保守層が、岸田、石破両政権のリベラル化に嫌気がさし、国民民主党や参政党など他の保守政党に流れた。石破政権は岸田前政権の反宗教的政策のつけを払わされたのである。まさに政局は群雄割拠の戦国時代に突入した。米外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員は「日本は今後、前例のない困難に直面する」(読売新聞7月22日)と述べた。
また世界を見ても、中国の覇権主義が幅を利かせ、プーチンのロシアが漂流し、北朝鮮が核武装に余念がない。こういった内憂外患の中で、日本再生の処方箋とは何だろうか。
【与党敗北後の処方箋】
それにしてもNHK党の浜田聡氏は善戦した。筆者は前回の徒然日誌で、何故浜田氏を押すかついて、①共産主義に対するはっきりした見解を持っていること、②スパイ防止法制定を公約に掲げていること、③UCの解散請求は憲法違反だと公言していること、の3点を指摘した。残念だがNHK党の支持が、全国比例で一議席確保に必要な100万票に大きく届かず(党名、個人名あわせて70万票弱)、惜しくも落選した。
しかし浜田聡氏は比例代表の個人票としては335,462票を獲得し、6年前に獲得した9,308票を遥かに上回った。比例個人別の得票数は日本保守党の北村晴男氏が941,238票でトップ、6位の連坊氏は330,9311票、NHK党の浜田聡氏は個人で全体の7位となる票を獲得した。参政党比例トップの梅村みづほ氏が183,558票、日本保守党の百田尚樹氏が123,628票、筆者が期待していた長尾敬氏が33,651票であることを思えば、33万票を獲得した浜田氏はよく善戦したと言える。NHK党が70万票弱にとどまり議席の配分がなかったことで涙をのんだが再起を期待したい。浜田氏は、今後も立花孝志氏と運命を共にしたいとし、次期衆議院選挙にN党代表で出馬すると抱負を述べた。
<今後の政局>
今後の政局はまさに群雄割拠の戦国時代である。石破首相は、「自民党は比例第一党であり、国政を滞らせることは出来ない」との理由で、なお政権にしがみつこうとしているが、ご意見番の麻生太郎氏は「続投を認めない」ときっぱり。青山繁晴氏や保守派議員は、石破首相の退陣を激しく求めており、早晩退陣ということになる。門田隆将氏は次のように「X」に投稿した。
「衆院選、都議選、参院選で3連続惨敗の石破首相が続投宣言。国民は唖然。打席で三振したプレーヤーが審判にアウトを宣告されたのに『僕はヤダ!』と打席から出ていかないという前代未聞の珍事。6年前の参院選得票から約500万票減らした自民党。これでも辞めさせられないなら、そんな党は日本に要らない」
一方、前回の衆議院選挙に続いて、自民党の保守系候補の落選が相次ぐ事態となり、自民の一層の左傾化が懸念される。保守の論客有村治子氏は当選を果たしたが、佐藤正久氏、山東昭子氏、赤池誠章氏、杉田水脈氏、和田政宗氏、長尾敬、中田宏ら保守有力議員が落選した。長尾氏は「X」で、「真の独立国家日本を取り戻す」と選挙戦に臨んだ決意を振り返った上で、「皆さまのあらゆるご支援を全て無駄にしてしまい、政治家として万死に値すると思っております」と苦渋の思いを書き込んだ。
さて今後の政局は、背骨のない軟体動物のように、流動化を余儀なくされ、自民党は公明党の他、他の保守政党との連立、もしくは政策毎のパーシャル連立を余儀なくされる。立憲民主党との大連立は論外にしても、維新の会や今回躍進した参政党などとの連立もあり得るが、やはり国民民主党との連立が無難なところだろう。
<救国政権>

では、早晩崩壊する石破政権の後、一体誰が政権を担い、壊れかけた日本を誰が建て直し得るかが問題になる。ここは何と言っても高市早苗氏による「救国政権」しかいないのではないかと筆者は思料する。その理由は、①前回の自民党総裁選挙で最大の党員の支持を集め、第一回投票でトップだったこと、②しっかりした保守理念と政策を有し、保守議員を糾合でき、離れていった保守票を取り戻せること、③安倍元首相の政治思想と政策をしっかり受け継いでおり、何よりも安倍氏から託されていたこと、この3点である。
では、高市政権で何をすべきか、第一に岸田・石破政権で溶解した自民党と日本に、背骨となる思想的核心、即ちしっかりした保守理念を打ち込むことである。筆者は7月20日、次のように「X」に投稿した。
「選挙を受けて、政局は混沌とした群雄割拠の戦国時代に突入する。故に今こそ国家に背骨となる思想的核心が必要であり、まさにそれが勝共思想。久保木会長は『勝共とは共産主義的無神論から神を復権する愛国運動である』と言われた。手始めに超党派でスパイ防止法の制定に取り組んではどうだろうか」
第二に、先ず「スパイ防止法」を他の保守政党と連携して成立させることである。スパイ防止法制定は、参政党、日本保守党、NHK党なども政策として掲げている。これら保守政党と連携してスパイ防止法の法制化を実現することであり、これは改憲という次のステップにつながり、これらの制定過程で、真性な保守理念(勝共理念)が日本の背骨としてドスンと打ち込まれることになる。
筆者は7月16日、次のように「X」に投稿した。
「16日、邦人が中国のスパイ罪で実刑を受けた。日本保守党比例の北村晴男氏はスパイ防止法制定を熱く訴える。これで、NHK党、参政党、日本保守党3党が防止法制定で並んだ。かって国際勝共連合が成立寸前まで漕ぎ着けた実績があり、この知見と経験を生かして、3党一致で防止法案を国会に出せばどうか」
なお、スパイ防止法は、かって国際勝共連合が成立寸前まで漕ぎ着けたが、河野洋平氏や白川勝彦氏ら容共議員に阻まれた。しかし、その法案、有識者の糾合、全国国民運動などの経験と知見は大いに参考になるだろう。この経緯については『勝共連合かく闘えり』世界日報社P88~131)に詳細に記されている。
<新保守思想ー勝共理念>
では、国家の背骨となり得る「新保守思想」(勝共理念)とは何であろうか。
1968年4月1日、文鮮明先生の指導のもと、UC信者が母体となり「国際勝共連合」が設立され、久保木修己統一教会会長が会長に選任された。「このままでは日本が滅びる」との愛国者としての危機感と、「神を否定する哲学を許せない」という宗教家としての信念から、「共産主義は間違っている」とのスローガンを掲げて、大学や街頭での宣伝や黒板講義など、草の根的な勝共運動をスタートさせた。
では「理論右翼」と呼ばれた勝共運動は、従来の反共運動とどこが違い、何がその本質なのだろうか。久保木会長は著書『愛天愛国愛人』(世界日報)の中で次のように述べられている。
第一に、勝共とは「滅共」且つ「救共」であり、(単なる反共ではなく)何よりも共産主義思想を克服する思想である。無神論的唯物論と階級闘争に基づく間違った共産主義と正面から戦い、これを滅する(滅共)と同時に、共産主義者を救済する愛の運動(救共)でもある。「罪を憎んで人を憎まず」(孔子)とはこのことである。
第二は、勝共運動が、キリスト教的な「神主義」(ゴッドイズム)を基本理念としている点である。共産主義の本質を「神を否定する思想」、即ち「無神論的唯物論」と捉える社会啓蒙運動であり、従って勝共とは「神を復権する愛国運動」であるというのだ。著書には「共産主義は神と人間を断絶させ、神を葬り去ろうとした思想です」(『愛天愛国愛人』P100)と明記されている。
そして第三には、「内なる罪と戦う姿勢」を持たなければならないという点である。何故なら、共産主義は嫉妬と憎悪を動機として「人間の罪の性質(堕落性)を理論化して現れた思想」であり、従って自らが内なる罪と戦う姿勢を持たなければならないというのである。そして、次の言葉で結ばれている。
「神の喪失と愛の喪失、これらを見失っているところに、人類の最大の不幸があり、故に勝共運動の本質的意義は、これらの二つを再発見することによって、世界の真の平和を実現することに帰着するのです」(著書P102)
筆者は、上記会長の言葉を読んで、勝共運動とは、とりもなおさず「神の復権を目指す福音運動そのものではないか」と目から鱗だった。(参照→ https://x.gd/YPd5c )
また共産主義の誕生はキリスト教の救いの限界を物語るものでもあった。マルクス主義は、キリスト教を反面教師にした理論、即ち、聖書的な世界観、歴史観を唯物論の立場からひっくり返した思想であり、怨念を体系化した歴史上未曾有の反キリスト的な理論体系である。まさにヘレニズムの集大成、完成期的な原理型非原理思想であり、原理講論の総序には、共産主義の誕生について次のように記されている
「悲しいかな、中世封建社会は、キリスト教を生きながらにして埋葬してしまったのである。初代教会の愛が消え、資本主義の財欲の嵐が、全ヨーロッパのキリスト教社会を吹き荒らし、飢餓に苦しむ数多くの庶民たちが貧民窟から泣き叫ぶとき、彼らに対する救いの喊声は、天からではなく地から聞こえてきたのであった。これがすなわち共産主義である。.....キリスト教は、共産主義が自己の懐から芽生え、育ち、その版図を世界的に広めていく有様を眼前に眺めながらも、手を束ねたまま、何らの対策も講ずることができなかったのである」 (以上、原理講論P26~P27)
マルクス自身、ユダヤ人ラビで後にプロテスタントに改宗した父母を持ち、彼自身も17才まではキリスト教を信奉して、聖書の世界に馴染んでいたという。しかし、疎外感から神に反発するようなり、ベルリン大学時代に「反キリストグループ」(サタン教)に入り、遂に神への復讐を誓うようになっていった。疎外感に端を発して怨念の権化と化していったのである。(中村学著『よくわかる勝共理論』光言社P38~41)
ちなみに国際勝共連合の政策は、①憲法改正、②スパイ防止法制定、国の安全保障体制の確立、③日本版台湾関係法の制定、④建国記念の日、主権回復の日の行事推進、⑤同性婚、LGBT 法に反対、正しい結婚観・家族観、の5項目であり、前記保守政党の政策と軌を一にする。
【歴史の鉄則】
さて、国家興亡の足跡を深く顧みるとき、宗教を迫害した国は滅び、宗教を保護し育成した国は興隆し、またその国の主権は、より以上に宗教を崇拝する国へと移されていったことが分かる。従って、宗教を迫害している共産主義世界の破滅の日が必ずくるであろう。(原理講論P142)
しかし、この歴史の鉄則を岸田元首相は真逆にやってしまった。LGBT法を反対を押しきって成立させ、無垢の宗教団体の解散請求を強行するという未曾有の反宗教的政策を行ったのである。この岸田氏の負の遺産を引き継いだ石破政権は選挙で3連続敗北の鉄槌を受け、群雄割拠の暗黒時代を呼び込むことになった。
岸田氏の反宗教的政策と石破首相の安倍派つぶし、これにより、日本の根幹は破壊され、こうして日本は羅針盤のない混沌時代を余儀なくされた。あの深みのない、にやけた岸田氏の顔が日本の劣化を象徴している。
私たちは何故勝共(新保守)を叫ぶのか。前記したように、それは共産主義が神を否定する思想、即ち無神論であるからである。現下のUC解散を巡る騒動は、結局無神論と有神論との闘いと言え、故に霊感弁連も左派メディアもアンチUCは多かれ少なかれ無神論者である。ここに宗教人は反共産主義で結束すべき理由がある。
イエス・キリストは世の終わり(終末)を比喩的に預言し、「民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに、ききんが起りん、また地震があるであろう。しかし、すべてこれらは産みの苦しみの初めである」(マタイ24.7~8)と述べたが、日本の政局はある種の終末を迎えている。しかし、その混乱は「産みの苦しみの初め」であり、やがて日本は、その背骨となる理念によってあるべき形に収拾されるはずであるし、またそれを祈念する。
以上、「政界戦国時代の処方箋ー今こそ勝共思想を国家の柱に!」とのテーマで、参議院選挙与党惨敗後の政局と、その解決法について私見を述べた。変転し、激動する内外情勢であるが、その背後で歴史を摂理される変わらざる「神のご計画」(計りごと)があり、またそれを信じる者である。アーメン!(了)
牧師・宣教師 吉田宏